国吉真弘

埼玉県深谷市にある「一輪草法律事務所」の現役弁護士です。昭和18年生まれの80歳。気が…

国吉真弘

埼玉県深谷市にある「一輪草法律事務所」の現役弁護士です。昭和18年生まれの80歳。気がつくと弁護士稼業も半世紀以上となります。この場所では、創作した川柳・俳句・短歌や日々の徒然を書き記そうと思います。よろしくお願い致します。

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ちょっと自己紹介など

 埼玉弁護士会に所属する弁護士の国吉真弘と申します。所属事務所は、埼玉県深谷市にございます「一輪草法律事務所」です。埼玉の前は沖縄弁護士会に所属しておりました。  先だって、埼玉弁護士会からは在会40年の記念品をいただきました。78歳の現在も現役で弁護士をしております。  思えば、人生の半分以上をこの埼玉で過ごしてきたことになります。  弁護士以外の活動としては、地元深谷市の「さくら・さくらんぼ保育園」の理事長を10年ほど、その後は深谷市の人権団体(深谷市人権教育推進協議会

    • くじら今昔物語②〜ナンタケット、太地、そして糸満へ〜

       この稿では、「くじら物語②」として世界に名高いメルヴィルの『白鯨』と、C .W.ニコルの『勇魚(いさな)』の二つの作品を語っていくこととします。 メルヴィル『白鯨』   まず、『白鯨』から紹介します。私は『白鯨』を読むのは2回目です。若い時に、海洋冒険小説だと思い読んだのですが、内容が難解で途中から投げてしまいました。  今回、本稿のために2回目に挑み、四苦八苦してようやく完読しました。    この小説は、モビー・ディックと呼ばれている巨大で獰猛(どうもう)な白鯨に、片

      • 名(苗)字ってなあに?〜名(苗)字あれこれ〜

         男女別姓が盛んに論ぜられています。結婚しても、同一姓になるのは嫌だと、主として女性の側からの異議申し立てのようです。近日中にこの異議申し立てが通り、やがて男女別姓が実現する社会になることでしょう。    そうなりますと人間は、男女共に生涯一つの姓(名字)を背負い続けることになります。一体、名(苗)字とはなんでしょう?  名(苗)字について考えてみたくこの稿を起こしました。  過日の朝日俳壇の句を紹介します。   死の見えて本名明かす寒昴(かんすばる)          

        • くじら今昔物語①〜鯨資料館を訪ねて〜

           今年の年初の3日間の家族旅行で、房総半島を旅しました。私の10年ものの愛車クラウンを運転しての旅です。この旅では、特に訪問先を定めず、行く先々の道の駅や名所を覗いたり、博物館や資料館に足を運んだりの気ままな旅でした。  そんな旅で私が出会ったのが、鯨だったのです。鯨といっても海中に泳ぐ鯨そのものではなく、体長26メートルもあるシロナガス鯨の骨格標本に出会ったのです。この骨格標本を展示してあったところは、南房総市の和田町にある「鯨資料館」でした。  私は、この鯨の標本を見

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          鮭の放流〜鮭の里親を経験して〜

          埼玉は「彩の国」とも呼ばれておりますが、他方「川の国」とも呼ばれております。「彩の国」といっても「彩」はなかなかイメージできませんが、「川の国」ならば十分にイメージすることはできます。  何となれば、埼玉には大小の河川がいくつもあるからです。埼玉の河川の筆頭は、一級河川の利根川と荒川ですが、この二つの川に注ぐ支流まで含めると、相当の川の数になります。    私の住む深谷市も市域に利根川と荒川が流れ、この二つの川の恵みで、深谷市は県下でも有数の農業地帯になっており、深谷ねぎや

