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続・米国のトップ大学におけるエンダウメント運用事情〜「金持ち勝つ」運用収益とは?

続・米国のトップ大学におけるエンダウメント運用事情〜「金持ち勝つ」運用収益とは?

気がつけばもう2年と少し前になりますが、スタンフォード大学のエンダウメントファンド(寄付金基金)の収入源や運用成績につき、UCバークレーとの比較や「大学にふさわしい長期投資」、「大学はVCごっこはしない・すべきではない」「大学経営上、技術ライセンシング収入・大学発スタートアップ株式売却益は独立した収入項目にもならない」などと書き投稿しました。

https://note.com/naotakem/

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米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

以下は先日Facebookに連続投稿したものに若干加筆・編集した上でこちらに掲載しています。

何回かに分けて投稿する中でいただいたコメントに触発されて話が膨らんだり深まっていったため、一つの文章としてではなく「まとめ」的に読んでいただく方が良いかな、と思い「小見出し」をつけてオリジナル掲載時の各回の区切りとしています。

【序:なぜこんな話を?】

この1年ほど、長年の友人である日本の某国立大学

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「文系」のスタートアップ経営: CCCC = Clear, Concise, and Compelling Communication でどう役に立てるか?

「文系」のスタートアップ経営: CCCC = Clear, Concise, and Compelling Communication でどう役に立てるか?

この記事では、先日投稿したどうやってスタートアップに「潜り込む」…というか「価値を認めてもらうか」につき自分なりのアプローチを記した以下の記事中の③「ストーリー基点」について補足というか少し違う視点から掘り下げています。

キーワードはCCCC = Clear, Concise, and Compelling Communication [1]。

科学者ないし技術者としての正式な教育・訓練を受け

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スタートアップに「潜り込む」三つの道

スタートアップに「潜り込む」三つの道

一般的に「文系」に分類される経済学部出身で、シリコンバレーのスタートアップでは必ずしも評価されない「素のMBA」しか持っていない「トリプル・ネガティヴ」な自分が「(アメリカで)テクノロジーを核としたビジネス」に潜り込んでどうにか経営分野で存在基盤を確立できたのは曲がりなりにも「まず役に立つ」ことができたからです。

そんな橋頭堡となるような「最初の貢献」というか「侵入・侵襲経路」は以下の3パターン

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「価値ある・稼げる」医療・診断イノベーションとは?

「価値ある・稼げる」医療・診断イノベーションとは?

この投稿(Facebook に書いたものの「そのまま再掲」です)は以下の記事で取り上げられているがん診断スタートアップそのものについて批評することが目的ではありません。

自分のサンフランシスコベイエリアでの心疾患診断スタートアップにおける経営経験を元に、米国医療診断業界における新製品(とそれを作って売るスタートアップ)が考えなければいけないことについて語るため、ちょうどNewspicksでの連載

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スタートアップ、業界違えばお金の使い方もリスクもキャリアも違う

スタートアップ、業界違えばお金の使い方もリスクもキャリアも違う

【以下、Facebook に投稿したものを若干編集して転載】

トップの画像、長年のコラボレーターで今も共に色々企んでいる小柳智義氏が東京の某所でアカデミアからの創薬・スタートアップ創業についてセミナーを行った時の資料中、最もオーディエンスに「刺さった」一枚。ヘルスケア業界、特に創薬分野で創業することと、IT業界で創業することの違いを端的に表している。

この小柳さんのビジュアル化(ところで「見え

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大企業とVCが組んで買収見込みのスタートアップ創業する話(マニア向け)

大企業とVCが組んで買収見込みのスタートアップ創業する話(マニア向け)

【以下、Facebookに投稿したものを転載】

一昨日のTome Biosciencesに続く「VCがプロデュースしたステルススタートアップのいきなり大型調達」というベンチャークリエイションの話。

もっともこれは「巨額投資したけどぽしゃった」類の話ではなく「大手VCと製薬企業が共同でスタートアップ作っちゃった」話。(記事リンク)

