首藤小町

20歳🍁随筆家 高校卒業後、大学進学を選ばず、日本舞踊(花柳流)や書の稽古をはじめと…

首藤小町

20歳🍁随筆家 高校卒業後、大学進学を選ばず、日本舞踊(花柳流)や書の稽古をはじめとして日本の芸能、芸術、民俗、生活文化を見、聞き、学んでいます。第六回表現者賞受賞。

マガジン

  • 随想

  • criterion

    表現者クライテリオン同人ブログlinkageにて記事を執筆しています。

  • 京都芸術大学 連続公開講座

    京都芸術大学公開講座にて、学んだことを記録しています🐌

  • 民藝

    民藝に思うこと

  • 物語

    日常の出来事を小さな物語にしたもの

最近の記事

連載が始まります

4月16日発売の表現者クライテリオン5月号より連載『ひこばえ』が始まります。 新古今和歌集におさめられている一首、 「荒小田の 去年のふるあとの ふるよもぎ 今は春べと ひこばえにけり」 から題をかり、副題に「風土に根ざす智慧と美徳」を据えました。四季折々の風土に育まれた日本の文化、智慧と美徳を学びながら執筆していこうと思っております。 第一回「令和に芽ぐむやまとごころ」では、私が思う保守について書いています。人によって意味が異なっていることが多い「保守」ですが、「保守

    • 舞台は御所解

       母と烏丸へ。気になっていた千總ギャラリーの「舞台は御所解」が四月一日に展示を終えると知り、急遽予定を決めた。折角なので、二人で着物を着て出掛けることにし、母は紺地に水色の有職文様の小紋に落ち着きある金色縞の帯、私は水色の辻ヶ花の着物に御所文様の刺繍の帯を締める。朝からどの着物にするか悩んだり、お互いの着付けを手伝いあったりしているうちに家を出る時間になった。  御所解は古典の物語や謡曲が主題とされる小袖の着物で、染めや刺繍で描かれた風景や道具から暗示される主題の謎ときをたの

      • 舞踊の会

         日本舞踊協会関西支部の「舞踊の会」を見に国立文楽劇場へ。会には私が通っているお稽古場の先生が出演されており、私は、お稽古場で切符をいただいてから、この会をずっと楽しみにしていた。  お稽古場に通い始めて今年で五年目になるが、先生が舞台化粧をし、鬘をつけて踊られるのを見るのは初めてのことだった。 「二十歳のお祝いに」と先生から贈っていただいた綸子の花模様に鹿子の絞りがほどこされた帯揚げと、朱の帯締めを、薄紅色の色無地の着物に合わせ、帯の隙間にさりげなく咲く綸子の花を見るたび嬉

        • 新国立劇場バレエ団ハイライト公演を観て

           大阪の枚方市にある市立総合文化芸術センターで、新国立劇場バレエ団のハイライト公演があった。  私にとっては、初めて見るバレエの舞台だったので、前々から楽しみにしていて、何を着て行こうか、席は三階だったけれどよく見えるだろうか、などといろいろ思いながら上演の日を心待ちにしていた。  この公演を観に行ったのは、私がバレエそのものに興味を持っていたからではなく、新国立劇場バレエ団のバレリーナ、木村優里さんの踊りを、一度舞台で見てみたかったからで、というのも、ほんの数ヶ月前、偶然、

        連載が始まります

        マガジン

        • 随想
          25本
        • criterion
          12本
        • 京都芸術大学 連続公開講座
          13本
        • 民藝
          8本
        • 物語
          2本

        記事

          ご報告

          表現者クライテリオン11月号の寄稿『無形の霊性 〜横山大観の絵を見て』で、第六回「表現者賞」をいただきました。これからも、日本文化、伝統、藝能に触れ、感じたことを綴っていきたいと思っております。 そして、来月発売される「表現者クライテリオン」5月号より連載が始まります。よろしくお願いいたします。 令和六年三月 首藤小町

          ペンネーム

           「名は体を表す」や「誰々の名にかけて」というように、私たちにとって「名」は大きな意味を持ちます。それは、生まれた時につけられるものばかりでなく、たとえば、お茶の世界、お花の世界、おどり、歌舞伎、芸者、僧侶、はては故人の戒名にいたるまで、「名前」を大事にする文化はあらゆるところに見つけられます。  それらの名前は多くの場合、私たちが両親から名を授けられるのと同じように、その世界の宗家や師匠、つまり、その「家」から与えられます。新たに名前を頂くということは、その世界、道に入っ

          ペンネーム

          月影

          万年筆のインクが届いた。 早速、発色を見てみたくて、万年筆に残っていた前のインクを抜き、コンバーターを水につける。紺のインクがコップの水へ、力なくほどけて行くのを横目に、新しい小瓶を手に取る。 ラベルには《POUSSIÈRE DE LUNE》の文字と、小さな三日月。瓶を動かすたび、深みのある紫色のインクが揺れる。その紫は光に透け、ガラス瓶と相まって、さながら宝石のように輝き、灯りを離れるとどこまでも私を吸い込んでしまうような、静かな闇へと変わる。 翌日、いよいよ新しいイ

