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日本産アメリカ製。日本で銀行勤務、スタンフォード大学に留学して以来20+年サンフランシ…

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日本産アメリカ製。日本で銀行勤務、スタンフォード大学に留学して以来20+年サンフランシスコベイエリア在住。経営コンサルタント、スタートアップ経営者・取締役、大企業のイノベーション支援、起業家のメンター・アドバイザーとして活動。「日本とシリコンバレー」枠から逸脱。

マガジン

  • キャリア・仕事にまつわること

  • ライフサイエンス・バイオテクノロジー業界・スタートアップ考察

    ライフサイエンス・バイオテクノロジー業界における起業、資金調達、ビジネスモデル、M&Aなどにつき日米比較も交えて考察しています。

  • 読んだ本

    新旧入り交ぜて読んだ本の感想や連想したことを書いていきます。

  • スタンフォード・ビジネススクールでの学び

    MBAプログラムの2年間で「学び」の大きかった人・授業・イベントなどにつき語ります。1990年代半ばの話ですので現在の同校については現役学生または最近の卒業生にお聞き下さい。

  • シリコンバレー・アルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記

    2012年にブログで公開したものの再掲です。「序」からお読みください。

最近の記事

【スタートアップに「潜り込む」三つの道】

一般的に「文系」に分類される経済学部出身で、シリコンバレーのスタートアップでは必ずしも評価されない「素のMBA」しか持っていない「トリプル・ネガティヴ」な自分が「(アメリカで)テクノロジーを核としたビジネス」に潜り込んでどうにか経営分野で存在基盤を確立できたのは曲がりなりにも「まず役に立つ」ことができたからです。 そんな橋頭堡となるような「最初の貢献」というか「侵入・侵襲経路」は以下の3パターン。 ①「通訳基点」まず「日本語デキマス」「日本ノ企業文化知ッテマス」で事業開発

    • 「価値ある・稼げる」医療・診断イノベーションとは?

      この投稿(Facebook に書いたものの「そのまま再掲」です)は以下の記事で取り上げられているがん診断スタートアップそのものについて批評することが目的ではありません。 自分のサンフランシスコベイエリアでの心疾患診断スタートアップにおける経営経験を元に、米国医療診断業界における新製品(とそれを作って売るスタートアップ)が考えなければいけないことについて語るため、ちょうどNewspicksでの連載がアップデートされた同社を「議論の出発点」として取り上げています。 それでは以

      • スタートアップ、業界違えばお金の使い方もリスクもキャリアも違う

        【以下、Facebook に投稿したものを若干編集して転載】 トップの画像、長年のコラボレーターで今も共に色々企んでいる小柳智義氏が東京の某所でアカデミアからの創薬・スタートアップ創業についてセミナーを行った時の資料中、最もオーディエンスに「刺さった」一枚。ヘルスケア業界、特に創薬分野で創業することと、IT業界で創業することの違いを端的に表している。 この小柳さんのビジュアル化(ところで「見える化」って一体なんですか?)が響いたので少し乱暴な形でではあるが、以下に両業界に

        • 大企業とVCが組んで買収見込みのスタートアップ創業する話(マニア向け)

          【以下、Facebookに投稿したものを転載】 一昨日のTome Biosciencesに続く「VCがプロデュースしたステルススタートアップのいきなり大型調達」というベンチャークリエイションの話。 もっともこれは「巨額投資したけどぽしゃった」類の話ではなく「大手VCと製薬企業が共同でスタートアップ作っちゃった」話。(記事リンク) 当事者はライフサイエンス業界の老舗で最大手VCの一つであるVersant Venturesとスイスの世界的製薬会社製薬会社Novartis。

        【スタートアップに「潜り込む」三つの道】

        • 「価値ある・稼げる」医療・診断イノベーションとは?

        • スタートアップ、業界違えばお金の使い方もリスクもキャリアも違う

        • 大企業とVCが組んで買収見込みのスタートアップ創業する話(マニア向け)

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        • ライフサイエンス・バイオテクノロジー業界・スタートアップ考察
          6本
        • キャリア・仕事にまつわること
          18本
        • 読んだ本
          3本
        • スタンフォード・ビジネススクールでの学び
          5本
        • シリコンバレー・アルゴリズム心臓病診断スタートアップ経営記
          8本
        • 私的グスタフ・マーラーの交響曲論
          11本

        記事

          Tome Biosciences の大型資金調達からわずか9ヶ月でのリストラに見る米国ライフサイエンススタートアップエコシステム事情

          【以下、Facebookに投稿したものを転載】 2024年8月終盤の時事ネタです。 Tome Biosciences といえば昨年12月にいきなりステルスモードを脱して錚々たる投資家陣からの$213M の資金調達を発表して業界を騒然とさせた遺伝子編集のスタートアップ。 そんな華々しいスタートを切った同社、その後9ヶ月でこの記事にあるようにリストラだの身売りを模索しているだの、そして別ソースではCEOも退任するとかいう記事が出る事態に。 錚々たる投資家陣:アンドリーセン

          Tome Biosciences の大型資金調達からわずか9ヶ月でのリストラに見る米国ライフサイエンススタートアップエコシステム事情

          Unpopular but deeply held opinions about the Japanese startup "ecosystem"

          This is an article I recently posted on LinkedIn "as is." I received the most views, comments, and reactions of all my posts there thus far. It's provocative in content and tone. Reader discretion is advised. (以下最近LinkedInに投稿し過去最高の閲覧数と共に多く

          Unpopular but deeply held opinions about the Japanese startup "ecosystem"

          「起業家のためのリスク&法律入門」〜優れた仕事の教科書は知識より問いを促すもの

          本年の日本滞在中に購入した読んだもう一冊の本。こちらは実用書です。七帝柔道や医薬品業界の腐敗をネタにした本ばかりではありません(笑) 日米のスタートアップを取り巻く法律や規制の違いはあれど会社を創り育てる中で陥りがちな「法に関わるリスク」は自分自身が体験したトラブルや訴訟沙汰も含め共通するものが多く、追体験しつつ時には「あるある」と頷き、時には紙一重で回避できた幸運を噛み締めつつ読むことができました。 (ちなみに僕は自称 startup jailhouse lawyer

          「起業家のためのリスク&法律入門」〜優れた仕事の教科書は知識より問いを促すもの

          大藪春彦「戦士の挽歌」〜人生のトンデモ参考書?