当事者はライフサイエンス業界の老舗で最大手VCの一つであるVe

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Tome Biosciences の大型資金調達からわずか9ヶ月でのリストラに見る米国ライフサイエンススタートアップエコシステム事情

Tome Biosciences の大型資金調達からわずか9ヶ月でのリストラに見る米国ライフサイエンススタートアップエコシステム事情

【以下、Facebookに投稿したものを転載】

2024年8月終盤の時事ネタです。

Tome Biosciences といえば昨年12月にいきなりステルスモードを脱して錚々たる投資家陣からの$213M の資金調達を発表して業界を騒然とさせた遺伝子編集のスタートアップ。

そんな華々しいスタートを切った同社、その後9ヶ月でこの記事にあるようにリストラだの身売りを模索しているだの、そして別ソースで

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Unpopular but deeply held opinions about the Japanese startup "ecosystem"

Unpopular but deeply held opinions about the Japanese startup "ecosystem"

This is an article I recently posted on LinkedIn "as is." I received the most views, comments, and reactions of all my posts there thus far. It's provocative in content and tone. Reader discretion is

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エコシステムは「できるもの?」「つくるもの?」

エコシステムは「できるもの?」「つくるもの?」

長年の知己でありこの数年はコラボレーターとして日米に跨るライフサイエンススタートアップ創生・振興活動に共に取り組んでいる小柳智義氏による論考について敢えて少し距離を取って読み解いてみる。

本論考では、とかくスタートアップとは対立概念、というかもはや自らイノベーションを生み出すことができず、ディスラプトされ喰われゆくものとして語られることの多い既存大企業が実はエコシステムを回す上で重要な役割を担っ

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「起業家教育」って一体何?

「起業家教育」って一体何?

Facebook上で日本の起業家教育プログラムへのインプットを求められた友人(僕にそんなこと聞く人はいません)がアイディアと意見を求めていたので「意見」として書いたものを転載します。

起業はしたいかしたくないかだけで「起業の仕方」や「起業の仕組み」を教えてなれるものでも教わってなれるものでもありません。そして就職・就社と天秤にかけるキャリアの選択肢などでもなく「世に問いたいものがある」人が勝手に

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起業エコシステムは確証バイアスの温床

起業エコシステムは確証バイアスの温床

以下先日Facebookに投稿したものをそのまま転載したものの最後に1段落付け加えています。

起業家そしてアーリーステージにとって最大の危険は「確証バイアス(confirmation bias)」。狭い意味では自分の仮説(=事業成功可能性)について都合の良い情報だけを集めることだが、実態としては、

①《同類承認の罠》ある程度先行し成果を上げた起業家仲間からの応援と自己投影を含むフィードバックを

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2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

とは長いタイトルですが内容もそのままです(笑)。

HVC KYOTOは京都で7月に開催される、国内外の医療系スタートアップ・起業家によるピッチと、提携先となりうる大企業そして投資家とのマッチングを目的としたイベントです。英語で全て行われること、デジタルヘルス分野も含まれること、などが特色です。

詳細については長年の友人でもあり、共に色々企む仲間でもある小柳智義さんの以下の投稿をご覧ください。

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「ベンチャーを狙う詐欺師」を巡るあれこれ

「ベンチャーを狙う詐欺師」を巡るあれこれ

「再開」後初投稿が人の書いたものに乗っかったもので良いか否かはおいといて、以下の記事、僕も「詐欺師」の類なのかな(笑)と思いながら読むうちに色々ツボにきたので拡張してみます。

ベイエリアで長いこと創業者の出身地を問わずスタートアップに関わり、経営者、取締役、アドバイザーやコンサルタントと言う内外両方の視点から見てきた経験からつい一言言いたくなったのです。

以下めがねシャチョウさんの元記事より長

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