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A piece of rum raisin - 第2ユニバース、第9話 絵美と絵美、純粋知性体、絵美と奈々

フランク・ロイド

A piece of rum raisin - 第2ユニバース
第9話 絵美と絵美、純粋知性体、絵美と奈々

やっと第4、第2、第1ユニバースが連結しました。まだ、第5~8話が残っていますが、先に連結部分を。

あらすじ

●NYタイムズスクエア、1985年12月7日(土)午前11時15分、第4ユニバース

 一体全体、なぜ、土曜日の午前中に取材にいかなきゃならないんだよ!とカメラマンのボブは文句を言った。そりゃあ、こっちのセリフだぜ、と俺は思う。何の因果でマスコミに入社してしまったんだろう。ガールフレンドは、デートがキャンセルでプンプンだ。

「しかたねえだろ?報道局からの呼び出しなんだから」と俺はボブに言い返した。
「だいたい、アジア人女性が銃撃されたってだけじゃないか?ニューヨークで1日何件起こるんだよ、そんなもん!」
「ニュースは全部拾わなきゃあいけないんだよ。中には、とくダネだって混ざっているかもしれんだろ!」
「くそったれ!でも、狙撃があったのが11時きっかりだろ?もう屍体だって搬送されているだろうに」
「だから急いでいるんだよ!」

 現場のオープンカフェに到着した。被害者は若いアジア人だった。大学生くらいかな?救急隊員が屍体を搬送するのに間に合ったのだ。担架に乗せているところをボブに撮影させた。

 アジア人にしては長身で黒の長い髪。かなりの可愛い子ちゃんじゃないか?アジア人の年齢はわからないが、大学生くらいなんだろう。彼女が腰掛けていたと思われるテーブルにノートブックとペンがあった。

 撮影はボブに任せて、俺は目撃者を探してインタビューをしようとした。彼女の座っていたテーブルの近くに白人女性がいた。さて、このおばさんは何か目撃したかな?

「すみません、ミズ、私はCNNの者ですが、銃撃事件を目撃されませんでしたか?」
「ハ、ハイ。私は撃たれた彼女の隣に座っていましたので、一部始終見ましたわ」
「なるほど。どんな様子でしたか?」
「彼女は、その隣のテーブルでメモをとっていたようです。それで、彼女がお日様がまぶしかったのか、顔をあげて、太陽の方を向いた途端、側頭部にポツンと・・・それで、彼女が椅子から倒れたんです・・・」
「ふ~む、銃声はお聞きになられましたか?」
「いいえ、銃声なんかしませんでしたわ」
「誰か、狙撃した人間が近くにいませんでしたか?」
「私もパニくって、地面に伏せたんですが、近くには狙撃犯みたいな人間は誰もみかけませんでした。もしかすると、かなり遠距離から狙撃されたんじゃないかな、なんて思います」
「遠距離?狙撃?」
「ええ、彼女が顔をあげた時、側頭部にポツンと銃痕が開くのが・・・もう、スローモーションのように見えました。顔をあげて、側頭部に穴があくなら、高い場所から狙撃されたんじゃないでしょうか?」
「う~ん、この話、カメラの前で、もう1回よろしいですか?」
「イエス、大丈夫ですが・・・あら、警察官がまいりましたよ」
「おっと、急ぎましょう。お~い、ボブ、こっちに来てくれ!」

●第4ユニバースの絵美と純粋知性体

 私は空間を浮遊していた。満天の星空。ほら、2001年宇宙の旅に出てくるあれよ。

 おっかしいなあ。夢でも見ているのかしら。だって、さっきまで、私は、タイムズスクエアのカフェでヒンクリーとブッシュファミリーのメモをとっていたんだもの。

 星々を通過して、星雲の中に入っていった。星系に近づいている。連星っていうのかしら?2つの太陽がお互いの周りを回っている。ペガスス座IK星?あれ?私、なぜ知っているんだろう?私は天文学なんてちっとも知らないはずなのに。

