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求めた人魚

深海へ
酸素を、肺が破裂寸前まで吸い込んで
耐圧硝子と足ヒレだけで

飛び込む
白い海豚が見送って
底に付く辿り着くわけがないのに

潜る
見たかった世界へ、
人魚よろしく耳抜きして深く深くへ

まだ潜る
光が足りない、暗い
どこかでクジラの鳴き声が

それでも潜る
視界が水圧で赤くなる
目のない鮫が横切って

限界水域
戻るなら今、これ以上は帰れない
もう少しと提灯アンコウが

戻りなさい
底はあるのは知ってても
そこには辿り着けない人魚

どこが上?
黒い、ここまで潜って
誰もがここで帰り道に迷う

僅かな光
力尽きてもそれを目指して
まるで地上で過ごしていたように。

理由
沈む重力に逆らっても、酸素をでもなく
光を知り、求め陸に上がる人魚

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メンヘラで引きこもり生活困窮者です、生活保護を申請中です。ガスも止めてスポーツジムで最低限の筋トレとお風呂生活をしています。少しでも食費の足しにしたいのが本音です。生恥を重ねるようで情けないのですがお慰みを切にお願いします。