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サンタクロースが笑う理由

瓦礫の街がテレビに映し出されても、子供たちが笑う景色を祝う。重苦しい空気と、絶え間なくネガティヴな情報を垂れ流すテレビ。戦争は許せないと言いながら、情報戦を仕掛けて裏側からそれを操ろうとするメディアを私は軽蔑するし、許せない。

LOVE&PEACEだけで世界は作られていない。青い地球は夥しい血と戦火で彩られ、青い惑星ではなく赤と青の混ざり合った紫色の惑星というのがふさわしいと思ってしまう。悲しいけれど、現実として。

この前、ニュースでエルサレムの昨年のクリスマスと今年の瓦礫に満ちた現状の対比を映していたけれど、映像化されない世界のあちこちで、似た様な悲しみや苦しみは静かに進行している。

常にそれを考えていたら、頭がこわれてしまうし、もともとキャパシティの少ない気持ちが溢れてしまうから思考停止で自分を守ってしまうけれど、不感症になれるわけではないから痛かったり、違和感はずっとある。

右でも左でも、どんな宗教でもいいから、完全に涙や血が流れない世界を作ってくれよ。そしたら、少しは信じてやってもいい。洗脳や圧迫でなく、偉そうに話している普段のそれでさっさと飢えた誰かや殴り合いを止めてみろよ。できないなら騒ぐなよ。

サンタクロースが訪れない地域もある。全ての人の悲しみを霧散させ、笑顔にすることなんて誰にもできないんだ。それでもサンタは内頬を噛みながら、自分を待ってくれている子供達を不安にしない様に、マックのスマイル0円なんかよりも、ずっと苦い気持ちで最高の笑顔で夢を届ける。

麒麟や貘より想像上の存在と化したサンタクロース。届けられない地域への痛みや悔いを隠して、笑いながら鈴の音と相棒が引く橇に乗って夜空を駆ける老人が隠すもの。

サンタは自分のために笑わない。誰かに笑ってほしいから笑うんだと思うよ。無力さややるせなさ、誰かの勝手な期待すら背負って。プレゼントの袋以外にも背負わされてる。

メリークリスマスなんて、気分じゃないけど、誰かが少しだけ薄く笑える時間たちであったらいい。寒い夜に、笑えない私はサンタが笑う夜を思いながら考えている。

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