百日草

本、映画、音楽、俳句、美術を綴っています。俳句とエッセイ集「蜜柑の恋」(創風社出版)。…

百日草

本、映画、音楽、俳句、美術を綴っています。俳句とエッセイ集「蜜柑の恋」(創風社出版)。共著、編に「坪内稔典100句」(創風社出版)、「朝ごはんと俳句365日」(人文書院)、「俳句の杜2019」(本阿弥書店)。「窓の会」常連。蜜柑と和菓子好き。【読書の秋2020*日経BP賞受賞】

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    映画には学びがいっぱい! 教育・家族・哲学・科学・テクノロジー・人権・歴史・お金・社会…。 本や講義と同じように、アカデミックに楽しむこともできるはず。 映画で得た知識や感動、情報、気づきを掲載した記事を集めたマガジンです。 映画を通じて得られる学びをお届けします!! ※共同運営者の皆さまへ。 映画の感想及び、そこで得た学びが少しでもあれば、構いません。 過度な宗教・思想・社会・個人の批判と、過度な性的描写やグロ描写はNGですが、それ以外はある程度なんでもOKです。 遠慮なくどんどん記事を追加していただければ幸いです!

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    関西歌劇団のノスタルジア・コンサートなどの小さな感想です。

最近の記事

文藝春秋9月号~「サンショウウオの四十九日」「バリ山行」を読んで~

 今季の芥川賞は二作品同時受賞で、しかも文藝春秋には全文掲載だったので、ありがたく読みました。  「自分にしか書けないものを書いた」という感じで、作者の略歴をインタビューで読むと納得しました。 「サンショウウオの四十九日」は現役の消化器内科の医師。「バリ山行」の作者は現在は建築関係の仕事で西宮市(六甲山日帰りできる)に住み、山登りやツーリングをする。どちらの作品も面白く読めました。  選評を読むと、女性選考員は「サンショウウオの四十九日」を評価する人が多く(川上映子、川上弘

    • 歴史が語りかけてくるもの~「まいまいつぶろ」を読んで~

      ☆まいまいつぶろ 村木嵐著 幻冬舎  1800円+税  初代家康、二代秀忠、三代家光、五代綱吉、八代吉宗、十五代慶喜。 教科書で習う江戸時代の将軍たちの活躍は六人ぐらいで、それ以外の将軍に関しては、ほとんど知らなかったです。だから、この本を読んで九代将軍家重がこんな人だったとは驚きであり、忠光との出会い、その生き方には心動かされました。  第12回「日本歴史時代作家協会賞作品賞」受賞  第13回「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞  第170回「直木賞」候補作品  九代将軍家重

      • 「かき氷大賞」募集中です!

         所属している「窓の会」では、ただいま、かき氷大賞募集中です。 去年の秋から始まった、メール投句による俳句大会です。 ☆投句は、メールのみです。(郵便では受けつけないです) ☆一人3句まで、投句料は無料です。 ☆締め切り25日です。結果発表は8月5日に窓の会のブログで。 投句先など、詳しくは窓の会のブログをどうぞ。  去年の秋には果物大賞、冬には鍋物大賞、そして、今年の春は春キャベツ大賞で、今回で、ぐるっと1年最後になりました。大賞1名、優秀賞2名、佳作若干名でます。さ

        • 画期的な~音数で引く俳句歳時記~

           手元にある電子辞書で「歳時記」をひくと、①1年のうち、そのおりおりの自然、人事百般のことを記した書。②俳諧で季語を分類して解説や例句をつけた書。俳諧歳時記。とあります。(広辞苑、岩波書店第7版)  俳句を詠む人には必需品である歳時記。わたしも何冊か歳時記を持っていますが、オーソドックスに季語の解説や例句があるのがほとんどでした。今回、手にした「音数で引く俳句歳時記」は、少し観方(読み方)をかえて、音数で分類されています。そういう分類あったか、とその作り方に唸ってしまった歳

        文藝春秋9月号~「サンショウウオの四十九日」「バリ山行」を読んで~

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          能登半島地震チャリテイ上映会~西大寺~

