目目、耳耳(もくもく、じーじー)

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美しき、百“希”夜行(夜天/女王蜂)

今、『先が見える人』と『先が見えない人』は、どちらの方が多いんだろう。

終わりが見えないなんちゃらウイルスに、もしかしたら明日起こるかもしれない震災に。

行きたい場所へ、行けない。

誰かに会いたいのに、会えない。

ピリピリした現実。

あっちを向いても、こっちを向いても、一寸先は闇。

自分のこともそうだけど、自分が好きな人達も。

たとえば、好きなミュージシャンのこと。

僕の大好きなバ

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あなたの名前を、(よいひかり/三角みづ紀)

「お元気ですか」

「元気ですよ」

「そちらの街は、どうですか」

「すてきですよ。あなたの街と同じくらい」

「たとえば、スープを作るとき。

じゃがいもを、にんじんを、玉ねぎを、あとベーコンを切って。しめじは、もともと切ってあるのを使って。出来上がったスープは、コンソメと秋の匂い。

あなたにも、届いているといい。」

「たとえば、インクを変えるとき。

新しいインクを手に入れた。色はもちろ

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少年少女は「解剖」する(レストー夫人/三島芳治)

学年に一人はいる、どこか謎めいた美少女。に、出会ったことは終ぞありませんでした。ぼくの場合。(いたかもしれないけど、周りに関心がなさすぎてわからなかった。)

あれは、フィクションだけなんだろうか。もし、実在するとしても。周りをふり回す力があるとしても。それは、本人のあずかり知らぬところで。周り、もしくは本人が考えている以上に。彼女は。

『レストー夫人』は、演劇の題目。もしくは、漫画のタイトル。

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。。。(Q/Light Dance/幽栖)

1.Q - 女王蜂(2017年)記憶から迫り上がるものがある。それも、記憶には違いない。けれど、化石になっていたもの。二度と思い出したくないもの。それがなくては、ぼくはぼくにはなれなかったけど。同時に、二度と経験したくないもの。その日の気分、そんなもので叱責されたこと。ぼくがぼくであるだけで、気味悪がられたこと。自分で自分をころそうとしたこと。全て、石になって頭の中を転げ落ちる。あのころ。あのころ

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「から」の続きにあるもの(世界はきっと僕の味方じゃないから/水色爽 )

「世界はきっと僕の味方じゃないから」

世界は味方じゃない。味方してくれない。世界は優しくないから。でも、「じゃない」で句読点を打つのではなく、「から」と続き、その先のことばを予感させる。ぼくはそれを、とても優しいと思った。

SNSには、善意がある。わかりやすい悪意もある。本人は善意と思っていても、他人に押し付けることで悪意に変質するものもある(本人はそれが善意だと信じたまま)。なにを言ってもい

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身に覚えのない風景(無題/カーソン・マッカラーズ)

「人は何もかも計画することなんてできないんだよ」

――本文より引用

このセリフだけは、よく覚えていた。

覚えていたというか、ぼくのどこかで痕になって、膿んでじゅくじゅくした音を立てるのを聞いていた。そのくせ、空であらすじを辿ろうとすると、上手くいかない。

『無題』(カーソン・マッカラーズの20代のころの習作。未完成のまま、後年未発表作品集としてまとめられた。)は、アンドルーという青年の追憶

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世界を臨む唯一の方法――菅原敏『季節を脱いで ふたりは潜る』に寄せて

日々を、肌で感じる。汗ばむ腕の夏。粟立つ背の冬。時々、風に突き刺され。壊れ物を扱うように、あなたが触れ。

目を閉じても開いても、季節は巡る。時間は確実に進んでいるとか、よくわからないけど。季節は、肌が教えてくれる。あなたに目隠しされながら。想うことはたくさん。

しんとした部屋が、自分の中にある。(誰の中にもある?)空っぽのことがほとんど。枯葉が降り積もることもある。雪で埋もれることもある。誰か

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「秘すれば花」について(当麻/小林秀雄)

美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。

――本文より引用

美しい花がある。美しい人がいる。けれど、それを語ることはできない。ある人は、その造形を語る。ある人は、その身に宿す魂を語る。けれど、そういうことではないのだ。どれを語られたところで、違和感を覚える。誤ってはいないし、おそらく共感もする。でも、何から何まで同意できない、といえばいいのか。

ぼくにも、美しいと思う人がいる

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「海」へ「想」う。(私の船長さん/M.B.ゴフスタイン)

彼はきっと自分の運のよさに
びっくりすることだろう!

――本文より引用

幼いころ、本棚にある本やぬいぐるみに、タオルをかけてから眠っていた時期がある。彼らが、寒がるんじゃないかと思って。

それは、子どもによくあるアニミズム(だったっけ)かもしれないけど。ずっと目を開けて、ずっと座りっぱなしの彼らが、ぼくが眠っている間は、同じように眠っているんじゃないかと。今でも、そんな気になるときがある。

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蜜と腕(片腕/川端康成)

大切なものを他人に預ける行為は、何を指すのだろう。あなたを信用している証なのか。それとも、あなたになら壊されてもいい、その願いなのか。

「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを右手に持って私の膝に置いた。

――p119より引用

娘は、自身の右腕を男に預ける。右腕は着脱式で、肩から外しても、腕にはちゃんと血が通っている。だから、自身の一部をそっくりその

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どもるぼくと、時々どもる川(ぼくは川のように話す/ジョーダン・スコット,シドニー・スミス)

朝、目をさますと、
口のなかにはもう、
そんなやっかいな音が
つまっている。

――本文より引用

「その話し方って、わざと?」

と、言われたことがある。

「なんだか、甘えた感じの話し方ですね」

とも、言われたことがある。

自覚はない。ぼくは、ただ普通に話しているだけだ。それなのに、言いがかりをつける人がいる。しかも、一人や二人じゃなくて。

ぼくは、親しい人であればあるほど、滑舌がゆるく

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