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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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#聖書

かもしれない

かもしれない

私は、京都に住んでいるときには、自動車運転免許証の必要を感じなかった。そもそも、限られた石油を自分の欲望のために消費する自動車というものに、拒否反応を懐いていたのである。しかし、福岡に戻るという道が示されたとき、運転できるようにはなっておきたいと思うようになった。子どもたちを育てるためですあるが、いまはそのことを細かくお伝えする必要はない。
 
京都の自動車学校に入った。市の中心部に住んでいたので

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孤独ではない

孤独ではない

前回の100分de名著「古今和歌集」での、当該の和歌について、もう少し考えてみようかと思う。
 
月見ればちぢに物こそかなしけれわが身ひとつの秋にはあらねど (大江千里)
 
秋は私にだけやってくるわけではないけれど、自分だけに秋が来たような気がする。「物こそかなしけれ」の強調は、そこをこそ詠嘆の要とすべきところであるはずだ。それは正道である。
 
だが、司会者がこれを、自分だけではない、という方

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心の温度が上がる

心の温度が上がる

「心の温度がちょっと上がるような、そんな音楽との出会いはありましたか?」
 
TOKYO FMの「Memories & Discoveries」のエンディングで毎回アナウンスされる言葉が心地よい。今をときめく早見沙織さんの、上品な言葉と人を癒やす声とに、火・水・木の朝は支えられている。朝4時から5時半までなので、私は当然radikoのタイムフリー機能を利用している。
 
「心の温度」。もちろん一種

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親と神

親と神

若い時代は、理性よりも感情が精神を司る、というような説明の仕方をしている人がいた。言い切ってしまうのは極論のような気もするが、言おうとしていることが伝わってこないわけではない。親の視野とは違い、自分から見える景色の中で、自分の思いや願いを正当化するために、理屈を用いるということは、確かにある。もちろん、若くなくてもあるが、若い頃の自分を思うと、そうしたことが顕著であったことは省みるものである。
 

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ダイヤモンド

ダイヤモンド

Eテレで週に一度放送される5分間のミニアニメ「かいじゅうステップ ワンダバダ」がなかなか可愛い。円谷プロが生みだした怪獣のチャイルドバージョンが、子どもたちの身に起こるような問題を乗り越えてゆく。失敗したり、少々わがままな子がいたりするが、赦しと和解が最後に待っているということが多い。子どもにもメッセージがはっきり分かるように制作されているため、大人から見れば先が分かっている展開であるように思われ

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「恩送り」と「いざ鎌倉!」

「恩送り」と「いざ鎌倉!」

情けは人のためならず。国語調査でよく質問に挙がる言葉である。「情け」という言葉を広く解すると、ひとに優しくすると自分も優しくされる、というような内容を表すものであろう。報いがある、という知恵を教えてくれる。そんなに世の中は信用できるかよ、との声も聞こえてきそうだが、むしろ信用するお人好しが増える世の中であってほしいと思う。
 
他人のためになるばかりではない、自分のためにもなるのだ。そう見なすと、

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カムカムに学ぶ聖書の真実

カムカムに学ぶ聖書の真実

2022年春に放送は終了したが、『カムカムエヴリバディ』の評判がいい。最初は戦争が絡み、どうしても暗く悲惨な印象があり心配されたが、後から思えば、それがどれほど必要な始まりであったかも分かる。秀逸な作品であった、と多くの人が認めるドラマであった。
 
ラジオ英語会話の平川唯一の祈りが、まるでそうさせたかのようであった。もちろん、そのラジオ番組が、ドラマのとおりの狸囃子の歌で“Come, Come,

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この日

この日

一年前の日のことは、忘れるわけにはゆかないし、忘れることができない。それはとてもナーバスなことなので、逐一ここで明らかにするつもりもない。ただ、リスペクトは精一杯したいので、こうして謎めいた書き方をするという、わがままを致す。
 
日付は容赦なくやってくるし、日付を思うと、あの時にたちまち戻る。忘れたい時に忘れられるなら、人間はどんなに心が楽になるだろう。忘れたいがために仕事に没頭もするし、気晴ら

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3年前

3年前

このまま家にいたら駄目になる。本能的にか、そのように思った。
 
高校生のとき、目的をなくしていた私は、でたらめな生活を送っていた。逃げてしかいなかったのに、刹那的なものを求めて格好をつけていたのだ。
 
ひとりでは、何もできないではないか。自己に危機感を覚えたのは、大学入試に失敗したときである。数学的な美しさに憧れていたくせに、自分の人生は数学のようには運ばない。なぜか。その問いが浮かぶフィール

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おばけはどこへ行った

おばけはどこへ行った

(2005年2月 #アーカイブ )
 
 ゴーストだの亡霊だのといって、ホラー映画に人気が集まることがあります。近頃は、最新のハイテク機器を通じて幽霊が現れるといった物語が話題に上ることもあるようです。
 大人たちが、そうした怪談を喜んで求めています。まるで、幼い頃に怖がった様々な出来事を懐かしむかのように……。
 
 
 私が幼いとき、暗闇がとても怖く感じられました。
 蛍光灯のオレンジ色のランプ

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祈ります

祈ります

大阪での新規感染者の増加が著しかったが、その数字が各地方へ飛んでいる模様です(大阪に住む方々が安心できるようになることを願っています、いえ、どこででも)。人の動きがある限り、新型コロナウイルスの感染拡大は、簡単にはなくならないように見えます。
 
大阪では、亡くなる方が多いことで心が痛みます。苦しかったことでしょう。また、その家族な身内の方々の苦悩と悲しみも、想像を絶するものがありましょう。高齢の

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いないほうがいい、という思いから

いないほうがいい、という思いから

自分のような者が生きているということに、不条理を覚えていた。地球上の資源は限られている。とくに石油系の素材は、量が限られている。成人しても運転免許に興味がなかったのはこうした心理による。だがいまは車を運転する。今日もプラスチックを棄て、燃料としての油を煙に変えている。呆れる。また、いったい今日一日で、いくつの命を殺して食べたことだろう。それは、動物の肉を食べないから殺したことにならない、などという

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