          新年あけましておめでとうございます。 今年も母とおせちを作りました。おせちもお酒も美味しく、たのしいお正月です。 今年は小さなことも大きなことも、たくさん書いていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!🖋️ 2024年🐲元旦

          新年あけましておめでとうございます。 今年も母とおせちを作りました。おせちもお酒も美味しく、たのしいお正月です。 今年は小さなことも大きなことも、たくさん書いていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!🖋️ 2024年🐲元旦

          早朝のスケッチ

          雑誌、表現者クライテリオンの同人ブログにて記事を執筆しています。 政治や経済に明るいわけでない私は、自分なりに、文化や藝術に想うことをコラムとして投稿させていただいています。 ❀ ❀ ❀ 表現者クライテリオン11月号に、寄稿として『太古の知を訪う』を掲載していただきました。

          早朝のスケッチ

          ふろふき大根にきのこ味噌をのせて。 しめじ、えのき、エリンギの入ったきのこ味噌。秋らしい一品の出来上がり。 ストーブをつける季節になれば、大根を煮るのも、お豆を煮るのもストーブで料理できるので寒くなるのも楽しみです🍁 この夏、初めて陶芸体験をした時につくった器に盛りつけました。

          ふろふき大根にきのこ味噌をのせて。 しめじ、えのき、エリンギの入ったきのこ味噌。秋らしい一品の出来上がり。 ストーブをつける季節になれば、大根を煮るのも、お豆を煮るのもストーブで料理できるので寒くなるのも楽しみです🍁 この夏、初めて陶芸体験をした時につくった器に盛りつけました。

          不二霊峰

          山王美術館へ日本画壇の巨匠、横山大観の画を観に行った。この美術展は、前からたのしみにしていたのだけれど、想像以上、期待以上に見事な画の数々に私は大変感動した。 扉が重たい機械音を立てて開くや否や、会場には冴えざえとした空気を裾野へ吹きおろす富士の数々。 私の家のカレンダーには、大観とその盟友、菱田春草の絵が隔月交互に出て来る。私はそれを観るたびに感心していたのだけれど、やはり本物は大違いである。 でっぷりとした腹を出して船首に胡座をかく布袋。波はたゆたい、月は天高く小舟を

          余白に耳を傾けて

          表現者クライテリオン9月号本誌にて、寄稿文を掲載していただきました。

          余白に耳を傾けて

          本を読むこと

          読書は、誰かの話を聞いたり、喋ったりするときと違い、自分で気ままに進められる。が、ひとくちに一人で読み進めているといえないのはそこに著者の存在が泰然と感じられるからで、編まれた文に行き渡る著者の息遣いに、私は知らず知らず呼吸を合わせ、著者の思いを受け止めながら、すでに自分でも何かしら思い始めている。どうしても呼吸が合わない著者もいれば、どれを読んでも必ず呼吸が合うという著者もいて、同じ言葉が、どこに置かれているか、誰が言うかで異なる響きを持つことに気が付く。 私にとって、本

          本を読むこと

          国立文楽劇場のサマーレイトショー「夏祭浪花鑑」へ。母と二人、たのしい夏の夜のひと時を過ごしました🎐 舅を殺した侠客の團七が、盛り上がる祭りの夜へひとり静かに去りゆく最後。 物語の余韻に身を委ねつつ、今夜の眠りにつこうと思います。 てうさ、よいさ... てうさ、よいさ...

          国立文楽劇場のサマーレイトショー「夏祭浪花鑑」へ。母と二人、たのしい夏の夜のひと時を過ごしました🎐 舅を殺した侠客の團七が、盛り上がる祭りの夜へひとり静かに去りゆく最後。 物語の余韻に身を委ねつつ、今夜の眠りにつこうと思います。 てうさ、よいさ... てうさ、よいさ...

          夏の素謡と仕舞の会

          雑誌、表現者クライテリオンの同人ブログにて記事を執筆しています。クライテリオン7月号本誌に過去の記事を掲載していただきました。政治や経済に明るいわけでない私は、自分なりに、文化や藝術に想うことをコラムとして投稿させていただいています。 本誌7月号に掲載していただいた文章です。

          夏の素謡と仕舞の会

          第十三回『歌舞伎』

          京都芸術大学 2023年度 公開連続講座 第十三回 「歌舞伎」 第十三回は「歌舞伎」、講師はこの公開講座の企画人、進行役の田口章子先生でした。この日は、副題に「視点が変わればみかたが変わる」とありました。田口先生は、歌舞伎の一場面で演じられる、切腹や子殺し、身売り、首実験(武士が戦で打ち取った首を仕えている将軍に見せ、打ち取った首の位に応じて褒美の判断してもらうこと)などが、近代以降、その悲惨さを訴えるものとして捉えられることがあるが、それは違う、日本の伝統的な価値観を問

          第十三回『歌舞伎』