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ねこぜの教育論

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教育関係の雑記
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2022年8月の記事一覧

数学と哲学

数学と哲学

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。夏休み期間中のnote 毎日投稿チャレンジも最終日です。スキ・フォロー・コメント・シェアしてくださりありがとうございました。毎日、ちょっとだけ負荷をかけることが時に重荷になり、時に楽しさにもなりました。学びとはそういうものなのだろうと身をもって体感しました。今回は森田真生著『計算する生命』から感じたことを少しだけ書きます。難しくてまだ途中までですが、大変面白い

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均質化と多様化の間

均質化と多様化の間

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。以前、人は秩序志向の生き物だと書きました。秩序志向の世界では、均質化が好まれるように思います。同じ時間に登校して、同じ間取りの教室に入り、同じ形態のランドセルをしまい、同じ内容の学習をする。「個別最適な学びを」と言って学びに多様性をもたようにも、均質化した制度にからめとられてしまう部分が多いように思います。今回は、そうした均質化した社会の中で求められる多様化に

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負けるということ

負けるということ

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。今年も甲子園が終わりました。福島で行われた中学校陸上競技大会も無事終わりました。大会やコンクールに限らず社会には勝った負けたの世界がたくさんあります。人々は自ら勝負に挑んだり、勝負を見届けることに熱狂的になったりします。勝負するということは、必ず勝者がいて、敗者がいます。負けるとは、どういうことなのか少し考えたいと思います。

「負け」の負のイメージから考えた

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「わからない」ということ

「わからない」ということ

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。お盆休みも終わり、世間は仕事再開モード。学校もそろそろ2学期へと動き出しています。今回は「わからない」ことについて書こうと思います。
 「わからない」って単純に負のイメージが連想されませんか?「こんなこともわからないのか」とか「先行きがわからなくて不安だ」とか、本当はこの「わからなさ」を人々はもっと大事に抱えて咀嚼していけばいいと思うのです。「わからない」こと

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なんで勉強をするのか?の答え(2)

なんで勉強をするのか?の答え(2)

◆こんにちは!小学校教員のねこぜです。「なんで勉強なんかしなきゃいけないのか」「この知識が何の役に立つのか」という問いに対する答えについて前回書きました。そしてそのような問いを発してしまうことそのものに現代社会の問題が前景化しているのだということにも少し触れました。今回はその辺について書いていこうと思います。出典は前回記事同様、内田樹著『下流志向』です。よろしくお願いいたします。

1.労働機会が

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なんで勉強をするのか?の答え

なんで勉強をするのか?の答え

◆こんにちは。公立小学校教員のねこぜです。今日は「何のために勉強するのか?」、「この知識は何の役に立つのか?」といったよくある、しかし、しばしば問題になる問いについてのアンサーを書いていこうと思います。参考文献は内田樹先生の『下流志向』です。みなさんだったらこのような問い掛けがあった場合にどのように答えますか?読み進める前にちょっと考えてみてください。

1.答えられないが答え

 結論を先に述べ

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ねこぜの心理学入門「河合隼雄」

ねこぜの心理学入門「河合隼雄」

◆おはようございます。小学校教員のねこぜです。養老孟司先生の著書や話の中に、よく河合隼雄の名前が出てきます。河合隼雄先生は臨床心理学者で、ユングを専門的に研究された方です。臨床教育学をつくったということで、河合隼雄著『子どもと学校』を読みましたので、アウトプットしていきます。よろしくお願いいたします。

1.臨床の視点から

 真っ先に自分の経験が思い起こされた。若手の頃、健康体そのもののとき、「

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日本の近代化と教育の歴史

日本の近代化と教育の歴史

◆こんにちは。公立小学校教員のねこぜです。今回は教育にフォーカスをあててアウトプットしていきます。最後まで読んでもらえたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
 テーマは日本の教育の歴史についてです。主な参考図書は小熊英二著『日本という国』です。ヤングアダルト向けの新書なので平易な文章で分かりやすいです。歴史が苦手な方にお勧めします。
 その他にも奈須正裕著『個別最適な学びと協働的な学び』も引い

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「対話」について考える(2)

「対話」について考える(2)

◆こんにちは!公立小学校教員のねこぜです。夏休み毎日投稿チャレンジ継続中です。よろしくお願いいたします。今回は「対話」について、前回取り上げた野口芳宏著『話せない子・話さない子の指導』を再び引きながら日頃考えていることや実践していることを書いていきます。

▷対話ありきで考えない
 「対話的な学び」と言うとどんな活動をイメージするだろうか。机をくっつけて話し合う様子、隣同士で体だけ向き合って話し合

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教育にSDGsを持ち込む前に(2)

◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。暑い日が続きますね。最高気温が37度とか、人間の体温と同じじゃないかと驚いてしまいます。これも気候変動の影響なのでしょうか。これが非日常的な、異常気象ではなく通常なんでしょうか。来年の夏はもっと厳しい状況になるのでしょうか。持続可能な社会について、本気で、真剣に考え、行動に起こしていかなければならないのではないでしょうか。

▷帝国生活様式
 グリーン・ウォッ

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子どもは自然

子どもは自然

◆こんにちは!小学校教員のねこぜです。「書きたいことを書く」で夏休みは毎日投稿します。よろしくお願いいたします。最近、養老孟司先生の講演動画をよく見ています。僕の中でメンターです。(他にも内田樹先生と鷲田清一先生も)
 その中で印象深かったことをアウトプットします。

▷自然とは何か
 自然と言われると木や草花といった緑をイメージする人が多いだろう。養老先生曰く、自然とは人間が考えて作って置いたも

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誰もがもつインナーチャイルド

誰もがもつインナーチャイルド

◆こんにちは!公立小学校教員のねこぜです。よろしくお願いいたします。「インナーチャイルド」という言葉を知っていますか?直訳すると「内なる子ども」。要するに、個人の内面に存在する子ども時代から変わらぬ思考や習慣のことです。誰もが子ども時代を経由して大人になっていきます。いや、子ども時代によってその人自身が形づくられていくと言ってもいいでしょう。そんなことをテーマに記事を書いていきたいと思います。

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家庭での子どもとゲームとルールと

家庭での子どもとゲームとルールと

はじめに.家庭でのゲーム事情

 おはようございます。小学校教員のねこぜです。個人面談が終わりました。面談で必ず聞くことの一つに「家での過ごし方」があります。家での様子は学校からは見えません。子どもに「家で何しよん?」と聞くほかありません。保護者にも同様に聞いてみるのです。すると保護者目線の回答が返ってきます。そこに子ども自身が思っていることとのズレがあるとまぁ面白くて話題になるんですが、ここ数年

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22世紀の民主主義と教育の狭間

22世紀の民主主義と教育の狭間

◆おはようございます。小学校教員のねこぜです。成田悠輔著『22世紀の民主主義』を読みました。ここ数年6年生の担任として、子どもたちに社会科を教える立場として様々なことを考えさせられたのでつらつらと述べていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

1.「大人になったら選挙に行きたいです」と言う子ども

 著書の冒頭の一文でまず衝撃を受けた。「若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは何も変わ

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