小鳥に食べられる未来(短編小説)
今日は急に仕事が無くなった。休みではなく、無くなったのだ。
外界とのただ一つの繋がりが途切れてしまうと、時が世界が止まってしまった様に感じてしまう。
朝飯を食べ、溜まった洗濯をして部屋を片付ける。
部屋の隅、机から落ちたままだったのか、、鏡餅のお供えが埃にまみれて転がり出てきた。
実家の母から送られてきて、飾って忘れていたのだ。
パックされた鏡餅はまるでプラスチックのおもちゃの様にツルツルとした見た目だ。
微妙に真面目な僕はプラスチックゴミとの分別にパックを外し、一旦鏡餅を窓の外に置く。
窓の外は色々な音はしているが、僕には関わりのない音ばかり、、
本当に世界は動いているのか、、本当は僕と同じ様に止まっているのではないか、、考えてしまう。
部屋もあらかた片付け終わり、やる事の無い僕はまたベッドに横たわりうとうとと眠りにつく。
夢なんて刺激も僕には与えられない。夕方の喧騒とも関係なく、再び目を覚ます。
何も外界と接すること無く今日は終わりそうだ。
ふと外を見ると鏡餅を小鳥が突いている。あらかたほとんど食べてしまっている。
やはり世界は僕と関係なく動き進み、そして数少ない僕と外界との繋がりも小鳥に食べられて無くなってしまうのだ。
そして今日も一日が過ぎ去っていく、、僕を残して、、、
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