首藤小町

20歳🍁随筆家 高校卒業後、大学進学を選ばず、日本舞踊(花柳流)や書の稽古をはじめと…

首藤小町

20歳🍁随筆家 高校卒業後、大学進学を選ばず、日本舞踊(花柳流)や書の稽古をはじめとして日本の芸能、芸術、民俗、生活文化を見、聞き、学んでいます。第六回表現者賞受賞。

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    京都芸術大学公開講座にて、学んだことを記録しています🐌

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THE BLUE HEARTSとわたし

11歳の時、THE BLUE HEARTS が「青空」を演奏している映像を見た。純粋な歌詞、ヒロトの歌声やパフォーマンス(最初は少し心配な気持ちになったが)、全てに新鮮な喜びを感じ、胸が高鳴った。それから私は、毎日のようにブルーハーツの音楽を聴いた。 当時、私はヒロトが履いているブーツが欲しかった。その旨を父に伝えると、父と母から、誕生日のお祝いとしてブーツが私に贈られた。憧れのブーツを履ける喜びと、私のような小学生がこんな高級品をもらっていいのかという不安で、ブーツを買っ

    • パウンドケーキ

      「明日は休息日やから、パウンドケーキ焼こうと思って。」  土曜日の出勤を終えた母は、小麦粉、バター、卵、ナッツとドライミックスベリーを買って来て、そう言った。この一週間、体を整えるためにお菓子を控えていた母は、日曜日を休息日と名付け、お菓子を食べてゆっくりする日と決めているらしい。私はなにも予定がなかったので、休息日にあやかって、パウンドケーキが食べれらることを嬉しく思った。  休息日の当日、朝から野菜やお昼の買い出しをしに、と、出かけて行った母は、しばらくして、小さいピン

      • 中平窯 西川智成さんと

        小代焼 中平窯、西川智成さんの個展『小代焼中平窯のうつわ展』へ。 以前から、西川さんのnoteで小代焼や焼き物にまつわる記事を拝読しており、先日、大阪で開かれた個展をお訪ねしました。 記事や映像で見慣れていたはずの「青小代」は、実際に目にすると想像以上に透き通って見え、燃える窯の火の中から、透明感と深みを兼ね備えた青色が生まれてくることに感動しました。それぞれのうつわには、あたたかい丸みがあり、職人の作品に対する敬愛が伝わってくるように思いました。 一目惚れした徳利は、

        • ネルケ無方老師と

          四月、大阪の藤田庭園で禅僧のネルケ無方老師と対談いたしました。 以前から禅に興味があり、私が老師のTwitterをフォローさせていただいたことをきっかけに、このインタビューのお誘いをいただいたのですが、撮影の前の二回の打ち合わせを含め、貴重なご縁と学びをいただくことができ、たいへん嬉しく思っております。 東洋の思想から西洋の哲学まで深い見識をお持ちでありながら、なおかつ機知にあふれた老師とのインタビューを通して、その鋭い質問や伸び伸びとした考え方に、私の頭はみるみる解され

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        THE BLUE HEARTSとわたし

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        記事

          連載が始まります

          4月16日発売の表現者クライテリオン5月号より連載『ひこばえ』が始まります。 新古今和歌集におさめられている一首、 「荒小田の 去年のふるあとの ふるよもぎ 今は春べと ひこばえにけり」 から題をかり、副題に「風土に根ざす智慧と美徳」を据えました。四季折々の風土に育まれた日本の文化、智慧と美徳を学びながら執筆していこうと思っております。 第一回「令和に芽ぐむやまとごころ」では、私が思う保守について書いています。人によって意味が異なっていることが多い「保守」ですが、「保守

          連載が始まります

          舞台は御所解

           母と烏丸へ。気になっていた千總ギャラリーの「舞台は御所解」が四月一日に展示を終えると知り、急遽予定を決めた。折角なので、二人で着物を着て出掛けることにし、母は紺地に水色の有職文様の小紋に落ち着きある金色縞の帯、私は水色の辻ヶ花の着物に御所文様の刺繍の帯を締める。朝からどの着物にするか悩んだり、お互いの着付けを手伝いあったりしているうちに家を出る時間になった。  御所解は古典の物語や謡曲が主題とされる小袖の着物で、染めや刺繍で描かれた風景や道具から暗示される主題の謎ときをたの

          舞台は御所解

          舞踊の会

           日本舞踊協会関西支部の「舞踊の会」を見に国立文楽劇場へ。会には私が通っているお稽古場の先生が出演されており、私は、お稽古場で切符をいただいてから、この会をずっと楽しみにしていた。  お稽古場に通い始めて今年で五年目になるが、先生が舞台化粧をし、鬘をつけて踊られるのを見るのは初めてのことだった。 「二十歳のお祝いに」と先生から贈っていただいた綸子の花模様に鹿子の絞りがほどこされた帯揚げと、朱の帯締めを、薄紅色の色無地の着物に合わせ、帯の隙間にさりげなく咲く綸子の花を見るたび嬉