          鮭の放流〜鮭の里親を経験して〜

          さらば昴よ〜谷村新司さんを悼む

           昴の谷村新司さん(以下、谷村さんという。)が、昨年10月8日に亡くなりました。享年74歳と聞いています。人生100年のこの時代に74歳の逝去とはあまりにも早逝であり、谷村さんにはもっともっと長生きして音楽分野で活躍してもらいたかったと思います。    私が谷村さんの逝去を知ったのは、朝日新聞の文芸欄(短歌、俳句)に掲載された作品を読んだからです。文芸欄では、著名人が亡くなりますとその方の死を悼んで、全国の歌人・俳人らが追悼の作品を投稿し、入選した作品が掲載されるのですが、私

          さらば昴よ〜谷村新司さんを悼む

          祥雲龍翔〜辰(竜)年あれこれ〜

          あけましておめでとうございます。 しばらく休んでいたnoteを新年から再開致します。  年々、外国から大量の文物が流入し、世はまさに国際化の真っ只中にありながら、私達の周囲には未だに元号が幅を利かし、干支(えと)、六曜、二十四節気等が賑やかに使用されております。  新年になりますと、暦では干支の交替があります。昨年の干支の「寅(虎)」が退場し、新しい干支「辰(竜)」が登場しました。  私自身も干支は辰ではないのですが、辰年の竜にあやかり、祥雲をつかみ、辰(竜)のごとく

          祥雲龍翔〜辰(竜)年あれこれ〜

          我が家の花園

          豪華絢爛庭の中心部には円型の花壇があり、その花壇には私自慢の牡丹・芍薬・百合の花が植えられています。植物分類上、牡丹は木の仲間ですが、便宜上この稿で草花の仲間に入れておきます。  牡丹と芍薬は、私がこの地に来た頃、買い求め育ててきたのですが、株分けを繰り返してきたので、かなりの株数になってしまいました。庭園工事の際、この牡丹・芍薬をこの花壇の中央に移しました。20株程の牡丹・芍薬が花壇を占めているので、花の時期にはかなり見応えのある牡丹・芍薬園になっています。  この花壇

          我が家の花園

          我が庭に根をはる樹木たち

          我が庭には、季節が来ると美しい花を咲かせる樹木と草花がありますが、最初に樹木の方から述べることにします。 夕暮の待婚歌樹木の紹介に先だって、歌人前田夕暮の待婚歌を紹介します。      木に花咲き君わが妻とならむ日の             四月なかなか遠くもあるかな                         前田夕暮  夕暮の作品中最も人口に膾炙している作品です。それはめでたい祝婚の歌として詠まれているからです。木々に花が咲いて、愛する君が自分の妻となるとい

          我が庭に根をはる樹木たち

          馬追虫の髭のそよろに来る秋は〜短詩を楽しむ③〜改訂版

           庭の草むらから虫の鳴き声が聞こえてきます。9月も下旬にもなると、ひと頃のかまびすしさは衰えているものの、それでもその声を聞いていると秋の寂しさがひしひしと身に迫ってきます。  盛りを過ぎて衰えた虫の鳴き声を聞いているうちに大相撲秋場所、プロ野球のペナントレースも終わりに近づき、いよいよ慌ただしい年末へ駆け込むことになります。  秋に登場する虫を詠んだ短詩のうち、短歌、俳句、川柳の順に紹介していきます。  馬追虫(うまおい)の髭のそよろに来る秋は      まなこを閉じ

          馬追虫の髭のそよろに来る秋は〜短詩を楽しむ③〜改訂版

          野鳥との共生〜田舎暮らし40年⑤〜

           田舎に暮らしていますと人間の訪れよりも野鳥や虫類の訪れの方が多いのです。  野鳥の訪れといっても野鳥が直接庭を訪れることもありますが、姿は見せず鳴き声だけ届くことが多いのです。  朝まだき真っ先に耳に届くのは、山鳩の鳴き声です。本によりますと山鳩は ゼッゼポッポーと鳴くとありますが、私にはシトトーゴーコウと聞こえるのです。妻に聞いてみると、妻はタカスーポッポーと聞こえると言うから不思議です。  きっと幼少の頃に刷り込まれた記憶で、そう聞こえてくるのだと思います。  次

