短歌結社 まひる野

短歌結社まひる野です。 生活の中から生まれる実感を大切に短歌を作るグループです。初心者歓迎。 https://www.mahirunokai.com/ アイコンは空穂です。

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    まひる野会です

    まひる野会です。 こちらでは、誌面に掲載されたいくつかの記事を公開していきたいと思っています。実際の更新は8月号から始めます。              * まひる野は1946年3月、窪田空穂の長男窪田章一郎の元に若い歌人が集まり創刊されました。 現在は、代表・篠弘、編集人・大下一真のもと、中根誠、島田修三、今井恵子、柳宣宏、柴田典昭、広坂早苗が運営・編集に当たっています。 生活の中で生まれる感動を大切にする作風が特徴です。 どなたでも入会できます。 詳しくはホームペ

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      • 第67回まひる野賞受賞作自選10首②

        「点滅抒情」滝本賢太郎 触れたれば感電死してしまうだろう白梅は花あんなにつけて   北を向く窓辺に飾る子どもらがアルファベティカルに死にゆく絵本 ソロキャンプとさして変わらぬ生活で火を焚くごとく翻訳をなす 訳し難き一語をずっとあぐねつつずるり引き出す緋烏賊の腸を 凍らせた烏賊は凶器となることを聴きたりあれはいつかの花見   涅槃にはお出入り禁止の身を置けばざんと桜の降り積むベンチ 俺にしかできぬ仕事という幻ぶん投げに春の浜まで下る ももんがに飛魚不思議に空を飛ぶ生

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        • 第67回まひる野賞受賞作自選10首①

          「四月の息」稲葉千紗 見上げれば眩しいばかり三月の世界の淡さはやさしさとして 知ることが増えてゆく子のランドセル傷がつくたびやわらかくなる 大声は出さない出せないわたしにも流れを止めぬ小川ありけり スニーカーのつま先に穴をあけたまま子は走り出す前だけ見てる 背が伸びてまた新しい夢を見る十三歳の白いくるぶし 親が子に嘘ついて子が親に嘘ついて死なない程度に死にたい気持ち 剪定をするようにして育ておりずんずん伸びる子らの枝葉を 息継ぎのような雨が降る冷蔵庫に牛乳寒天

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          • 年間テーマ「ユーモア」⑧

            ユーモアを書きながら考える 滝本賢太郎    書けないときは書けない状況から書くとよいと誰かが言っていた。なのであらかじめ言う。書けない。なんとか文字を並べてはみるが、短歌のユーモアについてわたしは最後まで何も言えないだろう。わたしはそもそも、歌人のユーモアなど信じていないのだ。どころか彼らはユーモアから最も遠い人種だと思う。なのでこのテーマを考えれば、短歌にユーモアなどないと言わざるをえなくなるし、筆がすべって延々歌人の悪口を書き連ねそうな気配がある。わたしだってそんなこ

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            • 時評2022年8月号

               新聞掲載であった子育て漫画「毎日かあさん」の娘さんのブログで告白があった。自分のことを作品にされるのが苦痛であった。学校で皆が自分のことを知っている恐怖。やめて欲しいと訴えても聞き入れてくれなかった。など辛い心境を書いた。(現在は非公開のようだ)面白い、可愛い登場人物と思って気楽に見ていたものが、傷つける結果になっていたことに驚いた。これを受けてSNSで育児日記を公開することの危うさも言われた。未成年の場合、親が作品として公開することは、個人情報開示に親権者の同意があるとみ

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              • 年間テーマ「ユーモア」⑦

                『いらっしゃい』と「エアお冷」  北山あさひ  『酒寄さんのぼる塾日記』という本がとても面白かった。「ぼる塾」というのは女性四人のお笑いユニットで、田辺さんの「まあね~」というギャグをテレビで見たことがある人も多いのではないだろうか。この本を書いた「酒寄さん」はぼる塾のリーダーで現在育休中。なかなかテレビに出られない焦りや、自分はぼる塾に必要ないのではないかという葛藤、そしてメンバーに対する信頼と愛情を笑いたっぷりに綴った名エッセイ集なのだが、その中でも特に印象に残ったのが

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                • 年間テーマ「ユーモア」⑥

                      ふふっと笑う先に            富田睦子 「ユーモア」とは、苦境の中にあってそれをはね返すような余裕、もしくは俯瞰の態度なのだと思う。感染症の流行や戦争などここしばらくの陰鬱な状況の中で「ふふっ」と笑ってしまう作品を取り上げて味わうということは、それ自体がユーモアの態度なのだろう。   海、きみと わたしが泣くたび困ってね砂を握ればぎょうざのかたち               工藤玲音『水中で口笛』  『水中で口笛』は、ひさしぶりに短歌は青春の詩型で

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                  • 時評2022年7月号

                    沖縄と短歌  2022年5月15日、沖縄返還から五十年経過した。それをテレビで見て「ああ今日が」と知る。ただ聞き流してばかりではいけないと思い、歌壇5月号「沖縄と短歌」(沖縄復帰五十年)の特集を読んでいる。あらためて社会詠、時事詠をエンドユーザー(読者)として読むことの難しさを思っている。  総論で返還の前後から現在まで社会・歴史的な背景、対象を沖縄在住の作者の歌集、雑誌より採取。返還当時に作られた歌もあるが、出版時期が離れていることも多いようだ。  祖国復帰の運動から、反ナ

