先生は俺の目を食い入るようにじっと見る 「早く話せ」と目が言っている 俺は転機の出来事を話し始めた 「小5の後半のことでした」 「産休代理の先生の国語の授業の時で…
卒業式終了、校庭に残っているのは担任の先生 ヤッちゃん、シゲちゃん、俺の貧乏三羽烏 俺達をわざわざ呼び戻して贈ってくれる激励の言葉 これから家族の要になって農業を…
卒業式の後の宝物のような時間 担任の先生からの珠玉の「はなむけ」の言葉 順番にヤッちゃん、シゲちゃん、俺に語り掛けてくれる 語り掛けはさらに続いていく 話は小学生…
「いざ分かれ目」の最後の最後 担任の先生が俺たち貧乏三羽烏を呼び戻す 一人一人順番に「はなむけの言葉」 何で俺達だけにと疑心暗鬼 先生から俺達への愛情満載の心に刺…
卒業式終了後の思ってもいなかった担任の先生の「総括」の言葉 ヤッちゃん、シゲちゃんの順に涙腺を刺激する「愛」の言葉 中学校入学以来俺たち貧乏三羽烏のことをずっと気…
ヤッちゃん、シゲちゃん、俺、3人はまだ中学校の校庭にいる 母親たちは「別れの木造橋」でおしゃべりに興じている 先生が俺たち3人に一人ずつ「はなむけの言葉」を贈って…
「別れの木造橋」への距離は近くて遠い 感涙の卒業式が終わり、中学校の校庭は閑散としている 用務員のおじさんとの最後の挨拶のやり取りにまた涙 今まで我慢していた涙は…
「別れの木造橋」はすぐそこに近づいている ヤッちゃんと俺、ヤッちゃんとシゲちゃん、シゲちゃんと俺 お互いの心の思いをしっかり伝えることができただろうか まだまだ言…
「別れの木造橋」に向かってゆっくりと歩を進めていた 俺、ヤッちゃん、シゲちゃんの静かなエール交換 鼻垂らし3人組の今までの思いがほとばしり出る 小学校、中学校と変…
坂道を下って木造橋を渡れば3人の別れが待っている 小学校低学年から中学3年生終了の今までの友情関係 各地域では誰もが知る貧困家庭に育った貧乏三羽烏 同じ境遇を切り…
3年間お世話になった、川に架かっている木造橋 坂道を下る途中で見えてくる いつもヤッちゃんとそこで待ち合わせて3人で渡った 今日は心を騒がす、わずか10メートルに…
卒業式の余韻が残る別れの坂道 こんな風にゆっくり坂を下りるのもこれが最後 万感胸に迫りさっきから熱いものが胸にこみあげている 3人で一緒に耐えてきた「明るい」貧困…
ヤッちゃん、シゲちゃんの順に饒舌に心の内を吐露 まるで前から決めていたかのように思いの丈を語る 今度は当然俺が自分の思いを2人と自分に語る番だ 心の中には過ぎし日…
貧乏の星のもとに生まれた三羽烏 俺、シゲちゃん、ヤッちゃん 生まれてから今の今までついて回った貧困 小学生時代「貧乏」を意識し始めたのは2,3年生の頃か 3人がお…
中学校生活最後の日の帰りの通学路 最後の足取りを残すかのようにゆっくり歩く 坂道が終わりかけたころヤッちゃんがおもむろに話し出す 「俺はおめえらがいてくれて本当に…
この坂を下るのもこれが最後になる 胸に去来するよしなしごと その中には浮かんできて胸をチクリと刺すことも多い 幼少時、小学生時代、そして中学生時代 俺、シゲちゃん…
Ichi
2023年11月1日 17:35
先生は俺の目を食い入るようにじっと見る「早く話せ」と目が言っている俺は転機の出来事を話し始めた「小5の後半のことでした」「産休代理の先生の国語の授業の時でした」「また退屈な国語かあ、と投げやりな感じでいました」「今日は作文よ!と先生はニコニコ顔でした」「そんなのヤだよ!」「めんどくせえなあ!」「書くことなんかねえよ!」「俺たち貧乏三羽烏はもちろん多くが不平三昧でした」「は
2023年3月15日 10:37