 知らない知識が私にささやく。

 太陽系から約150光年の距離にある連星。主星のペガスス座IK星Bは、1日当たり22.9回の周期で光度がわずかに脈動している。伴星のペガスス座IK星Aは質量の大きい白色矮星で、既に主系列星の段階を終え、核融合によるエネルギー生産は既に行っていない。
※異なる宇宙なので、AとBは逆になっている。

 主星のペガスス座IK星Bと伴星のIK星Aは、お互いの周りを21.7日で公転しており、平均距離は3100万kmだ。これは、太陽と水星の軌道距離に近い。

 ペガスス座IK星Aは、既知の最も近い超新星候補天体である。主星が赤色巨星に進化し始めると、半径が拡大して、外層から白色矮星に降着が起こる。白色矮星が1.38太陽質量のチャンドラセカール限界に達すると、Ia型超新星爆発を起こすと考えられている。

 主星はすでに赤色巨星の末期にたどり着いたようだ。ふ~ん、これは地球には150年後に見える光景ね?なるほど。あれ?なんで私はそんな場所にいるわけ?え?

(時間軸で言うと、2025年にこの光が地球に到達するのだから、ここは地球時間の1875年だ)

 え?だれ?

(私が、ぼくが、彼が、彼女が、そんなことはどうでもいい。絵美よ、よく見給え。ペガスス座IK星Aが膨張する姿を)

 ペガスス座IK星Bが、天文学的な規模で巨大に膨らみ始めた。赤黒い表層が薄くなってきて、数百倍、数千倍に大きくなる。あっという間に、小さく白く輝いていた伴星のペガスス座IK星Bが、赤黒い膨らみに飲み込まれる。ペガスス座IK星Aのキレイな白く輝いていた光が徐々に赤黒く染まり始め、収縮していった。

 どんどん小さくなっていく。ギュッと押し縮められている。小さく、小さく・・・

 すると、今までのしかかってきた超赤色巨星のペガスス座IK星Bに復讐するように、ペガスス座IK星Aが爆発して、ペガスス座IK星Bを吹き飛ばした。

(これが極超新星爆発なのだ。キミにも見えるように視覚の波長を調整しよう。見てみたまえ。今だ。ペガスス座IK星Aのあったところから細いビームが発射?地球人はこれを「発射」と表現するのか?それとも、「放射」かな?どちらでもいいが、ほら、見える?)

 見えた。

(あれが、ガンマ線の放射だ。地球人の映画で見るレーザー光線のようなものだ。非常に指向性が高い。つまり、ペガスス座IK星Aの極超新星爆発の膨大なエネルギーの一部が破壊的な規模で撃ち出されたということだ。これを地球人の言葉で「ガンマ線バースト」と呼んでいる)

 ガンマ線は、放射線の一種で、その波長はだいたい10ピコメートル。0.00000000001メートルだ、と知らない知識が言う。地球人の区分だと、波長領域の一部がX線と重なっていて、ガンマ線とX線の境界線はない。

 1.022 MeV以上のエネルギーを持つガンマ線が消滅する時、電子と陽電子が対生成される。陽電子( positron)は、電子の反粒子だ。絶対量が電子と等しいプラスの電荷を持っていて、その他の電子と等しいあらゆる質量やスピン角運動量 (1/2)といった特徴を持っている。

 キミらの世界の科学者、ポール・ディラックが、ディラックの海という空間にできる穴の形で、正電荷を持つ電子、つまり反電子の存在の仮説を立てた。20世紀という時代の始めの頃だ。

 そして、電子が陽電子と対消滅する際、陽電子のスピンは上向きになる。これが陽電子が時間的に逆行している電子と言われる現象だ。キミらの世界では仮説として扱われているが、事実、対消滅の際に、陽電子は時間が逆行する。過去に行くのだ。その時、電子は時間を手繰り寄せ、未来に行く。

 ま、私/ぼくが時間を行ったり来たりする仕組みは、私/ぼくが陽電子/電子を生成して、それらを使っているからだ。もちろん、今いるキミのユニバースと異なるユニバース、キミらの言葉でマルチバースの別の世界へも行ける。ほら、今、ペガスス座IK星Aの極超新星爆発でできたブラックホールがあるだろう?見えるかね?

