詩「どこか、誰かへ」
内なる声
心の深いところに
底はなく
どこか遠いところに
通じているのではないか
たとえば銀河の星の一つとか
あるいは私を包んでいると
思っていたものは
実は私の内にあって
しかも無限の広がりを
持っているのではないか
そしてある日
私の心の岸辺に
亡き父からの投壜通信が流れつく
否、正しくは
在りし日の父からの
内なる声は
どこで生まれる?
閉じられた私の頭蓋の中か
それとも開かれた
時空のどこかか
いずれにせよ
それが内なる声ならば
もはやそれは私一人のものではなく
時空を超えて
語り継がれるべきものだ
そしていつか
誰かの心の岸辺に
私からの投壜通信が流れつく
否、正しくは
在りし日の私からの