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【詩】言葉のかけちがい

この世界には声が溢れている
話したい
喋りたい
伝えたい
いつだって
言いたいが聞きたいを追い越していく

言葉のかけちがいなんて言うけれど
そもそも言葉は噛み合わないものだ
わたしの見ている世界が
きみの見ている世界と違うように

ボタンのかけちがいなら
最初からやり直せばいい
ボタンには合う穴が用意されている

言葉のかけちがいにやり直しはきかない
やり直そうとすればするほど
穴は深く大きくなっていく

それでも
人は声を発せずにはいられない
誤解されても
嫌われても
否定されても
会いに行き
話そうとする

その衝動
原始的な希求
願いを手放すことはできない

 はじめから負け試合なら気楽だね

頬杖をついた君が言う
そうだね
……そうかな?
負けてもいいのかな

 いいんじゃない
 負けるが勝ちって言うじゃん

そう言って笑うきみがいる
ほら
また
かけちがい
なんてすてきなかけちがい

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