見出し画像

俳句「冷たい砂糖」

夏めくや舌に冷たき和三盆

 舌の乗せたとき「冷たい」と感じるのは、私だけではないようだ。小学館のコミックス『美味しんぼ』第3巻第2話「和菓子の創意」に、和三盆の味は「ひんやりと舌がすずしいような感じがする」とある。和三盆は、香川や徳島で作られる高級砂糖だ。製造工程をテレビで観たことがあるが、砂糖の塊を職人が手で揉む「研ぎ」と呼ばれる作業があり、大変な手間がかかる。茶道で薄茶とともに供される干菓子には、米粉などとこの和三盆を混ぜて型でぬいた「打ち物」と呼ばれる菓子がよく用いられる。
 少し大きめのボタンくらいの小さな菓子が口の中に涼風を運んでくる。腹一杯食べるのとはまた別の食の楽しみがここにはある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?