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俳句「満ちれば欠ける」

昇るのか降るのか死は春満月

 死というのは天に昇ることだろうか。それとも地に降ることだろうか。天国を思うと、死ぬとは天に昇ること、地獄を思うと、死ぬとは地に降ること、のようにも思われる。また、火葬だと少なくとも魂は天に昇るようにも思えるし、土葬だと少なくとも肉体は地に降っていくようにも思える。

 「いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」と孔子は言ったとされる。確かに死など考えるよりいまをどう生きるのか考えるほうが大切かも知れないが、死を考えることは生を考えることでもあると私は思う。

 さて、満月もまた藤原道長の歌のように生の絶頂とも、死の始まりとも捉えることが出来よう。いずれにせよ生も死も朧だ。

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