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仲の良かった同僚が、辞める最終日に一言も言わず帰った
Nは私の同期だった。
海外に行く資金を貯めるため、1ヶ月だけの短期契約で入社してきた。
Nはバイタリティーに溢れた人間で、人当たりもよく、コミュニケーション能力が高かった。
私はNを親しみやすく、魅力的な人間だと思った。
お客様と話す時は非常に大きな声で笑い、いかにも信頼のおける、人情味溢れた営業といった態度で接客していた。同期で入った社員とも男女関わらずたいてい誰とでもすぐ打ち解けていた
間に合わなかったメロスのその後の話⑥
メロスの敗北 最終話
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メロスは、夢を見ていた。
目の前に生きて縄を解かれたセリヌンティウスがいた。間に合ったのだ。メロスは万感の思いで友の元に歩み寄り、その手を握りしめた。目に涙が浮かんだ。
「私を殴れ。力いっぱいに頬を殴れ。正直に言う、私は途中で一度君のことを見捨てようとした。あの悪い男を許すわけにはいかない。どうか殴ってくれ」
セリヌンティウスが頷き、周囲がぎょっと
間に合わなかったメロスのその後の話⑤
メロスの敗北 第5話(全6話)
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先生と二人になったとたん、私はこらえきれず涙を落としました。先生は格子から腕を伸ばし、彼の肩を叩いて慰めてくれました。
私は先生を引き留めたい気持ちをこらえました。未練がましい言葉が出てきそうになるのも胸の内に押し込めました。
ネストル様の話で私は先生の覚悟を知りましたから、共に過ごせるこの最期の時に、先生を困らせるようなことはしないと固く心に決
『メロスの敗北』 あらすじ
“もしも『走れメロス』の主人公メロスが約束に間に合わず親友を死なせてしまったらどうなっていたのか” を、パロディではなくシリアスなアナザーストーリーとして書きました。
メロスだけでなく人質となる親友セリヌンティウスとその弟子フィロストラトスの人物像や心理にも焦点を当て、原作で語られなかった親友の人質として過ごした3日間とその死の翌日の出来事を、原作に登場する他の人物たちを交えて、エピソードを膨ら