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余白に耳を傾けて

表現者クライテリオン9月号本誌にて、寄稿文を掲載していただきました。

… 日本のあらゆる伝統文化、伝統芸能は、何もしない「余白」や「間」に心を込めます。形そのものに、何か意匠を凝らすというよりも、何もない間、時間、空間に思いが滲み、かたちを為すものです。が、現代は、その空間が「エビデンス」や「ソース」に埋め尽くされてしまって、あるいは狭められてしまって、窮屈になっていはしないでしょうか。事実、私たちは、のびのびした心で物が見られなくなり、言えなくなり、書けなくなっています。余白や間を味わうこと抜きに、目に見えてわかりやすいものにしか辿り着いていない私たち現代人には、わかりにくいものを時間をかけて観察し、表現することは耐え難い苦痛なのかもしれません。…

『余白に耳を傾けて』より

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