          新国立劇場バレエ団ハイライト公演を観て

           大阪の枚方市にある市立総合文化芸術センターで、新国立劇場バレエ団のハイライト公演があった。  私にとっては、初めて見るバレエの舞台だったので、前々から楽しみにしていて、何を着て行こうか、席は三階だったけれどよく見えるだろうか、などといろいろ思いながら上演の日を心待ちにしていた。  この公演を観に行ったのは、私がバレエそのものに興味を持っていたからではなく、新国立劇場バレエ団のバレリーナ、木村優里さんの踊りを、一度舞台で見てみたかったからで、というのも、ほんの数ヶ月前、偶然、

          新国立劇場バレエ団ハイライト公演を観て

          ご報告

          表現者クライテリオン11月号の寄稿『無形の霊性 〜横山大観の絵を見て』で、第六回「表現者賞」をいただきました。これからも、日本文化、伝統、藝能に触れ、感じたことを綴っていきたいと思っております。 そして、来月発売される「表現者クライテリオン」5月号より連載が始まります。よろしくお願いいたします。 令和六年三月 首藤小町

          ペンネーム

           「名は体を表す」や「誰々の名にかけて」というように、私たちにとって「名」は大きな意味を持ちます。それは、生まれた時につけられるものばかりでなく、たとえば、お茶の世界、お花の世界、おどり、歌舞伎、芸者、僧侶、はては故人の戒名にいたるまで、「名前」を大事にする文化はあらゆるところに見つけられます。  それらの名前は多くの場合、私たちが両親から名を授けられるのと同じように、その世界の宗家や師匠、つまり、その「家」から与えられます。新たに名前を頂くということは、その世界、道に入っ

          ペンネーム

          月影

          万年筆のインクが届いた。 早速、発色を見てみたくて、万年筆に残っていた前のインクを抜き、コンバーターを水につける。紺のインクがコップの水へ、力なくほどけて行くのを横目に、新しい小瓶を手に取る。 ラベルには《POUSSIÈRE DE LUNE》の文字と、小さな三日月。瓶を動かすたび、深みのある紫色のインクが揺れる。その紫は光に透け、ガラス瓶と相まって、さながら宝石のように輝き、灯りを離れるとどこまでも私を吸い込んでしまうような、静かな闇へと変わる。 翌日、いよいよ新しいイ

          新年あけましておめでとうございます。 今年も母とおせちを作りました。おせちもお酒も美味しく、たのしいお正月です。 今年は小さなことも大きなことも、たくさん書いていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!🖋️ 2024年🐲元旦

          新年あけましておめでとうございます。 今年も母とおせちを作りました。おせちもお酒も美味しく、たのしいお正月です。 今年は小さなことも大きなことも、たくさん書いていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!🖋️ 2024年🐲元旦

          早朝のスケッチ

          雑誌、表現者クライテリオンの同人ブログにて記事を執筆しています。 政治や経済に明るいわけでない私は、自分なりに、文化や藝術に想うことをコラムとして投稿させていただいています。 ❀ ❀ ❀ 表現者クライテリオン11月号に、寄稿として『太古の知を訪う』を掲載していただきました。

          早朝のスケッチ

          ふろふき大根にきのこ味噌をのせて。 しめじ、えのき、エリンギの入ったきのこ味噌。秋らしい一品の出来上がり。 ストーブをつける季節になれば、大根を煮るのも、お豆を煮るのもストーブで料理できるので寒くなるのも楽しみです🍁 この夏、初めて陶芸体験をした時につくった器に盛りつけました。

          ふろふき大根にきのこ味噌をのせて。 しめじ、えのき、エリンギの入ったきのこ味噌。秋らしい一品の出来上がり。 ストーブをつける季節になれば、大根を煮るのも、お豆を煮るのもストーブで料理できるので寒くなるのも楽しみです🍁 この夏、初めて陶芸体験をした時につくった器に盛りつけました。

          不二霊峰

          山王美術館へ日本画壇の巨匠、横山大観の画を観に行った。この美術展は、前からたのしみにしていたのだけれど、想像以上、期待以上に見事な画の数々に私は大変感動した。 扉が重たい機械音を立てて開くや否や、会場には冴えざえとした空気を裾野へ吹きおろす富士の数々。 私の家のカレンダーには、大観とその盟友、菱田春草の絵が隔月交互に出て来る。私はそれを観るたびに感心していたのだけれど、やはり本物は大違いである。 でっぷりとした腹を出して船首に胡座をかく布袋。波はたゆたい、月は天高く小舟を

          余白に耳を傾けて

          表現者クライテリオン9月号本誌にて、寄稿文を掲載していただきました。

          余白に耳を傾けて