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画期的な~音数で引く俳句歳時記~

 手元にある電子辞書で「歳時記」をひくと、①1年のうち、そのおりおりの自然、人事百般のことを記した書。②俳諧で季語を分類して解説や例句をつけた書。俳諧歳時記。とあります。(広辞苑、岩波書店第7版)

 俳句を詠む人には必需品である歳時記。わたしも何冊か歳時記を持っていますが、オーソドックスに季語の解説や例句があるのがほとんどでした。今回、手にした「音数で引く俳句歳時記」は、少し観方(読み方)をかえて、音数で分類されています。そういう分類あったか、とその作り方に唸ってしまった歳時記でした。575と17音しかない俳句ならではの発想だなあ、と思いました。

☆音数で引く俳句歳時記・夏 岸本尚毅・西原天気著 草思社 1760円(税込み)

 例えば、「夏」の本では、夏の季語を1音から13音まで音数で分類されています。1音は、暑(しょ)からはじまり、紗(しゃ)、絽(ろ)、鵜(う)と続きます。最後、13音は、黒実の鶯神楽の実(くろみのうぐいすかぐらのみ)です。凄い長い季語で、ぎょっとびっくり。初めてしりました。
 音数による季語の分類は、俳句を詠むときや推敲のとき、穴埋めで季語がいるときなどにとても便利な分類だなあ、と。
 読み物としても、10音以上の季語は、トリビア的で面白いです。使ったことのない季語ばかりです。例えば、「土潤ひて溽暑す」(つちうるおいてじょくしょす・11音・晩夏の季語)あと6音で俳句ができてしまいます。

 歳時記、電子辞書やスマホですますことも多いです。最近は角川書店文庫版を使用しています。持ち歩きに便利だし、最新の第5版だと、現代の俳人の例句がたくさん載っているからです。こちらは王道的ですが、たまには発想をかえて、音数で引いてみるのも楽しく、また音数による分類は読物としても面白い本でした。

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