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理想の破綻(短編小説)

理想の破綻(短編小説)

その社会は個人の借金で成り立っている。借金して借金を返し、その金利は高く、多くの人々は日々食べるのに精一杯で金利の返済に追われていた。

【このままではいけない!】

ある清廉潔白な政治家が立ち上がった。

生活を圧迫する【金利を下げるんだ。】金利を下げればその分の生活が楽になる。

彼はあれよあれよと政権を奪取してしまった。これで金利返済にぼわれず、快適な社会が実現するはずだ。

しかし、、その

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奴らは恐ろしい(短編小説)

奴らは恐ろしい(短編小説)

奴らは穢れている。汚れ、腐り、、見るだけでも虫唾が走る。

生理的に受け付けないとは、、こういう事なんだろう、、

姿を見て気持ち悪いだけならまだいい。

奴らに触れてしまうと我々は消えて、、、、消滅するだけならまだいい。   地獄の世界へ落ち、虐げられ、苦しみ、のたうち、哀しむめに合うのだ。

だから我々は【奴ら】を見かけると 怖がり、恐れ、忌み、虫唾が走り、嫌悪し、悪寒が走り、遠くに追いやろう

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笑顔の村(短編小説)

笑顔の村(短編小説)

その村は笑顔の村である。

村長、村民、産まれたばかりの赤ちゃんから臨終間際の老人までが笑顔を絶やさない。

その村を訪れた者は、笑顔で歓迎され笑顔でもてなされ笑顔で見送られる。

その村の村人は笑顔を絶やさない。

ある年長雨が濁流を招き、田畑を押し流し住む家を飲み込だ。   人々は食べる物も無く休息する事も無くボロ切れの様になりながら村の再建に働いた。

それでも人々は笑った。

笑いでエンド

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呪われた家系(短編小説)

呪われた家系(短編小説)

我々の怒りは凄まじい。

我々の恨みは暗く深い。

憎しみで顔は歪み、憎悪は顔相を悪くする。  顔色は黒く姿勢は悪く言葉は汚く髪はボサボサだ。

そして祖父祖母から父母へ、恨みの記憶は子や孫へと語り受け継がれる。

憎め、恨め、怨嗟の念を増幅しろ。

怨毒を溜め怨讐に囚われ毒気を吐く。

忿怒、怨恨、怨嗟、 怨毒、賊心、害意、我が心を支配する。

伝えよ!継がせよ!毒気を吐け、絶やすな!

今では

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地球は待っている(短編小説)

地球は待っている(短編小説)

ある時から僕は何故か地球と話せる様になった。

でも仕事も忙しいし、面倒臭いし、、地球のことはずっと放ったらかしにしていた。

ある日僕は俗に(意識高い系)の方と知り合い、少しながらその考えに感化もされていた。

農薬の事、化学肥料の事、公害の事、ゴミの事、

考えてみると山を崩し森林を伐採し海を埋め川の流れを変え空気を汚し生物を絶滅させゴミを捨て、地球に酷いことばかりしてしまっている。

僕は久

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小鳥に食べられる未来(短編小説)

小鳥に食べられる未来(短編小説)

今日は急に仕事が無くなった。休みではなく、無くなったのだ。

外界とのただ一つの繋がりが途切れてしまうと、時が世界が止まってしまった様に感じてしまう。

朝飯を食べ、溜まった洗濯をして部屋を片付ける。

部屋の隅、机から落ちたままだったのか、、鏡餅のお供えが埃にまみれて転がり出てきた。

実家の母から送られてきて、飾って忘れていたのだ。

パックされた鏡餅はまるでプラスチックのおもちゃの様にツルツ

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歴史上の人物に僕はなる(短編小説)

歴史上の人物に僕はなる(短編小説)

3人兄弟の母さんの兄さんの弟の妹が亡くなった。僕には税引き168.905.000.000円の遺産相続が急に転がり込んできたのだ。

僕ははこの金を使って『歴史上の人物』になってやると決心した。

歴史上の人物とはなんだ?          目立つ人だ。そして公園や街角に像のある人物だ。

予算:土地製作設置込み一体平均10.000.000円にてブロンズ像を作る。

国全体に16890体。

土地代

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私のして欲しい事をあなたにしてあげる(短編小説)