 私にも見えた。光も逃げ出せない真の暗黒が私には見えた。

(あのブラックホールが別の宇宙にワームホールを通じて連結された。別の宇宙ではホワイトホールになっている。連結された先は・・・ああ、キミらの世界と違うキミ、森絵美がこっちの宇宙を第4ユニバースと呼んでいる。連結された別の宇宙は・・・第2ユニバースと呼ばれている)

 私/ぼくもこれからキミらの言う第2ユニバースに行こうと思っているんだ、キミを連れてね。でも、都合の悪いことに、あっちの第2ユニバースでも、キミがいた第4と同じで、キミはいない。狙撃されて殺されちゃったのさ。

「ちょっと、理解できないんだけど・・・」
「ああ、そうだろう。キミはタイムズスクエアのオープンカフェで側頭部を撃たれた即死したから、その死の瞬間などキミの記憶にはないんだよ」
「・・・私、殺されちゃったんだ・・・な、なぜ、私が狙撃されて殺されないといけなかったの?」
「だって、キミはFBIの訓練生で、ドナルドレーガン暗殺未遂事件を調べていて、ブッシュファミリーの所属する組織のNWOの逆鱗に触れたからだよ」
「NWOって、新世界秩序?イルミナティーみたいな?」
「そうそう。その組織が、運の悪いことに私/ぼくの仲間がいたずらしているんだな、これが」
「え?」

 さあて、話は戻るが、ペガスス座IK星Aの極超新星爆発で発射されたガンマ線バーストの行き先を知りたくないかね?超宇宙規模のレーザービームみたいなものだ。当たればひどいよ。地球なんて丸焼けさ。バンアレン帯など数秒で吹き飛ぶ。そして、地球全体の生命の9割は焼け死ぬんだ。

 この宇宙のガンマ線バーストの行き先は、地球スレスレだ。これから行く第2宇宙とやらも同じく。しかし、キミらの世界と違うキミである森絵美のいる彼女の第1ユニバースと第3ユニバースとやらは、ペガスス座IK星Aのガンマ線バーストが直撃する。地球はお陀仏だ。第1と第3ユニバースのキミとキミの仲間は、それを回避するためにジタバタしているようだな。

 まあ、面白そうだ。私/ぼくも混ぜてもらおうか。

「あなたはなんなの?どういう存在なの?神という存在なの?」
「え?私/ぼくのこと?そうだなあ、なんだろう?キミは読んだかどうか知らないが、アメリカのSF作家E・E・スミスの『スカイラーク』シリーズに出てくる純粋知性体というのが近そうだ」

「E・E・スミス?『スカイラーク』シリーズ?高校生の頃、読んだ記憶があるわ。ビッグバンの宇宙創成期の後、知性を持った種族が数万年たって、肉体を持たず物質・精神レベルの瞬間構築、瞬間移動が可能な存在になった、宇宙を彷徨っていて、善とか悪とかでは計り知れず、いたずら好きな神のような、気まぐれな存在と確か書いてあったわ。それがあなたなの?純粋知性体があなたなの?」

「それに近いな。そう考えてもらって良い。今のキミだって、記憶データ/知性システムだけで、肉体は持たず、不死なんだから、私/ぼくと似たようなものだ。だから、私/ぼくと一緒にワームホールを通り抜けられる。もしも肉体を持った存在だったら、ブラックホールの潮汐力でバラバラになってしまう。肉体を持たない純粋知性の私/ぼくや、記憶データ/知性システムだけのキミなら向こうに行けるってことさ」

「ちょっと待ってよ。私を向こう?第2ユニバースに連れて行って、私をどうするつもりなの?」
「そうだなあ。もしも、向こうのキミ、類似体と第1や第3のキミらは呼んでいるらしいが、その類似体が存在していれば、キミという第4の記憶データ/知性システムを第2のキミの類似体に転移されるところだが、死んじゃっているからなあ。どうしよう?どうして欲しい?」
「そんなことを聞かれても答えられるわけがないじゃない!」
「でも、記憶データ/知性システムという存在のままに、宇宙を彷徨い歩きたいかね?」