           5月1日に奈良県西大寺で行われたイベントに参加しました。  友人が主催者の小林さんとJAL勤務時代の同期だったそうで、一緒に観にいきました。会場となった西大寺商工会議所は、100名の定員を超えるという盛況でした。4月17日の時点で、17名しか集まっておらず、それから2週間あまり、東奔西走されたそうです。誰かのために、被災地能登半島のために、一生懸命な主催者と監督。二人の女性の姿は、心に響きました。  石井かほり監督が2015年に撮った能登半島が舞台のドキュメンタリー映画「

          能登半島地震チャリテイ上映会~西大寺~

          同人誌「朝 45号」

           村上玄一氏が発行人を務める同人誌です。巻末には、ゲスト含めて19名の氏名があり、11の作品と連句が掲載されています。  「自慢風まかせ」として、村上氏が自身の生い立ちを書かれている連載の8回目が掲載されています。大学卒業後、読売新聞、学研、角川書店、KSS出版などの編集者として活躍され、今回は、52歳のとき、編集者を辞め、母校の文芸学科研究所教授に就任された年の前後の様子でした。その年は、野坂昭如氏との共著を含めて5冊の本をだされて、大車輪でした。  「オールド・イング

          同人誌「朝 45号」

          それでも前を向く~サッカー本大賞受賞作品~

           一週間前に読んだ「オシムの遺産」(サッカー本大賞特別賞受賞作品)がとても良かったので、今年の大賞受賞作品も読んでみました。  こちらの作品は、宮市氏のサッカー人生の変遷を描いており、自伝的要素が強い作品で、別の意味で感動ものでした。宮市氏は18歳でサッカーの本場「アーセナルFC」と契約を結び、将来を嘱望されます。が、5度の大怪我や精神面での苦労から引退を考えます。しかし、同僚やサポーターの励ましもあり、復活。特に、後半の引退から復活への道のりは、涙なしでは読めなかったです。

          それでも前を向く~サッカー本大賞受賞作品~

          オシムの遺産~彼らに授けたもうひとつの言葉~

           日本サッカー界に多大な影響を与えた元日本代表監督、元ジェフユナイテッド市原監督であったイビチャ・オシム。彼が遺した言葉。サッカー界でのさまざまな分野の11人の男たちに授けた言葉を通して、オシム監督の人物像、強いては未来のサッカー、日本のサッカーの問題点などを浮き彫りにした本です。人が人に与える影響、オシム監督ってこんなにも魅力的な人だったんだ、と認識させられた一冊でした。 オシムの遺産 島沢優子著 竹書房  1600円+税  イビチャ・オシム氏は1941年サラエボ生まれ

          オシムの遺産~彼らに授けたもうひとつの言葉~

          君があまりにも綺麗すぎて~

          <写生画と美人画> ~中之島美術館、福田平八郎展・・・福田美術館、上村松園、鏑木清方から嵯峨嵐山文華館  どちらかと言うと、洋画より日本画が好きです。  連休前に中之島美術館で福田平八郎展を、連休中に嵐山で、福田美術館、嵯峨嵐山文華館を観てきました。 1.中之島美術館~福田平八郎展~  福田平八郎展は、連休前でかなりの人混みになりました。  没後50年の今年、中之島美術館での初の展覧です。  写生狂と言われた福田平八郎。  たくさんのスケッチも展示され、色鮮やかな風景が多

          君があまりにも綺麗すぎて~

          人を思いやる心・パストライブス/再会

           今年の話題作「オッペンハイマー」も「哀れなるものたち」も「デユーン・砂の砂漠2」も壮大で、ハリウッド的で、素晴らしい作品と思うものの、今回のアカデミー賞候補作のなか、「パストライブス・再会」は繊細で人が人を思う心の切なさが見事に描かれており、感心し、もっとも好きな作品でした。 パストライブス・再会 セリーヌ・ソン監督 米韓映画  物語は12歳、24歳、36歳でのノラとヘソンの物語を軸に進んでいきます。 登場人物  ノラ(グレタ・リー)・・・映画監督の父親、画家の母親

