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アフリカに関する本のレビュー集

54
アフリカに関する本のレビューを集めてあります。
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2022年12月の記事一覧

神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

神話の力 (ハヤカワ文庫 NF 368)

 おそらく二十世紀最高の神話学者だったジョーゼフ・キャンベルの、すごさがわかる本です。

 ジャーナリストのビル・モイヤーズとの対談、という形を取っています。モイヤーズが問いかけることによって、キャンベルの知性と教養とが引き出されています。
 単なる知識というにとどまらず、キャンベルの思考は、「智慧」というレベルに達しています。

 ただし、これは

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木々の恵み

木々の恵み

木々の恵み

 いろいろな種の樹木について、書かれた本です。
 バオバブ、カウリ、トタラなど、日本では珍しい樹木も載っています。クリ、ブナ、イチョウなど、日本で馴染みのある樹木もあります。

 単なる図鑑ではありません。
 それぞれの種の樹木について、分類、分布域、形態などの生物学的なことが、解説されています。
 のみならず、「実用的な用途」と、「文化、神話、シンボル」という項目が、必ずあ

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地上から消えた動物

地上から消えた動物

地上から消えた動物

 絶滅した動物たちを、紹介した本です。
 一九八三年に出た本ですが、二〇一一年現在に至るまで、ロングセラーのようです。

 類書は、日本で、何冊も出ています。それらの中で、本書は、やや抜きんでた存在だと思います。
 なぜなら、文章が上手いからです。感傷的になり過ぎず、それでいて、二度と帰らない動物たちへの愛惜に満ちています。
 人間の手で動物を滅ぼすことが、いかに罪深

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絶滅昆虫データファイル (祥伝社黄金文庫)

絶滅昆虫データファイル (祥伝社黄金文庫)

絶滅昆虫データファイル (祥伝社黄金文庫)

 題名のとおり、絶滅した昆虫たちを紹介した本です。

 昆虫は、全体の種が膨大なだけに、絶滅種も膨大にいます。人類が現われる前に、すでに、何十万(何百万?何千万?)という種が、絶滅しています。
 この本で取り上げられているのは、絶滅昆虫のごく一部です。物理的に、一冊の本には収めきれませんから、当然ですね。

 この本では、第1章と第6章で、昆虫の

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怪物の友―モンスター博物館

怪物の友―モンスター博物館

怪物の友―モンスター博物館

 博物学者、荒俣宏さんの「荒俣節」全開の本です(^^)
 実在しない怪物たちと、実在する怪物たち(!)とを取り上げています。

 「実在する怪物」というのには、三つの意味があります。

 一つは、実在しない怪物と、同じ名で呼ばれる生き物です。例えば、ヒヒなどがそうです。
 「ヒヒ」とカタカナで書いた場合には、普通、実在する動物を指しますね。サルの仲間のヒヒです

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ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 151 生きもの)

 ハダカデバネズミ、という、奇妙な哺乳類について、書かれた本です。
 「裸で、出歯のネズミ」だから、ハダカデバネズミです。

 裸、つまり、毛がありません。そして、やたらに前歯(門歯)が大きいです。それに反して、目と耳は、どこにあるのかわからないほど、小さいです。
 はっきり言って、異様な姿です。初めて見た

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