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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#エッセイ

東大教授、若年性アルツハイマーになる (若井 克子)

東大教授、若年性アルツハイマーになる (若井 克子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけました。
 以前から気になっていた本なので、早速予約して読んでみました。

 テーマは「近親者のアルツハイマー病発症」というとても厳しいものです。著者は発病者の奥様の若井克子さん。

 若井晋さんが若年性アルツハイマー病を発症されて東京大学を早期退職された年齢が、今の私と近いこともあり、本

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寂聴 残された日々 (瀬戸内 寂聴)

寂聴 残された日々 (瀬戸内 寂聴)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 瀬戸内寂聴さんの著作は一冊の本になっているものとしては読んだことがないのですが、単発のエッセイを拝読したり、マスメディア等に登場してあれこれお話ししている姿は時折見かけたりしていました。
 また、30年以上前ですが、私の友人の弟さんが寂聴さんのお手伝いをしていたことがあり、そのころから何となく気になっている方でした。

 本書は、朝日新聞

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センス・オブ・ワンダー (レイチェル・L. カーソン)

センス・オブ・ワンダー (レイチェル・L. カーソン)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着書リストを覗いていて目に留まった本です。

 環境問題にいち早く警鐘を鳴らした書物として有名な「沈黙の春」の著者レイチェル・カーソンの遺作ということで手に取ってみました。

 幼いロジャーとともに自然溢れるメーン州の海岸と森を散策した様子を綴った小品です。
 エッセイのような体裁で、とても大切なレイチェルからのメッセー

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ひとりじめ(浅田 美代子)

ひとりじめ(浅田 美代子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 笑福亭鶴瓶さんのラジオ番組に浅田美代子さんが出演されていて、この本が話題になっていました。

 樹木希林さんとの思い出を中心に、浅田さんの若い頃からのエピソードもふんだんに盛り込まれた内容ですが、ともかく浅田さんのとても素直で純朴な人柄そのままに “爽やかテイスト” のエッセイです。

 早速、本書で私の関心を惹いたところをいくつか書き

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九十八歳。戦いやまず日は暮れず (佐藤 愛子)

九十八歳。戦いやまず日は暮れず (佐藤 愛子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけていたのですが、予約待ち列が長く、手元に届くのが遅くなってしまいました。

 佐藤愛子さんの著作は、家族の蔵書から引っ張り出して、今までも「九十歳。何がめでたい」「日当りの椅子」とかを読んでいますが、本書は(同時進行のものとしては)佐藤さん最後のエッセイ集ということで、大きな寂しさを感じつ

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開高健の本棚 (開高 健)

開高健の本棚 (開高 健)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で目につきました。

 開高健さんによる「本をめぐるエッセイ」なのですが、彼の書斎や蔵書の写真もふんだんに掲載されていて眺めているだけでも楽しい本です。

 その中から私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきます。

 まず、開高さんのエッセイ「白いページ」の「続・読む」から、本を手に取るときの開高流

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とんがって本気 (加賀 まりこ)

とんがって本気 (加賀 まりこ)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 笑福亭鶴瓶さんのラジオ番組に加賀まりこさんがゲスト出演されていました。
 以前から魅力的な女優さんだと思っていたのですが、改めてお話しぶりを聞いて興味をもちました。

 本書は、20年近く前に出された加賀さんのエッセイです。
 少し前に岸恵子さんの自伝的エッセイ(岸惠子自伝)を読んでみたのですが、やはり、この頃の “女優” さんのエピソ

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おじさんはどう生きるか (松任谷 正隆)

おじさんはどう生きるか (松任谷 正隆)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 軽い読み物はないかと、いつもの図書館の新着書リストを覗いていて目に留まった本です。

 著者の松任谷正隆さんは音楽プロデューサー、奥様は言うまでもなくシンガーソングライターの松任谷由実さん。このエッセイでも随所に登場します。

 本書は、読売新聞で連載されたコラムに数作の書下ろしエッセイと対談とを加えて構成された著作ですが、全体は「マナー

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日当りの椅子 (佐藤 愛子)

日当りの椅子 (佐藤 愛子)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ図書館で予約している本の受取タイミングがうまくいかず、また読む本が切れてしまいました。
 ということで、納戸の本棚を探って、家族の古い蔵書の中から気軽に読めるエッセイを取り出してきました。

 作者は佐藤愛子さん、北海道浦河に建てた別荘での暮らしを材料に、その地の人びととの暖かな交流の様子を書き綴っています。

 発行は1987

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岸惠子自伝 (岸 惠子)

岸惠子自伝 (岸 惠子)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の岸恵子さん。日本を代表する女優のおひとりですが、エッセイストとしても何冊も著作を世に出しています。

 私としては、岸さんが出演された映画は「悪魔の手毬唄」「女王蜂」「たそがれ清兵衛」ぐらいしか観てはいませんが、それでも流石の存在感でした。

 本書は、ご本人による自伝。岸さんの様々な面を垣間見ることができるとても興味深いエピソード

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旅人よ!(五木 寛之)

旅人よ!(五木 寛之)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ図書館で予約している本の受取タイミングがうまくいかず、また読む本が切れてしまいました。

 ということで、久しぶりに納戸の本棚を探ってみて、肩肘張らないで読めそうな昔の本を引っ張り出してきました。
 選んだのは、今から30年ほど前に買った五木寛之さんのエッセイです。最近「こころの散歩」という五木さんのエッセイ集を読んだところなの

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こころの散歩 (五木 寛之)

こころの散歩 (五木 寛之)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着書リストの中で目に留まった本です。

 このところの五木寛之さんのエッセイは “晩年の生き方” といったテーマのものが多く、ちょっとワンパターン化されてきているようにも感じますが、それでもやはり気になります。
 本書は比較的最近の「週刊新潮」に連載された小文を中心に再録したものとのことです。

 いつものようにちょっと

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まくらが来りて笛を吹く (春風亭 一之輔)

まくらが来りて笛を吹く (春風亭 一之輔)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の春風亭一之輔さんは、2012年、21人抜きの抜擢で真打昇進した今最も人気がある落語家の一人です。

 私も時折youtubeで聞くことがあるのですが、確かに語り口は(私のような上方落語に染まっているものからすると、少々アグレッシヴ?に感じるところはありますが)スマートでテンポが良く、マクラでのお客の掴みも卓越していますね。
 定番の

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回想のすすめ - 豊潤な記憶の海へ (五木 寛之)

回想のすすめ - 豊潤な記憶の海へ (五木 寛之)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 高校・大学時代に五木寛之さんのエッセイを何冊も読んでいたこともあり、いまだに五木さんの著作は気になるんですね。

 もちろんすべて読もうとも思っているわけではないのですが、時折目についただけで手に取ってみることがあります。本書もそういった類です。

 本書のテーマは「回想」。
 五木さんが考える「回想」はこういったものです。

 そして、

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