卒業式終了、校庭に残っているのは担任の先生ヤッちゃん、シゲちゃん、俺の貧乏三羽烏俺達をわざわざ呼び戻して贈ってくれる激励の言葉これから家族の要になって農業をしていくヤッちゃん東京の工場での仕事に全力を傾けて臨むヤッちゃん無理を覚悟の経済状況を押して公立高校進学が決まった俺「最後に俺に言っておきたいこと」とは何だろうか先生は瞬きもしないで俺の目をじっと見る数十秒間の緊張感で落ち着
2023年2月28日 17:54
卒業式の後の宝物のような時間担任の先生からの珠玉の「はなむけ」の言葉順番にヤッちゃん、シゲちゃん、俺に語り掛けてくれる語り掛けはさらに続いていく話は小学生時代にさかのぼっていく先生は俺たち3人の顔を順番にゆっくり見ながら話す貧乏な子供たちの唯一の味方、安藤先生から聞いた話だという俺達も先生の話に口をはさむ「頭のてっぺんから足先まで貧乏がまとわりついていたそうだな」「そうかも
2023年2月21日 13:19
「いざ分かれ目」の最後の最後担任の先生が俺たち貧乏三羽烏を呼び戻す一人一人順番に「はなむけの言葉」何で俺達だけにと疑心暗鬼先生から俺達への愛情満載の心に刺さる言葉それほど俺たちは印象深かったのかそれほど俺たちは目立っていたのかそれほど俺たちは気になる存在だったのかそれほど俺たちを気にしてくれていたのか今となっては感謝の思いが胸深くから湧き出て来る37名平等に「娘、息子」とし
2023年2月15日 16:55
卒業式終了後の思ってもいなかった担任の先生の「総括」の言葉ヤッちゃん、シゲちゃんの順に涙腺を刺激する「愛」の言葉中学校入学以来俺たち貧乏三羽烏のことをずっと気にかけてくれていた最終学年の担任として俺たちのことを陰に日向に見てくれていた同級生37人の中で俺たち3人の貧困状況は飛びぬけていた他の男子数人、女子数人も貧困ではあったが俺たちには「敵わない」着ているモノ、持っているモノを見るだ
2023年2月11日 10:55
ヤッちゃん、シゲちゃん、俺、3人はまだ中学校の校庭にいる母親たちは「別れの木造橋」でおしゃべりに興じている先生が俺たち3人に一人ずつ「はなむけの言葉」を贈ってくれるまずはヤッちゃん、感激の態で顔が紅潮している次に先生はシゲちゃんの顔を「穴が開くほど」じっと見るシゲちゃんは緊張しているのか直立不動の姿勢でいる先生がしばらくの沈黙の後ゆっくり話し出す「お前も今日まで俺の息子だからシゲ
2023年2月3日 16:44
「別れの木造橋」への距離は近くて遠い感涙の卒業式が終わり、中学校の校庭は閑散としている用務員のおじさんとの最後の挨拶のやり取りにまた涙今まで我慢していた涙は今日一気に流し切ったかのようだ今度は用務員のおじさんと一緒に立っている担任の先生「こっちへ戻って来い」の手招きに自然に体が動く貧乏三羽烏に最後に伝えたいことでもあるのかと疑心暗鬼先生はまっすぐ3人を見据えているさらにせわしく
2023年1月27日 19:38
「別れの木造橋」はすぐそこに近づいているヤッちゃんと俺、ヤッちゃんとシゲちゃん、シゲちゃんと俺お互いの心の思いをしっかり伝えることができただろうかまだまだ言い足りないことがたくさんあるような気がしている言葉にはできないことがまだたくさんあるような気がしている貧乏三羽烏の9年間を振り返ってみると本当に「楽しかった」ヤッちゃんが突然大声を上げる「おい!大事なことを忘れてるど!」俺とシ
2023年1月22日 10:33