「・・・こ、殺してよ。私という存在を消してよ」
「ごめんねえ。私/ぼくは不死だって言っただろう?キミも不死なんだよ。だいたい、死ぬとかは物質、つまりエネルギーを持っている存在ならできること。エネルギーも何も持たない私/ぼく/キミは、消えて亡くならないんだ」
「・・・あなたみたいに宇宙を彷徨い歩くのはイヤ!」

第9話 絵美と絵美、純粋知性体、絵美と奈々に続く

シリーズ「A piece of rum raisin - 第2ユニバース」

第1話 絵美の殺害1、1985年12月7日、9日、10日、ニューヨーク 👈NEW
第2話 絵美の殺害2、1985年12月11日、ニューヨーク 👈NEW
第3話 絵美の殺害3、1985年12月11日、ニューヨーク 👈NEW
第4話 絵美の殺害4、1985年12月11日、絵美のドミトリー 👈NEW

第9話 第9話 絵美と絵美、純粋知性体、絵美と奈々 👈NEW
第10話 誘惑、1986年10月10日(金)
第11話 転移、1986年10月11日(土)
第12話 交代、1986年10月11日(土)
第13話 デート、1986年10月11日(土)
第14話 買い物、1986年10月11日(土)
第15話 融合、1986年10月11日(土)
第16話 渡航、1986年10月12日(日) 第ニユニバース
第17話 第一ユニバース、2010年
第18話 洋子1、1986年10月20日(月)、モンペリエ、フランス、第ニユニバース
第19話 洋子2、1986年11月11日(火)、ニューヨーク、第ニユニバース
第20話 洋子3、1986年11月14日(金)、ニューヨーク、第ニユニバース

シリーズ「A piece of rum raisin - 第1ユニバース」

第1話 メグミの覚醒1、1978年5月4日(火)、飯田橋
第2話 メグミの覚醒2、1978年5月5日(水)
第3話 メグミの覚醒3、1978年5月7日~1978年12月23日
第4話 洋子の不覚醒1、1978年12月24日、25日
第5話 絵美の覚醒1、1979年2月17日(土)
第6話 洋子の覚醒2、1979年6月13日(水)
第7話 スーパー・スターフィッシュ・プライム計画
第8話 第二ユニバース
第9話 絵美の殺害1、第2ユニバース
第10話 絵美の殺害2、第2ユニバース
第11話 絵美の殺害3、第2ユニバース
第12話 絵美の殺害4、第2ユニバース

メグミちゃんの「ガンマ線バースト」の解説

マルチバース、記憶転移、陽電子、ガンマ線バースト

登場人物

●アメリカ、NYPD、監察医務局
ノーマン  :NYPDの警視、森絵美の捜査担当
マーガレット:ニューヨーク市監察医務局監察医、医学博士、森絵美の捜査担当
●フランス、洋子関連
島津洋子(第二): 仏モンペリエ大学の法学教授、1952年生まれ、1986年34歳
ピエール:仏モンペリエ大学の洋子の同僚
ジョン :ピエールの友人の米国人。フランス外人部隊の退役軍人。
●アメリカ、ハワード&ニック探偵事務所(ジョンの紹介の探偵事務所)
ハワード:アイリッシュ系白人男性、身長180センチ
ニック :黒人男性、身長200センチ
マリー :秘書、白人金髪女性、日本語を話す、捜査情報収集
●ビル・ゲイツ(第一、第二):マイクロソフト創始者
ビル・ゲイツ(第二):第一、第二での洋子たちの資金源。1955年生まれ、1986年31歳
●日本
森絵美  (第二ユニ):1979年21歳転移、1985年27歳の時NYで射殺、死亡
神宮寺奈々(第二ユニ):1979年21歳転移、1986年28歳の時絵美の記憶が転移、二つの人格
宮部明彦(第二ユニ):1970年12歳転移、1986年28歳
加藤恵美(第二ユニ):1978年20歳転移、1986年28歳


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フランク・ロイドの随筆 Essay、バックデータ

弥呼と邪馬臺國、前史(BC19,000~BC.4C)


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