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出戻り小学生

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根っからの学校嫌いが大人になって、まさかの学校で働くことに…。 現場における謎と不思議、笑いと感動に溢れた日々の記録。 今でも、戻れるのなら戻りたい…。
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#先生

2年生が熱い! ②

 また別の日、別のクラス。図書係の女子二人が良いコンビ。
 片や生真面目なクールビューティー。あまり感情表現しないので、大人しいのかと思っていたが、見た目とは裏腹にちょっと抜けている。誤字脱字も多い。しかし今年図書係になって、眠っていた才能を発揮しだした。言うことがいちいち凄い。前に立って、他の児童の良くないところを容赦なく正す。しかも、誰かの受け売りではなく、自分の言葉で。ピシャリと音がするよう

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素敵体験、ら・ら・ら

 現在専任している大規模校は、クラス数が多いせいか、高学年に図書の時間が設定されていない。依って、余程のことがない限り、授業で学校図書館を使ってもらう機会がないのだが、この11月は、6年生のあるクラスが2度も、授業を希望してくれた。
 11月は読書月間で、準備やイベントで年間一・二を争うほど忙しい。空き時間が減るのは痛手とも言えるが、学校図書館は使ってもらってなんぼ。そもそも、読書月間であることを

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小学生の婚約発表

 滅多に来ないやんちゃくれの6年男子が、最近よくやって来る。こういうことは毎年あって、卒業が近付くと、何となく増えていく気がしている。
 しかし未だ卒業には早い。何となく来たい気分になったのだろうか…。
 よくわからないが、それほど読書家キャラでもないのに、一応毎回、律義に一冊は本を借り換えして行く。義務というか、癖というか、そんな感じで、どうしても本が読みたくて!とか、本を必要として…とかいう雰

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女子と女の境目

 ひっさしぶりにやって来た6年女子。歯科矯正器具を付けた口を尖らせ、「ちょー、きぃてぇーやー」とぶつぶつ言い出した。唇の荒れが気になる。
そこから愚痴、愚痴、愚痴。誰のかというと、先生の…だ。で思いっきり先生を敬称略で呼び捨てにする。舌を巻く。こんな子じゃなかったのに…大分お怒りの様子だ。
 内容は大して怒るようなことでもなかった。彼女自身、己の非も認めていた。しかし素直に謝るのも納得いかないらし

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ある暑い夏の日

 図書室で一人、仕事をしていると、廊下から色んな声が聞こえてくる。
 先生同士の会話、子ども同士の会話、時に何故か歌声。そしてたまには絶叫も…。
 知らない大人の話し声。誰かが出張してきたのだろう。自分に関係のない予定まで把握していないので、今日はSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)の日なのだな…と思う。一人、すごく声の通る先生がいるのだ。
 声は聴いたことがあるけれど、姿は見たことがない。

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褒め上手な小学生

 大人になるまで、人に褒められる…ということが殆ど無かった。
 親には勿論、先生など目上の人、友達などを含め…。
 子どもの頃に褒められた記憶がまるでないわけではないが、僅かなそれさえ、子どもの私にはピンとくるものでは無かった。そもそも褒められているのか貶されているのか、冗談で言われているのか、よくわからないものばかり。
「癖毛が可愛いね」(ぼさぼさなだけやん、どこがやねん)
「歌うまいね」(音楽

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読書ノートに…

 読書ノートが面白い。
 個々の国語力が大きく表れるだけでなく、記録の付け方で性格まで丸わかり。感受性が浮き彫りになり、その人となりを知ることが、レファレンスだけでなく、日常のコミュニケーションにも役立つ。
【図書】とは国語科に属する一単元ではあるが、授業を受け持つのは教師ではなく、司書。児童に教育を施す時点で、教師でなくても教員ではあるらしいのだが、私自身、「先生」という呼び方をされる職業に就い

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献血問題②

 科学的根拠はまるでないらしいが、血液型による性格や考え方の傾向、または人間関係の相性などに関し、個人的にはどちらかと言えば信じやすい方である。基本的に偏見は可能な限り持ちたくないが、何事も積み重ねというか、やはり様々な人と関わってきて今があるので、自分に合う人とそうでない人というのも、少なからずわかってきている。それが血液型や干支などに起因している場合が少なからずあるせいで、全く無視できなかった

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集団行動①

 以前働いていた職場で、こんなことがあった。
「誰か、これ運ぶの手伝ってー!」
 彼女の手元に置かれているのは、小学校の教室にあるような、一人用の勉強机。十人にも満たない小さな事務所に居た数人が、一斉に立ち上がる。結局、一人用の勉強机を4、5人でわいわい言いながら運んで行った。
 彼女達が立ち上がった時、私は声のする方を見はしたが、立ち上がらなかった。
「手伝ってー!」が異様だと感じたのは、『そん

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学校という奇異な職場

 以前、私は学校や先生が嫌いなのに、今、学校という場所で先生という人たちの間で仕事をしていると書いた。実際、学校で先生達とも関わって給料を得てはいるのだが、改めて見渡してみると、私はとっても不安定な環境に居ることがわかる。それは中途採用でその場所に飛び込んだということも少なからず関係しているが、最低週五日、一つの学校を職場として就業している〝先生方〟と違って、私は週五日勤務していても、週二日と週三

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学校という場所

 学校が嫌いだ。今に始まったことではない。学生時代から嫌いだった。
 今、何故か学校で働いている。働くには良い場所のように思えたが、それは思い違いだったと気付く。学校が嫌いだったことを、改めて実感しているせいだ。
 学校が嫌いなのは、学校の先生が嫌いだからでもある。その影響力は凄まじい。今、私が見ている学校の先生というものは、私が通っていた頃、嫌いだった学校の先生と同じ顔をしている。偉そうに踏ん反

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ハードル

 前向き過ぎる無職生活が終わる。仕事が決まったのだ。
 一年毎の更新で、最長五年の任用期間を設けられた仕事。学校の図書館司書…図書室の先生というやつである。
 引継ぎというものに行って打ちのめされた。ハードルが高過ぎる。
 仕事はしながら覚えて行く…仕事とは私の中でそういうものだったが、想像以上の激務が待ち構えている様子だ。引継ぎに行ったが、勤務にあたって必要な持ち物など、最低限知りたいことが何

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