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エッセイ

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2023年12月の記事一覧

胃痛の歳末

胃痛の歳末

休みの安堵感か、日々の不摂生かはわからないが、ここ数日は胃が荒れてベロに口内炎が群生している。紫陽花ならば美しかろうが今は冬だし、口内炎は忌避すべき状況。

毎年この時期になると1年おつかれさまでしたと言わんばかりに体調を崩す。今年は暖冬といいつつも、寒暖差の激しい冬なので体にしっかりとダメージが蓄積しているのかもしれない。一回風邪引くとしばらく引き摺るのと同じ理論か。

考えてみれば、年末は1年

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焚き火と旅団の声の宴

焚き火と旅団の声の宴

昨夜は音声通話のグループで、サンタクロースを見送る会話をした。年齢も性別も、当然の様に環境や棲息地域のばらばらな人たちが、なんでもない様なくだらないことを夜中に話し合っているのは控えめに言って奇跡の入り口に立っていた様な気がする。

SNSは悪意の蓄積しやすい場所とされ、匿名性が論拠に挙げられやすい。その側面は確かにあるとは思うが、現実社会の記名性とて、何をどこまでいいのかは明確ではない。そうでな

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サンタクロースが笑う理由

サンタクロースが笑う理由

瓦礫の街がテレビに映し出されても、子供たちが笑う景色を祝う。重苦しい空気と、絶え間なくネガティヴな情報を垂れ流すテレビ。戦争は許せないと言いながら、情報戦を仕掛けて裏側からそれを操ろうとするメディアを私は軽蔑するし、許せない。

LOVE&PEACEだけで世界は作られていない。青い地球は夥しい血と戦火で彩られ、青い惑星ではなく赤と青の混ざり合った紫色の惑星というのがふさわしいと思ってしまう。悲しい

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合法的アディクト

合法的アディクト

最近、風邪をこじらせていて体調があまり好ましくなかったのだが、経験上食べねば治りが遅くなると、赤から鍋の汁にすりおろした生姜をたっぷり入れた鍋を作って食べていた。具材は豚こまと鳥だんご。

甘辛い食べ物は危険で、幾らでも食べられるような錯覚を満腹中枢に与える。甘いものは別腹理論も、おそらくは甘さが脳に対して麻痺させる何かを出しているのではないか。砂糖は麻薬説とかあるし。

芸能人のイリーガルなもの

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異常な季節のステータス

異常な季節のステータス

寒くて布団の中にいても携帯端末を使って文面を作るのがきつい季節になってきた。今年は夏の延長期間が長く、関東ではつい先週に昼に20℃を上回る日があったはそうだ。私の生息地は当たり前のように遥かに下の気温であったが、それにしても高い気温。

異常気象という単語を使うには、異常なことが通常化しているパラドックスがあるが、今度は極端な寒気がやってきているわけで、日本海側にお住まいの方は明日から気をつけてお

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たりないぬくもり

たりないぬくもり

鍋を作り煮込み、風呂を沸かせ、寒い部屋で私にだけ温もりが足りない。野菜や水は加熱されていると言うのに、エアコンもつけず氷点下で独居の暮らしを営む夜。

同棲というものをかつてしたことがあるが、あのわずらわしさをシェアしながら体温も重なる時間帯が懐かしくもある。人肌恋しいなどとはあまり思わないのだが、寒い日に野良でさえ猫が丸く寄り添うように、たりないぬくもりを与え合うというのは煩悩よりも本能なのかも

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傷跡をのこす

傷跡をのこす

ようやく、King GnuのTHE GREATEST UNKNOWNを聴いた。既発曲が多かったから、ベストアルバムみたいになると厭だなと思っていたが、歪なギターの歪みやVer違いが新曲とひとつになっていて、聴くのに体力と覚悟のいる作品だった。