          野鳥との共生〜田舎暮らし40年⑤〜

          わが庭こそ虫達の楽園〜田舎暮らし40年④〜

           ある日、ある時、埼玉県北部の葱どころに住んでいる私と、県南に住んでいる友人との対話です。  友人が「深谷葱は、白い部分だけでなく葉の部分も美味しそうなので、食べていますよ。」と話しかけてきたのです。  私は、葱の生育過程を多少は知っているので、友人に「葱は、梅雨の頃になるとアブラムシが発生するので、生産者は駆除のため農薬を撒くんですよ。だから、葉の部分は食べない方がよいですよ。」とアドバイスしたのです。  この問答の後、果たして葱の白い部分は安全なのか、と考えてみたの

          わが庭こそ虫達の楽園〜田舎暮らし40年④〜

          秋の夜長は鈴虫とともに〜田舎暮らし40年③〜

           地球温暖化の影響でしょうか、6月7月に続き8月も猛暑が続きました。  しかし、猛暑の8月でも暦の上ではすでに「立秋」とされています。  このように暦の上と実生活との間に隔たりがあるのは仕方のないことです。  さて、8月も下旬頃になると秋風が吹き始め、庭の草むらから虫の声が聞こえ始めます。  数多(あまた)鳴く虫の中でも、リーンリーンと鳴く鈴虫の声がひときわ高く聞こえてきます。  思い返すと、私も若かりし頃は虫の声など耳に残らず素通りしていました。  虫の声が耳に残るよ

          秋の夜長は鈴虫とともに〜田舎暮らし40年③〜

          酒屋へ三里 豆腐屋へ二里〜田舎暮らし40年②〜

           コロナ禍の収まりそうもない中、都会から田舎へ越す人が増え続けているそうです。  いわゆる田舎暮らしを目指して、これまで顧みることのなかった過疎地への回帰現象というところでしょう。  私は現在の地(埼玉県深谷市)へ越してから、40余年にもなるので、田舎暮らしの点では先達ということになります。  この地へ越してきて、真っ先に私の頭に浮かんだのは次の狂歌でした。      ほととぎす自由自在に聞く里は               酒屋へ三里豆腐屋へ二里  近所にはコンビニも

          酒屋へ三里 豆腐屋へ二里〜田舎暮らし40年②〜

          我が家の夏の風物詩〜田舎暮らし40年①〜

           平成19年の夏、多治見と熊谷の両市で40.9度を記録し、たちまち世間の人をあっと言わせました。  この日、仕事の行き帰りに熊谷の神社の境内を通ったところ、数えられぬほどの蝉の骸(むくろ)が落ちていました。  これを見て、私は思わず「40度蝉の骸の数知れず」と川柳を詠んだことを覚えています。  以来、熊谷は日本で一番暑い市として全国に知られるようになりました。  私は、熊谷の隣接市である深谷に住んでいるので、熊谷の高温は、自分の市の問題として受け止めました。  熊谷の40

          我が家の夏の風物詩〜田舎暮らし40年①〜

          77年間続いた平和〜短詩(短歌・俳句・川柳)を楽しむ③〜

          日本のいちばん長い日  8月15日の終戦記念日が又やってきます。終戦の1945年8月15日から数えると77回目の終戦記念日です。とりわけ今年の終戦記念日はロシアのウクライナへの侵攻があり、戦争の残酷さ、悲惨が画面を通して、私達に迫ってきます。  地球上の人達が、いつウクライナ休戦・停戦が実現するのか、息を呑んで見守っています。 昔からものごとを始めるのは容易ですが、終結を実現するのは困難だと言われております。  このことは、永年暮らしていた夫婦が離婚するまでの過程を見れば明

          77年間続いた平和〜短詩(短歌・俳句・川柳)を楽しむ③〜