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                    • 時評2022年6月号

                      ひっくりかえす時  友人の鶴田伊津さんとZoomで長いおしゃべりをした。お互いに高校生の一人娘を持つ育児友達でもある。 「今はいろいろな常識がひっくりかえっているから」「今まで〈相聞〉だとか〈母の愛〉と読まれていた短歌を、ほんとうにそうですか、と読み直す時期が来ていると思う」  彼女の言葉にハッとした。その通りだ。 ・子をもてば女にあればひとりだけ軽くされたるけふのお会計                               山木礼子『太陽の横』 ・母子とは時々こわ

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                      • 年間テーマ「ユーモア」⑤

                        「理解」とユーモア        今井恵子   一九七〇年代後半、「ナンチャッテおじさん」という人がいた。残念ながら出会ったことはないが、東京山の手付近の電車に出没して、不道徳者に説教をしては「ナーンチャッテ!」とおどけて次の駅で降りて行く。たとえば、立っている老人を前に座席を占めている青年に向かって突如大声で、「駄目じゃないか。老人に席を譲れよ」などと言い放つ。周囲があっけにとられていると、駅に到着して開いたドアの前で「ナーンチャッテ!」とポーズをとって姿を消すのだと噂

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                        • 時評2022年5月号

                          ナラティブを考える ・幾たびもその名を改められながら大いなる泊(とまり)春にしづかなり     梶原さい子『ナラティブ』 「ナラティブ」とは臨床心理学の立場から発達した概念で「物語」を表す。同じ「物語」を表す「ストーリー」との違いは、ストーリーが主人公を中心とした起承転結のある物語なのに対して、ナラティブとは語り手の視点から出た現在進行形の物語なのだという。 掲出歌はシベリア抑留の経験を持つ祖父を辿る旅の途中の一首。「大泊(コルサコフ)」という小題の表記がその複雑な歴史

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                          • 年間テーマ「ユーモア」④

                            ユーモアをたどる旅       麻生由美   そもそも西欧の概念だから、ユーモア・ウィット・ペーソスなどの「おかしみ」については一年間くらいどこかで聴講などしないと正確には理解できないと思っている。一応、ほのかに笑えて上品な、対象を蔑みしたり攻撃したりしていないものを、自分なりに「ユーモア」と定義して、経験の中を「ユーモア」を求めて旅してみる。  そもそもその初め、短歌(和歌)にユーモアはあったのだろうか。大昔にさかのぼって考えてみた。大昔から人は笑っていたに違いなく、さま

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                            • 時評2022年4月号

                              携えていく一首  「歌壇」三月号で連載終了となった「平成に逝きし歌びとたち」の、最終回で取り上げられていた歌人は橋本喜典さんだった。三枝浩樹さんによる歌人論と三〇首選は、よく知っているつもりの橋本編集人の歌人としての足跡を明るく照らし、なんだかくすぐったいような嬉しさで読んだ。  この記事で初めて橋本喜典に触れた若い読者もいるだろう。語られる場のあるありがたさを感じる。  過去を生きた歌人の作品を読むとき、いつも思い出すことがある。  私が現代短歌を知り、まひる野に入会し、

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                              • 年間テーマ「ユーモア」③

                                ユーモアの価値        広坂早苗  「ユーモア」とは、くすっと笑ってしまうような「おかしさ」のことだと何となく思っていたが、調べてみるともう少し限定された意味合いのあることがわかった。手元の電子辞書には「人を傷つけない上品なおかしみやしゃれ。知的なウィットや意志的な風刺に対してゆとりや寛大さを伴うもの」(日本国語大辞典)、「基本的美的範疇の一つ。ラテン語のhumorに由来し、本来は湿気、体液の意。邦訳としては有情滑稽などと訳され、知的な機知(ウイット、エスプリ)に対して

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                                • 時評2022年3月号

                                  歌にひかりを当てること「塔」二〇二二年一月号の特集「みんなで短歌かるた」が面白かった。十人の執筆者がそれぞれ一行分五文字ずつ担当し、頭の一文字がその音である歌を選歌している。紹介されているのはどれもいい歌ばかりで、しかし例えば「現代秀歌五十首」として選ぶかと言えば上がってこない歌だと思う。最初の一文字の「音」から選ばれるという切り口が新たな佳作を発掘しているように思った。  いわゆる「名歌」と言われる作品であっても、誰もが最初に見た時から心奪われる一首と言うのは案外少ないの

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                                  • 年間テーマ〈ユーモア〉②

                                    老境とユーモア島田修三 短歌の批評や鑑賞の肯定的な用語として、私はユーモアという語をしばしば使う。ことに新聞歌壇の歌評では使うことが多い。どうしてかというと、新聞歌壇はどこもそうかも知れぬが、投稿世代の大多数が老境に達した人たちである。実はこの世代の歌には年齢特有というか、この年齢ならではの独特のおかしみがある。滑稽といってもいいし、おとぼけといってもいいし、剽軽洒脱な味といってもいい。思わず笑ってしまったと評すこともあるのだが、とりあえず、ユーモアで間に合わせておく場合が多

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