          人を思いやる心・パストライブス/再会

          ノスタルジアコンサート

           今回は、住友生命いずみホールで行われました。今までより、現代の曲は少なく、「春」を意識した曲を中心に、唱歌や日本の歌、懐かしい曲がそろいました。そして、歌劇を三曲も歌ってくれたのは、聴きごたえありました。  司会はおなじみになった谷浩一郎氏と辻村明香氏。息もぴったりで、スムーズな進行でした。女性陣による「フィガロの結婚」より「恋とはどんなものかしら」と喜歌劇「ヴィリアの歌」は、澄んだ声で美しかったです。今回の女性陣への質問は、好きな花と花言葉でした。薔薇や桜、ミモザ、百合

          ノスタルジアコンサート

          文藝春秋3月号「東京都同情塔」を読んで

           知的でSF的で批評的で、しかも読みやすい文章でした。今年上半期 の芥川賞受賞作「東京都同情塔」面白くよみました。  文藝春秋3月号は特別号で、「東京都同情塔」が全文掲載され、選評まで載っています。選評を読むと、平野啓一郎氏が幻惑的な構造計算と題しして、述べており、一番しっくりきました。 「バベルの塔の神話を主題に、言葉と物との関係のとあるべき理想とを、 自ら構想中の塔と同化するように倒錯的に模索する女流建築家の造詣が冴えており」→サラ・マキナという女流建築家を中心とした

          文藝春秋3月号「東京都同情塔」を読んで

          本日締め切りです!春キャベツ大賞

          「窓の会」が主催する投句の俳句コンテストです。本日締め切りです。 春。新しい季節。新生活を彩る春野菜たち。春アルバムならぬ春の俳句で毎日を彩ってください。 投句料無料のメール投句です。  なお、「窓の会」は、今までに秋は「果物大賞」、冬は「鍋物大賞」を実施してきました。そして、新生活始まる春は、「春キャベツ大賞」次回夏は「アイスクリーム大賞」を実施予定です。ささやかですが、優秀句には景品もありますので、奮って応募ください。(応募規定は、クリックしてください) #窓の会 

          本日締め切りです!春キャベツ大賞

          「窓」春号と「リスボンの窓」

           俳句グループ「窓の会」の季刊誌「窓」春号、刊行されました。「窓の会」主宰の坪内稔典先生の第13句集「リスボンの窓」も発売中です。 「窓」 2024年3月3日 春号 窓の会 創風社出版 1000円(税込) 「リスボンの窓」 坪内稔典句集 ふらんす堂 2530円(税込)  「窓」は、「窓の会」の常連たちの俳句とエッセイを載せています。107名の会員それぞれが俳句20句と「私の味方」をテーマにしたエッセイです。家族あり、天文あり、ペットや猫あり、食べ物あり、いろんな味方につい

          「窓」春号と「リスボンの窓」

          「日本を正しく知ろう」~高嶋哲夫先生講演会~

           2月15日、ホテルヒルトン大阪であった高嶋哲夫先生の講演会を聴きにいきました。経済小説のベストセラー作家であり、原子力研究所勤務やカリフォルニア大学留学などの経歴をもつ一方、大阪女性文芸賞贈呈式に来賓として長年来てくださったりとの交流で、今回先生から案内をいただきました。関西プレスクラブ主催の定例会議での講演でした。 2024年1月27日付けの日本経済新聞に一面、全面カラーの広告が出たときは、びっくりしました。が、その足跡は、日本の経済の未来をも予測していたかのような小説

          「日本を正しく知ろう」~高嶋哲夫先生講演会~

          藤田嗣治・手紙の森へ

           去年の12月にアサヒグループ大山崎山荘美術館で催されている「FOUJITA」藤田嗣治展に行きました。  今回は、絵画の点数は少ないですが、藤田自筆の手紙と彼がつくったてしごと、小物が展示されていました。  大山崎山荘美術館は、JR大山崎駅から10分あまり、山の中腹にある山荘美術館です。  京都言葉カフェで、美術鑑賞の仕方として、3通りの鑑賞法があることを学びました。①絵画そのものを②作者を通して③時代を通して。今回の展覧会は、まさしく②と③での鑑賞になりました。  絵画の

          藤田嗣治・手紙の森へ