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短歌(和歌)と散文

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#現代口語短歌

【今日の短歌】令和5年6月19日

【今日の短歌】令和5年6月19日

変化することのやまない人の世で変わらぬものを抱きしめている

9日の歌と同じ初句をお題として作った歌です。

生い立ちの呪いに由来する、ずっと私を去ることのない苦しみに、言い様なくひどく襲われる中、少しでも自分を救いたいという思いで詠みました。

人は生きれば生きるほどに悪くなってゆく――。

このあまりに悲劇的な実感は、私から離れたことがありません。むしろ強まり続け、ときに生きることを不可

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【悲鳴】誰か分かって❗️助けて……お願い

【悲鳴】誰か分かって❗️助けて……お願い

同性の親にことごとく自分を否定されて育ったから、傷つくことしか知らない。人との間にいつも見えない壁があって、必死に努力しても社会と交われない。生きる希望が見つからない

この地獄を誰も分かってくれない

誰か分かって❗️助けて……お願い

もう生きられない

【今日の短歌】令和5年6月21日

【今日の短歌】令和5年6月21日

あなたなら優しく教えてくれそうでふたりがちゃんと消える方法

どうしたらいいの私は慕わしい人は誰しも自殺ばかりで

いずれも技巧を用いて意識的に作ったものではなく、抱え続けた思いが心からそのまま歌となってあふれ出たような、自然に生まれた作品です。

第一首は、決して自暴自棄に陥った不健康な歌ではありません。絶望ではなく希望の、死ぬためではなく生きるための歌です。

これは、様々の意味で限りある

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【かわいい短歌】令和5年6月22日

【かわいい短歌】令和5年6月22日

うなされてまぶたを開ければ傍らのスヌーピーはいつも笑顔で

昼下がり起き上がれないいつもよりスヌーピーをたくさん撫でる

愛犬を枕に芝生に寝転んで『論語』を読んでるチャーリー・ブラウン

食いしん坊101ぶんの1ぴきが「楽に行こうよ」気負ったぼくに

この「かわいい短歌」は、私が自身の創作の中でも特別な愛着を感じているシリーズです。

幼い頃からずっと、かわいいものが大好きでした。動物などの無垢

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【短歌とエセー】令和五年の夏―見たことのない大空へ― 前編

【短歌とエセー】令和五年の夏―見たことのない大空へ― 前編

飛ぶことを知らぬ小鳥は独り泣くすべて自傷のような半生

安らかな闇は消されて厭わしいほどに眩しい日がまた昇る

私にはそこから飛び立つ他にない崖に向かってアクセルを踏む

一心に鍵盤を押す夏の午後己の命を奏でるように

見たことのない大空へ駆けてゆく恋をしているような速さで

補遺
それだけが私の名だと知るやうにあなたはいつも下の名で呼ぶ

昼下がり都心のビルのクリニック窓の向こうに赤 百日紅

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