「別れの木造橋」に向かってゆっくりと歩を進めていた俺、ヤッちゃん、シゲちゃんの静かなエール交換鼻垂らし3人組の今までの思いがほとばしり出る小学校、中学校と変わらず友情関係が続いてきた貧乏三羽烏は3人一体で9年間を過ごしてきた陰に陽にかかる貧困ゆえの重圧に3人で耐えてきた学校という閉鎖空間には1人だけなら耐えられない重圧があった「自分より下」を蔑むクラスメートの視線が痛かった「あ
2023年1月13日 14:59
坂道を下って木造橋を渡れば3人の別れが待っている小学校低学年から中学3年生終了の今までの友情関係各地域では誰もが知る貧困家庭に育った貧乏三羽烏同じ境遇を切り抜けてきた3人の結束は固いものがあった1人だけだったらプレッシャーに打ちひしがれていただろう恥ずかしさも屈辱もことあるごとに3人で分け合ってきた今日がじっくり言葉を交わせる最後の機会になるかもしれないヤッちゃんがシゲちゃんにお
2023年1月10日 09:56
3年間お世話になった、川に架かっている木造橋坂道を下る途中で見えてくるいつもヤッちゃんとそこで待ち合わせて3人で渡った今日は心を騒がす、わずか10メートルにも満たない橋中学3年間の往復歩数は合計何歩になるのだろうか下を流れる川は四季折々いろいろな姿を見せてくれた坂道の角を曲がって木造橋の端が見えてくる3人で静かなエール交換を始める最初に俺とヤッちゃん「ヤッちゃん色々とありがと
2023年1月8日 10:03
卒業式の余韻が残る別れの坂道こんな風にゆっくり坂を下りるのもこれが最後万感胸に迫りさっきから熱いものが胸にこみあげている3人で一緒に耐えてきた「明るい」貧困9年間の「苦しい楽しい」思い出が去来する口に出さずともお互いの心情が共有できた俺の思いはさらに口からほとばしり出る「着ているモノとか持ちモノでずいぶん陰口言われたよな」「継ぎ当てだらけだよなあ」「ツンツルテンだよなあ」「
2023年1月4日 16:50
ヤッちゃん、シゲちゃんの順に饒舌に心の内を吐露まるで前から決めていたかのように思いの丈を語る今度は当然俺が自分の思いを2人と自分に語る番だ心の中には過ぎし日々の思い出がゴッソリ詰まっている言葉に出してしまうと陳腐になってしまうかもしれないそれでも今がしっかりと思いを伝える最後のチャンスだ気づかれないようにまずはゆっくり呼吸を整えた言いたいこと、伝えたいことがほとばしり出そうだヤ
2022年12月29日 13:42
貧乏の星のもとに生まれた三羽烏俺、シゲちゃん、ヤッちゃん生まれてから今の今までついて回った貧困小学生時代「貧乏」を意識し始めたのは2,3年生の頃か3人がお互いの服装、顔つき、言動が似ていることを察知以来自然にひかれあい思春期の今も同じ行動をとっているヤッちゃんの心情吐露の後今度はシゲちゃんが話し出すヤッちゃんの話に心を打たれ下を向いていた顔を上げる「ヤッちゃん、イッちゃん、俺
2022年12月26日 19:17
中学校生活最後の日の帰りの通学路最後の足取りを残すかのようにゆっくり歩く坂道が終わりかけたころヤッちゃんがおもむろに話し出す「俺はおめえらがいてくれて本当にありがたかったよ」「一番貧乏で、一番馬鹿な俺に付き合ってくれて本当にありがとな」「おめえたちといると頭の良しあしとか関係なかった」「金のあるなしなんてもっと関係なかったよな」「最後に百姓でもちゃんと勉強が必要なんだって気づかせて
2022年12月24日 14:53
この坂を下るのもこれが最後になる胸に去来するよしなしごとその中には浮かんできて胸をチクリと刺すことも多い幼少時、小学生時代、そして中学生時代俺、シゲちゃん、ヤッちゃんの変わることのなかった共通項影に日向に尻尾のようについて回って来た貧困3人でお互いに精神的に支え合って乗り越えてきたこれが俺一人だけだったらどうだっただろうか考えただけでも身がすくむ思いがする自我が芽生えてから