老齢の男性と妙齢のご婦人が 向かい合ってスツールに腰かけている 男性の声は レトロなカセットテープのようで (テープが伸びたように間延びしている) ぼくは ぼくは と…
百九十センチある後輩と並んで歩く 足も長い 風のように先を行く 必死になって追いかけているうちに じぶんが縮んでいくような錯覚に陥る するり と それまで舞台袖に隠…
この世界には声が溢れている 話したい 喋りたい 伝えたい いつだって 言いたいが聞きたいを追い越していく 言葉のかけちがいなんて言うけれど そもそも言葉は噛み合わない…
六月の晴天 公園の木々が 風にそよいでいる さわさわ さわさわ ひそやかな声 陽のきらめき 白緑に 耳を澄ます
いつのころからか 人生の答え合わせをするようになった 振り返ると 頼んでもいないのに 背中に たくさんの過去が振り積もっている まるで殻を背負ったかたつむりのようだ …
今日は山に登るつもりが 寝過ごしてしまったんだ 不思議に思って窓を開けると 外は雨だった 右脳のお告げかもしれないですよ そうかもしれない 強い雨だったから 普段…
10年前の心残り 中国の大河長江 その最初の一滴へと遡る旅路 峡谷 高原 少数民族 変わりゆく人々の暮らし 映画のなかで 繰り返し語られる 10年という歳月 全長6300キロ …
今日で会社を辞める後輩 夢に向かうため ホームで 線路を乗り換える 去っていく彼の背中を見送っていたとき 背広から「現在」のタグがなくなっていることに気づいた 付き…
通勤途中にある神社で 毎朝一礼する 願掛けはしない 前の職場で 朝一緒になる先輩がいた 神社の前を通ると 必ず足を止め きりり 姿勢よく一礼していた ラジオから こんな…
ロー、あるいはロッくんと呼ばれている男の子のお人形のお話です。
周りからロー、あるいはロッくんと呼ばれている男の子のお人形さんのお話です。
夏を先取りしたような五月晴れの週末、奈良の吉野まで小旅行をしてきた。 近鉄奈良駅から小豆色の車両に乗車してみると、急行の車両は思いのほか揺れて、ちょっとした船酔…
青々とした木々が さわさわ 風と遊んでいる 枝葉のカーテンの奥からは カッコウが カッコー カッコー 本番前の練習をしている さわさわ 風が吹き 緑の芝生の上では…
皐月晴れ 緑あふれて 花 光まとい 色さんさん
奈良駅の西 京都と橿原を南北に結ぶ国道24号バイパス 柏木町北の十字路を 西へ折れた先 そこに ぷろばんすはある 誰が呼んだか珈琲風雅 春夏秋冬 日本庭園 めぐる季節の…
ゴリュウジ
2024年7月5日 17:17
老齢の男性と妙齢のご婦人が向かい合ってスツールに腰かけている男性の声はレトロなカセットテープのようで(テープが伸びたように間延びしている)ぼくはぼくはと語る声は滔々と淀みない話はアメリカの大統領選挙に及んでいた候補者Aはここがだめで候補者Bはここがだめで批評の川は流れ続けわずかな岸辺を見つけてはご婦人が感嘆符を口にする話がこの街の選挙に及んだときはじめて男性が
2024年7月2日 16:43
百九十センチある後輩と並んで歩く足も長い風のように先を行く必死になって追いかけているうちにじぶんが縮んでいくような錯覚に陥るするり とそれまで舞台袖に隠れていた劣等感が姿を現すほらほら見て見てチビが通るよ と外へ向いていたわたしの視線を内へと引っ張るその呪力全人類の負の引力を集めたら地球がぺしゃんこになってしまうかもしれない比べるにはものさしがいる計る量る
2024年6月30日 19:39
この世界には声が溢れている話したい喋りたい伝えたいいつだって言いたいが聞きたいを追い越していく言葉のかけちがいなんて言うけれどそもそも言葉は噛み合わないものだわたしの見ている世界がきみの見ている世界と違うようにボタンのかけちがいなら最初からやり直せばいいボタンには合う穴が用意されている言葉のかけちがいにやり直しはきかないやり直そうとすればするほど穴は深く大きくな
2024年6月30日 13:56
