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医療エッセイ

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子どもを「怖い」と思った瞬間

子どもを「怖い」と思った瞬間

みなさんは「子ども」に対してどんなイメージを持っているだろう。

「可愛い」「無邪気」「愛らしい」といったポジティブなものから、
「うるさい」「目障り」「嫌い」と言ったネガティブなものまで様々あるかもしれない。

ちなみに僕は子どもにポジティブなイメージを持ってる。

彼らには僕らよりもはるかに多くの「可能性」が秘められており、それは社会で守るべきものだと本気で思ってる。

こんな具合に子どもへの

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医療現場で見た"地獄"

医療現場で見た"地獄"

医療現場で人の生死に触れ続けると、それについてあまり感情が動かなくなる。

それについては以前別の記事(患者に共感しない医師が多い理由)で書いた。

では僕にとって医療現場の日常が全く無味乾燥な毎日かと言われるとそんなことはもちろんない。

色んな瞬間に感情は動くし、嬉しいことも悲しいこともある。

その中で最も感情が揺り動かされ、二度と経験したくないと思った瞬間について、今回は書こうと思った。

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「子ども」から「死」が垣間見えるとき

「子ども」から「死」が垣間見えるとき

自己紹介で「小児科医です。」というと、

「子ども好きなんですね」
「子ども可愛いですもんね」
とよく言われる。

それは全く否定しないけど、そう言われると僕は

「まあ、、、そうですね。」
と少し躊躇いがちな返答になる。

ちなみにそのように言ってくる相手は医療者以外の人だ。
別に責めているわけでなくて、単純にイメージが湧かないのだろうなと思う。

なので今回はその躊躇いの理由が伝わるエピソード

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赤ちゃんから学んだ「ストレス」のこと

赤ちゃんから学んだ「ストレス」のこと

最近、ストレスってあって良いんだ、と思うようになった。

もちろん過剰なストレスや理不尽なストレスはあって良いとは全く思わないけど、
常にストレスフリーである必要もない。

そう思うようになってから生きやすくなったと感じる。

今回はその考えに至るきっかけになったエピソードをお伝えしたい。

※ここでいうストレスは、ざっくりと
「心身にかかる負荷」
という意味で捉えてもらえると。

○ストレスの無

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クマを「さん」付けするな

クマを「さん」付けするな

「クマ」を動物園やテレビで見たとき、
皆さんの中に「クマさん」と愛称を付けて呼んでいる人はいないだろうか。

そういう人たちに言いたい。

バカかと。
いやちょっと言い方が悪かった。
本当に申し訳ない。
言い直させて欲しい。

アホかと。
まあこれは冗談としても、それくらい僕は「クマ」に愛称を込めることに違和感を覚えている。

先日こんなことがあった。

その日僕は自宅で何の気無しに、ソファに寝転

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安直だけど、純粋さが胸を打つ

安直だけど、純粋さが胸を打つ

人の純粋さに触れてはっとさせられる経験ってないかな。

僕はたまにある。

○坊との出会い小児科医として働き始めて、まだ日が浅い頃のこと。

当時、病院に6歳の男の子が入院していた。

容態は比較的安定していたが、治りきらずに入院が長引いていた。

その男の子は坊主頭の小太りで、クラスに1人はいる憎めないタイプのおデブキャラだった。

見た目が「千と千尋の神隠し」に出てくる『坊』に似ていたので、そ

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患者に共感しない医師が多い理由

患者に共感しない医師が多い理由

みなさんは病院を受診したときに、
「この先生は自分のことには全く興味がなくて病気のことしか考えてないな。」
などと不満を感じたことはないだろうか。

僕には、ある。

そして患者に共感しない医師が多くいることに憤りを覚えていた。

なお、ここでいう「共感」とは
「相手の心境を自分のことのように感じること」とする。

今回はそんな経験をしたことがある方達にこそ読んでほしいと思う。

興味があれば是非

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