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【書録切書】 2022/01/05


 その日に読んだ文章の中で印象に残ったものを書き留めていきます。
 今日はあまり本を読まなかったので、昔読んだ本でご勘弁。


谷川健一「解説 有情の極みとしての鬼」
           (馬場あき子『鬼の研究』ちくま文庫、1988年より)

婆娑羅もかぶく者も大盗までもが、鬼と同様に人間的なエネルギイの汪溢のために、世間から指弾され、追放された人びとである。こういえば馬場さんの鬼論が人間の力の承認であり、肯定であり、讃美であることは明らかである。人間性に乏しいために犯す悪と、人間性に溢れているための犯す悪との二通りがある。そして後者こそは著者が鬼に仮托した自己主張である。
                               (296頁)




 またまた、折口信夫の文章から一片。

彼等無頼の徒の生活には唾棄すべきものがあるから、彼等の持つ道徳観と言へば一般に嫌ふであらうが、道徳的興奮を最、自由に発動させて、そのまゝ行動し得るのは、此階級の人達である。
  (「道徳の民俗学的考察」旧全集15巻、330頁/初出「日本民俗」1936年)


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