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短歌「世界の見え方」
蟻の目に映る世界は知るべくもなけれど母のそを知らるれば
『認知症世界の歩き方』(ライツ社)という本に出会って、いままで疑問に思っていたことのいくつかに示唆が得られた。例えば、姉や私の世界の見え方と母の世界の見え方にはずれが生じている場合があるらしい。物の見え方が違うのなら、理解できない言動をとることも納得できる。あるいは、ときどき母にかじられるテディベアは、母の目にはパンに見えているのかも知れな
短歌「さまざまな椅子」
さまざまの種類の椅子の増えゆける母の衰へ追ひかくるごと
わが家には実にさまざまな椅子がある。大きなマッサージチェア、二人がけのソファー、入浴介護用の椅子、手摺りのある椅子、手摺りのない椅子、回転する椅子、回転しない椅子……。これらは少しでも母が楽に生活できるようにと、その都度購入したものだ。例えば、立ったり、座ったりするとき楽なようにと座面が回転する椅子を買った。椅子に座ってばかりだと辛かろう