King Gnuの、ジャッジャッジャと掻き鳴らすギターや別次元から時が歪んだような声へのエフェクトしかり、米津玄師のウエッともクエッともつかない異音含め、

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独占欲とシェアザライト

独占欲とシェアザライト

楽しいことはできるだけシェアしたいし、美味しいものは何人かで笑いながら食べることがスパイスになる。孤独は楽だし、1人でいることは苦痛では無いけれど、楽しい時間や空気のシェアや光の共有みたいなものも嫌いでは無い。

独占するより、持ち寄って交換することの方が楽しいし、抱え続けて奪われることを恐れての疑心暗鬼や憎悪が膨らむことは、生きる上で無駄だしつまらないとさえ思う。

それでも、大事な人との時間は

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バランスとタイミングの悪さ

バランスとタイミングの悪さ

携帯電話の機種変更をしたタイミングで、数日前まで使っていた8年前の端末のバッテリーを交換(しかも、安価で)できるところを見つけた。自分がより細部まで探せばよかったのだが、機種変更をしたタイミングで見つかるのも皮肉な話だ。

機種変更も、父が家電量販店にソフトさえ買えば問題ないのに、ノートパソコンを売られて、その説明を聞きに行く最中に値引き中の携帯端末に出会して反射的に飛びついた。来年まで持たないだ

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染めないで、染まらないで

染めないで、染まらないで

価値観を変えるのは簡単ではなく、生きて見聞きしてきた情報や知識を味がしなくなっても噛むような保守的な暮らしをしていればなおさら。個性だなんだと言いながらも、ベースとなるのは与えられたり、受け取った情報であり、いわゆる【常識】や【普通】という言葉が持つ呪いは案外と協力である。

SNSを見ていると、LGBTQ関連で現在の価値観に対してNOを突きつける人が一定数いる。それ自体は個々人の活動で構わないの

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ニュースキャスターは嬉しそうに

ニュースキャスターは嬉しそうに

小学生が学校でオーバードーズした事がニュースになっているのを見て、女児と報じた意味と興味本位かと伝えた意図について考えた。

私はいつも思うのだけれど、一酸化炭素中毒の時も、手作りの銃や爆弾のテロのときも、報道機関が詳細に作り方を解説している意味がわからない。

起きた事故の背景はまだしも、凶器の製造方法を伝える意義は何なのか。自殺の流れを伝えて何になるというのだろう。模倣犯や後追いが増える事がメ

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まぼろしキャンドル

まぼろしキャンドル

青い空が広がる日でも、気持ちが塞いで遮光カーテンを引いてしまっているような日もある。曇りや雨の日だけが後ろ向きなわけでなく、前に進もうとするからこそ躓いて転んでしまうこともある。

遮光カーテンは、名前の通りに光を遮るのだけれど、光そのものがない闇夜には隙間から光を集めてしまうようで、部屋の電気を消して、安物のアロマキャンドルに火をつけて過ごしていたことがある。

忍び込む光を怖がるのは、いささか

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みつかるように

みつかるように

某所で日々、詩を書いたものを載せている。日々も時間も流れるから、言葉も電子の河に乗せて誰かに届けばいいなと、棘が刺さればと願って。

たくさんの人の想いや言葉がSNSやインターネットには流れていて、有名・無名関わらずに胸を撃つものがある。打つではなく撃ち抜かれる感覚がある。

身勝手ながら、さっさと見つかって拡散されて、それだけで生活できるようになってくれと願う人たちがいて、極端な話だけれどそれを

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薔薇と美醜のマリアージュ

薔薇と美醜のマリアージュ

雑草という花はないという言葉はうつくしい。うつくしいのだが、野に咲く花や植物をそう名前をつけて呼ぶのが人間しかいない時点で、その概念すらも揺らいでしまうのではないかという疑念もある。

猫を可愛いと思う人もいれば、昆虫が愛おしいと感じる人もいて、美醜や思考の感覚は平均値や総論で語れるものではないというのが私の経験則である。だから、美醜に対して外見で人を全て判断するなという反ルッキズムのようなものは

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