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「HTLV-1関連脊髄症」の医師の男性が、介助犬を迎えてできた豊かさと新しい治療方針。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
身体に障害がある人の生活を助ける介助犬などの補助犬は、まだまだ社会に知られていません。飲食店では受け入れ拒否も後を絶たない中、神奈川県横浜市にある社会福祉法人「日本介助犬協会」が、東京都内でPRイベントを開催するなどして支援と理解を発信しています。

厚生労働省によりますと、介助犬は58頭(2023年10月時点)と、800頭超の盲導犬と比較しても少ないといいます。聴覚障害者を手助けする聴導犬を含む補助犬の受け入れは、身体障害者補助犬法で飲食店や交通機関など民間事業者にも義務付けられ、施行から22年経過しましたが、入店や乗車の拒否が今もあります。

介助犬は、利用者の障害に応じて訓練する必要があって、育成に2年程度、費用も250万~300万必要です。自治体の補助もありますが、育成費用の9割は寄付で賄っています。

2024年5月27日に東京都港区で開催された介助犬の実演には、親子連れや周りの店で働く人たちが集まり、指示通りに動くバディに大きな拍手を送りました。イベントは2016年から「日本介助犬協会」を支援している東京都港区にあるバイオ医薬品企業のアッヴィ合同会社が主催しました。

車椅子に乗った協会の担当者が指示すると、ゴールデンレトリバーとラブラドールのミックスで3歳のメスのバディが担当者の足の下を通って足を組みやすくさせ、靴下のかかと部分を噛んで素早く脱がしました。スマホを探して手元に持ってきたり、取っ手部分に紐がついた冷蔵庫を引っ張って開け、中からペットボトルを取り出したりしました。

「日本介助犬協会」の小寺真美常務理事は、「介助犬を理解し、ぜひ支援をして頂きたいです」と発信していますが、なかなか理解と知識が浸透しないのが、現実です。

そんな中で、大阪府に難病を抱えながら、介助犬を通して、患者さんの病気の治療に役立てようとしている一人の医者がいました。

大阪府泉佐野市にある社会医療法人「栄公会」の理事長で、難病を抱える医師の中村薫さんが、パートナーの介助犬、ラブラドルレトリバーのジュリエット(メス、4歳)を伴って患者さんなどのリハビリや診療を行う「介在療法」を実践しています。犬と触れ合うことで、患者さんなどの不安やストレスなどが和らいで、前向きな気持ちを抱けるなどの効果に期待が持てるとされています。

今回は難病の医師、中村さんが取り組む、介助犬ジュリエットとの「介在療法」について取り上げます。

国の指定難病の中村さん。ジュリエットに出逢って難病を患っても変わった、医師としての心構え


整形外科医の中村さんは、13年前に国の指定難病「HTLV-1関連脊髄症(HAM)」と診断されました。ウイルスによって脊髄に炎症が起きて、神経を傷付けて両脚のまひなどが進行する病気で、患者は全国におよそ3000人と推定されています。

およそ5年前から車椅子生活になり、2年ほど前、障害を抱えている人たちを支援する「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」3種の補助犬を育成する神奈川県横浜市にある公益財団法人「日本補助犬協会」を訪れ、ジュリエットと出逢いました。合同訓練や認定試験などを経て、2023年3月から一緒に暮らし始めました。

普段、ジュリエットは中村さんの日常生活を支援します。
冷蔵庫の中からペットボトルを取ってきたり、ドアを開け閉めしたり。中村さんは、
歩けない僕に、ジュリエットは様々なことをしてくれますが、それよりも、何となく感じる孤独な心や負い目を補ってくれています。いつもそばにいて、心が休まっています」と述べました。

「栄公会」が運営する病院や高齢者福祉施設に出向く時も、一緒に連れていきます。ジュリエットは、施設を利用するお年寄りと触れ合い、リハビリや診察を受ける患者にも寄り添います。障害を抱えている人が動かしにくい手で撫でようとしたり、失語症の人が話しかけようとしたりするなど、患者さんなどの前向きな気持ちを引き出す役割を果たしていると考えられる場面が、幾つもあると語りました。

中村さんは、
「患者さんの心を落ち着かせてくれるのが1番の効果があります。リハビリでジュリエットが近くにいると、患者さんのモチベーションが向上して、治療が円滑に進む時もあります」と説明しました。

参考:難病の整形外科医、介助犬と一緒に診察…患者が犬とふれ合い前向きな気持ちになれる効果も期待 読売新聞(2024年)

「日本補助犬協会」によりますと、補助犬を伴う療法は、欧米諸国の医療機関で導入されています。患者さんなどの不安やストレス、悲しみなどを和らげ、快活になったり、気持ちが落ち着いたりする効果に期待がされています。日本ではまだ実践例は少なく、補助犬ユーザーの医師自身が励むケースは非常に稀だとされています。

2024年4月、「栄公会」は、この「補助犬介在療法」について「日本補助犬協会」と連携協定を締結しました。訓練士1人を派遣して頂き、実践に励んでいます。

2024年5月中旬には、社会参加や補助犬の働きについて考えて頂こうと、施設や病院のスタッフらおよそ100人を集めたセミナーも開催しました。

「日本補助犬協会」の朴善子代表理事は、
医師という視点で、補助犬が自身の心の癒やしやリハビリにもたらしてくれる効果を広げていくべきだという中村さんの想いを、共に推し進めていきたいです
と期待を寄せています。

中村さんは、補助犬についての啓発活動だけでなく、専門的訓練を受けて病院で患者の療養や治療に寄り添う犬「ファシリティードッグ」を導入することも必要だと考えています。

「これから、ジュリエットと力を合わせて、『チーム・ジュリエット』として、関西の『こども病院』に『ファシリティードッグ』を派遣する活動にも励みたいです」と述べました。

介助犬など補助犬がいることでの生活の中のハリと豊かさ

私の中で介助犬など補助犬の身近な話は、所属する会社の同僚で、WEBデザイナーの男性です。

2024年5月に、その同僚の方にインタビューをして、それをインタビュアーとして参加した私が編集して、記事として弊社の自社メディアに掲載されています。

その同僚の男性が、「介助犬が来て、出かけられる様になった」と言っていました。

自社メディアのインスタで、「九州初の介助犬ユーザーとして介助犬との暮らしを発信していきたい」と話す同僚の男性のアカウントをフォローしているのですが、その中でインタビューの中に出て来た話が投稿から垣間見られました。

その中で、福岡市に電車で行ける様になった。美術館に行った。また別の市にコンサートに行った。など、介助犬を迎えてから、できなかったことができる様になったことの喜びが投稿の節々に溢れていました。

仕事をしている時に同僚の男性が、ストーリーズで散歩に行った時でしょうか?よく介助犬の写真を挙げているのですが、それは毎回微笑ましく見ています。

この記事の本題の中村さんも、ジュリエットを迎えてから、新たにできた「介在療法」や、今後「ファシリティードッグ」も検討していることで、凄く前向きなメッセージを感じました。

「ファシリティードッグ」は費用が高額なため、希望する病院は多くても、実際に日本での導入例はかなり少ないです。

中村さんという当事者が、「ファシリティードッグ」を導入することになったら、他の病院とはまたカラーの違う、中村さんにしかできない「ファシリティードッグ」になるのではないか?と、心が躍りました。


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