私のして欲しい事をあなたにしてあげる(短編小説)

私の両親はとても厳しく、小さな頃から躾はとてもうるさかった。

言葉使い、食事の作法、そして何より【人に優しく】が、もっとも口煩く注意をうけた。

『あなたもそんな事をされたら嫌でしょ?』

『あなたもそんな事を言われたら気分が悪いでしょ?』

《私は嫌じゃない、、私は気分悪くない、、》

『簡単な事、、あなたのして欲しい事を他人にすれば良いのよ!』

《何故だろう、、私がして欲しい事を人にしてい

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ババ抜きのババに任命します(短編小説)

ババ抜きのババに任命します(短編小説)

『山口内閣は退陣しろ〜』『山口内閣は説明責任を果たせ〜』何やら朝から外が騒がしい。

ここは2038年の日の本の国。

裁判員制度の成功にて、色々な官職が民間人にランダムに宛てがわれていた。

そんな中に《内閣総理大臣》職もあり、《内閣総理大臣》になった者は自分の考えで政策決定、政策実行が出来る権限が与えられた。

70歳を超えると《スーパー銭湯フリー権》が与えられ《高齢者医療費》の大幅縮小を達成

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闇のマッチング業者(短編小説)

闇のマッチング業者(短編小説)

『了解しました。その様に手配致します。』

今、駅前の賃貸マンション705号室の依頼が舞いこんだ。

705号室の募集賃貸広告を確認すると家賃は現在13万円。依頼主の希望額は9万円。

早速、手配を開始する。

『Nさん、長らくお待たせ致しました。マッチング案件がありますが、どうしますか?』

『分かりました。では直ぐ手配していきます。よろしくお願いします。』

そしてNさんは705号室に引っ越し

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醜いアヒルの人(短編小説)

醜いアヒルの人(短編小説)

子供の頃から母に『ガチャガチャとウルサイ』と怒られた。
父からは『何を考えているのか分からん奴だ』と疎まれた。

先生からは『自分の事が出来る様になってから人の世話をやけ』と注意され
友達からは『薄情な奴』と嫌われた。

職場の人からは『八方美人』と陰口をたたかれ無視された。

私はグズでのろまで落ち着きが無く、空気も読めないダメな人間だ。

 

しかし、、職場に一人、私を見ていると『元気がもら

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九州が占領される日(短編小説)

九州が占領される日(短編小説)

現在韓国と北朝鮮の国境がキナ臭くなる中、ひとつのシナリオを書いてみました。

2020年8月1日、北朝鮮と関係が悪化する中、韓国のソウルにて退役軍人によるデモが始まった。対日強硬派【1919派】である。
その総数は始め500人であったが、どんどん膨れあがり8000人あまりの集団となっていった。

最初、アメリカとの同盟維持を呼びかける穏便なデモであったが、一部集団が過激化し警官隊との衝突が始まる。

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天国の民(短編小説)

天国の民(短編小説)

その国の民は幸せである。

自分達より幸せな国の民を知らないからである。起きて働き働き働き、日々を過ごす。

自分達より沢山食べている国の民を知らないし、自分達より沢山遊んでいる国の民も知らない。

自分達より栄えている国を、知らないし、   自分達より発達した国を、知らない。

その国には王がいて、役人がいて、民がいる。

土地があり、山があり、海がある。

土地は王の物であり、山は王の物であり

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悲しみは時の彼方へ(短編小説)

悲しみは時の彼方へ(短編小説)

『私・・・』

私って何だったんだろう、、思い出せそうで思い出せなくて、、

《思い出す》って何?だんだん分からなくなる。

頭では何も分からないが、身体が勝手に小学校に向かう。

知らないのに《懐かしい道》

知らないのに《懐かしい景色》

懐かしいって何?景色って何?

目が勝手に桜の花びらを追い、涙がどんどん溢れてくる。

《どうして水が出てくるんだろう?》

水って?何だったっけ?

学校

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