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seiji_arita
2024年3月28日 16:25
「魔女狩りの詩」生きる事を目的として戦い続ける 目には見えない圧倒的な力を持つものが襲う其れに相対する救いに似た光を求めたあらゆるものを ただ黙々と受け入れ其処にあるものを呑み込み全てを赦した其の優しさに身を委ねた僕等の時間がそれぞれの経路を辿り流れる恐怖や希望絶望の中に揺らぐ炎を見ただが君は心の奥底で死を望んでいるその流れがひとつに
2024年3月23日 15:31
「流れる水と小さな星」僕の目の前にある時間は静かな足取りで通り過ぎて行った其処には僕の意思とは関わりなく其れ自身の原理に従い流れる水の様に静かに彼女は僕の知らない場所で眠っていた其処は時間と空間によって 行動の自由を制限される事の無い場所夢の無い深い眠りの中で僕達には行かなくてはならない所がやらなくてはならない事がある その事をはっきりと知る
2024年3月20日 20:22
「冬の月」死がふたりを分かつまでは…そんな言葉を何処かで聞いた冷気を含んだ丘からの風が僕の前髪を揺らす 空は灰色の雲に覆われ静かに雨が降り始めた大きくて白い冬の月を見たのはいったい いつだったろう 思い出せない僕は其の小説を書きあげてはならない其れは未完成で無くてはならない姿形を持たない観念的な象徴の中にだけ物語は生きている其れを具現化
2024年3月19日 19:11
「風の音」正確な事まではわからない僕の見上げた頭上には空は無かった時計は止まり其の秒針は意味を成していなかった全てが静止した沈黙の中に僕ひとりが存在していたただの錯覚なのか 僕の内部で生まれる断続的な映像なのか潤いの無い乾いた単色が色彩を塗り潰した後に不規則な光が見えた前後の脈絡を欠いた唐突な風確か前にも同じ夢を見た茫漠とした霧が匂いさえも
2024年3月18日 16:56
「落命」車のヘッドライトに照らし出され路上で硬直した猫決断も行動も無く指示された事を従順に遂行する世界が周る遠くの海鳴りがはっきりと聞こえる捕縛し続けて来た物の瓦礫が横たわる意志を備えた濃密な霧血の通った泥の中にうずくまる全ての感情を奥に隠した邪悪な血僕自身が宿る肉体が抹殺した幻其処にある光景から目を反らず直視しろ根源的な邪悪は僕自身の中にある
2024年3月18日 11:17
「一輪の切り花」希望と同じ数だけの絶望が其処にあり生と同じ数だけの死が此処に満ちている行き交う車が僕の視線を塞ぐ僕は其処にある何かを見落としている僕の前に再び姿を見せた影は俺もまた此処にいる そう暗示している望まない時 あるいは強く否定する光が大きな鉄の門扉を閉ざす常緑樹が作り出す影は其の葉色とは裏腹に 黒に近い鈍色をアスファルトに映す
2024年3月15日 20:49
「LIGHT MY FIRE」未完成と完成を隔てた僅かな領域其処に呼吸する息遣いを聞け独自の意志と観点から発されたメッセージもうこれ以上 書き足す事など何も無い綴られた文章に目的や意味を見出す必要も無い何かが強く其れを求めたからだ それが全てだ僕は熱い珈琲を淹れたFMの電波は殆ど入らないノイズの切れ間 時折聴こえる米軍放送途切れ途切れの音楽
2024年3月12日 21:25
「星だけがやけに綺麗に見えた夜」何が原因で何が結果なのか 何処にも答えなんて無かった夢の中に紛れ込んだ現実の切れ端と現実の中に断片的に現れる夢ただ がむしゃらに追いかけ続けた傷だらけのコルベットC5モーテル 星だけがやけに綺麗に見えた夜使い回された古いベッドの軋む音遮光カーテンの裏側 天井が波打つ 求められた色なら全て与えてやるよいつか俺が途中
2024年3月10日 20:10
「暗雲の隙間」雲が千切れる様に割れ僅かな月明かりが射す暗雲の隙間 途切れ途切れの光が僕の胸の中に隠された言葉を照らし浮き彫りにしては消えてゆく淡い青色の世界が訪れては消え去るそして無音の漆黒が全てを包み込む肉を削ぎ落とした骨格から発する意識の放射が暗闇を貫く其の凝縮された陰影を網膜と脳裏に焼き付ける僕は思考の切れ端を追い続ける脳内の架空の白紙
2024年3月7日 18:04
「寡黙な詩」既存の社会的通念が創り出した定められた枠その均衡を突き崩し調和と安定を賛美する歌に耳を塞いだ譲歩の余地の無い通告が西側の窓辺から見える僕は自分自身を理解する為にまたペンを取る全ての微妙な動きまでも静止した文字に移し替えて行く君の黒髪に口付けた感触が 小さく震える膝を両手で掴む そして思考の中に深く身を沈めた来たるべき何かを示唆する
2024年3月4日 21:47
「鱗片」細長いグラスに注いだ冷えたシャンパン細かく立ち上がる気泡の先に見えた淡い光まばらに点在する それらの綺麗な光ささやかな温もりに似た灯りを其の中に感じていた生と死の境界線が微妙に揺れた時淡い光が僕に囁きかけて来る真実が連れて来た無制限の孤独鱗片状の慈愛が剥がれ落ちる流れる様に艶やかな彼女の髪と静かに話す言葉の文脈其の対局にある確かなも
2024年3月3日 16:41
「時間」過ぎ去る時間の中で沢山の感情と言葉 多くの迷いと沈黙多くの約束と秘密 そして諦めと決して口に出す事の無い想い感情の振り子が弧を描き揺れた僕達の心に傷跡を刻み込みながら色彩の裏側にある骨格を指先でなどった僕が創り出した異なったふたつの人格には共通する欠落があったその共通する失われたものは形象を持たず窓から射し込む朝の光の様な柔らか