六月の晴天公園の木々が風にそよいでいるさわさわ さわさわひそやかな声陽のきらめき白緑に耳を澄ます
2024年6月29日 15:21
いつのころからか人生の答え合わせをするようになった振り返ると頼んでもいないのに背中にたくさんの過去が振り積もっているまるで殻を背負ったかたつむりのようだもっと大きくもっと頑丈にそう願うほどのろのろとろとろ歩みは遅くなるいっぽうだ重い放りだしてしまいたいでも塩をまかれるのが怖い溶けて消えるのは嫌だ逃げ出したいくせに重たい殻を脱ぎ捨てられずにいるもうと
2024年6月23日 15:48
今日は山に登るつもりが寝過ごしてしまったんだ不思議に思って窓を開けると外は雨だった 右脳のお告げかもしれないですよそうかもしれない強い雨だったから普段はつい左脳でものを考えてしまう論語と算盤は大事だよでも寄り道がないと生きているのはつまらない 道草 いいですよね俺が若い頃と言ってももう二十年も前の話だけれど日の出町がホームだったいい店がたくさんあったよでも
2024年6月21日 10:28
10年前の心残り中国の大河長江その最初の一滴へと遡る旅路峡谷高原少数民族変わりゆく人々の暮らし映画のなかで繰り返し語られる10年という歳月全長6300キロ悠遠なる旅路けれど10年という歳月はなお深い距離は挑むもの前進する時間は振り返るもの後退する辿り着いたまだ見ぬ景色は新鮮で心を潤す思い返す記憶は色褪せ心は涙するそれでも輝いていること
2024年6月20日 18:21
今日で会社を辞める後輩夢に向かうためホームで線路を乗り換える去っていく彼の背中を見送っていたとき背広から「現在」のタグがなくなっていることに気づいた付き合いのある人たちには「現在」のタグがついている付き合いがなくなるとハサミが現れてパチンタグが切れる背広は会社員という記号だもう袖を通すことがなくなってしまった後輩の背広を記憶のタンスにしまいこむときどきふと思いつ
2024年6月16日 16:57
通勤途中にある神社で毎朝一礼する願掛けはしない前の職場で朝一緒になる先輩がいた神社の前を通ると必ず足を止めきりり姿勢よく一礼していたラジオからこんな話も流れてきたコロナ禍に毎朝神社へ通うようになった足を運ぶたびに願いは消えていき一礼の所作だけが残った 粋であるマネすべし春夏秋冬ひとめぐりはじめてから二回目の春を迎えたはじめたころに何を願っていた
2024年6月15日 17:26
2024年6月9日 17:08
2024年6月8日 16:04
夏を先取りしたような五月晴れの週末、奈良の吉野まで小旅行をしてきた。近鉄奈良駅から小豆色の車両に乗車してみると、急行の車両は思いのほか揺れて、ちょっとした船酔いのようで慌ててしまった。久しく電車に乗っていないと、こんな些細なことも発見になるものだ。吉野を訪れるのは、実に20年ぶりである。関西のとある大学の学生であった頃、ふらりと思いついて訪ねたことが1度だけあった。四半世紀近く前のことで
2024年6月8日 15:52
青々とした木々がさわさわ風と遊んでいる枝葉のカーテンの奥からはカッコウが カッコー カッコー本番前の練習をしているさわさわ風が吹き緑の芝生の上では小さなシロツメクサたちがのっぽのたんぽぽとダンスしているそこにやってきた虫取り網をかついだ少年が声を弾ませチョウチョさんだ二人もいると駆け出していくひらりひらり風の手に守られるようにチョチョは宙を舞う
2024年6月5日 21:34
皐月晴れ緑あふれて花光まとい色さんさん
2024年6月3日 21:47
2024年6月1日 11:47
奈良駅の西京都と橿原を南北に結ぶ国道24号バイパス柏木町北の十字路を西へ折れた先そこにぷろばんすはある誰が呼んだか珈琲風雅春夏秋冬日本庭園めぐる季節の借景あり店の奥には電話室昭和レトロか大正モダンジャズの調べが優雅に給仕エプロン姿のマスターは巨匠の風格備えつつ気配り目配りお手のもの店のウェイターウェイトレス適材適所に配役し準備万端いざ開幕さあさあ主