          大藪春彦氏の小説には高校の時に「野獣死すべし」と「蘇る金狼」を読んで以来いろんな形で影響を受けました。 Wikipedia 「大藪春彦」 主人公の超人的なライフスタイルや身体能力・男性的魅力には及びもつかないヘタレでオタクな自分ですが、マニアックかつストイックな興味探求や目的遂行には相当変質はしてますが自分の中にまだまだ息づいているような気がします。 (高校3年間はSFを一時卒業して英米のハードボイルドや冒険小説にハマっていた時期で自分も習作というかパスティーシュみたい

          大藪春彦「戦士の挽歌」〜人生のトンデモ参考書?

          「七帝柔道記」を読んで〜自分が受け継ぐもの、繋ぐものとは?

          以前ほど日本の小説も漫画も読まなくなっていますが、1年半ぶりの日本訪問となると流石にそれなりの冊数を購入します。書評ブログなどそれこそ何年も書いていませんが今回は何冊か響く本を入手したので思い立って投稿。 第一回の今回、自分語りも交えつつ紹介するのは「七帝柔道記」そして11年ぶりに刊行された「七帝柔道記II」。寝技を中心とした独自ルールで旧帝国大学7校の柔道部限定で戦う競技の世界を、北海道大学柔道部に1980年代終盤に在籍した作家増田俊也氏(Twitter/X: @Masu

          「七帝柔道記」を読んで〜自分が受け継ぐもの、繋ぐものとは?

          エコシステムは「できるもの?」「つくるもの?」

          長年の知己でありこの数年はコラボレーターとして日米に跨るライフサイエンススタートアップ創生・振興活動に共に取り組んでいる小柳智義氏による論考について敢えて少し距離を取って読み解いてみる。 本論考では、とかくスタートアップとは対立概念、というかもはや自らイノベーションを生み出すことができず、ディスラプトされ喰われゆくものとして語られることの多い既存大企業が実はエコシステムを回す上で重要な役割を担っている…というか担い得る、という議論。 この論考では、とかく「起業→VC ファ

          エコシステムは「できるもの?」「つくるもの?」

          「起業家教育」って一体何?

          Facebook上で日本の起業家教育プログラムへのインプットを求められた友人(僕にそんなこと聞く人はいません)がアイディアと意見を求めていたので「意見」として書いたものを転載します。 起業はしたいかしたくないかだけで「起業の仕方」や「起業の仕組み」を教えてなれるものでも教わってなれるものでもありません。そして就職・就社と天秤にかけるキャリアの選択肢などでもなく「世に問いたいものがある」人が勝手にやるものです。 世に蔓延る「起業家教育」の多くは「起業しろと煽る・けしかける」

          「起業家教育」って一体何?

          起業エコシステムは確証バイアスの温床

          以下先日Facebookに投稿したものをそのまま転載したものの最後に1段落付け加えています。 起業家そしてアーリーステージにとって最大の危険は「確証バイアス(confirmation bias)」。狭い意味では自分の仮説(=事業成功可能性)について都合の良い情報だけを集めることだが、実態としては、 ①《同類承認の罠》ある程度先行し成果を上げた起業家仲間からの応援と自己投影を含むフィードバックを「成功への承認」だと勘違いする。 ②《おこぼれに預かりたい業者の罠罠》自社と自

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          2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

          とは長いタイトルですが内容もそのままです(笑)。 HVC KYOTOは京都で7月に開催される、国内外の医療系スタートアップ・起業家によるピッチと、提携先となりうる大企業そして投資家とのマッチングを目的としたイベントです。英語で全て行われること、デジタルヘルス分野も含まれること、などが特色です。 詳細については長年の友人でもあり、共に色々企む仲間でもある小柳智義さんの以下の投稿をご覧ください。 今回は特に「事業計画とかよくわからない」という大学などの研究者の方の参加も増や

          2024 HVC KYOTO スタートアップ募集案内のついでにライフサイエンス起業家が考えるべきことについて書いてみた

          医療とビジネスと家族愛と〜二人のスタンフォードビジネススクール同窓生

          これは「ビジネススクールでの(自分の)学び」ではなく、MBAプログラムで学んだことを自らの子供の命を救うために最大限活用し、成果を上げている卒業生の話。一人は同級生、もう一人は「後輩」(この表現、卒業年次無関係な米国では全く相応しくないけど)。 先に「後輩」について。彼はお嬢さんが生まれ持った希少疾患・難病を治すために世界中の治療につながりそうな研究を探して資金提供するNPOを設立、いくつか期待できる治療法への道筋が見えた、と言う話です。これは1年以上前にLinkedInに

          医療とビジネスと家族愛と〜二人のスタンフォードビジネススクール同窓生

          米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

          以下は先日Facebookに連続投稿したものに若干加筆・編集した上でこちらに掲載しています。 何回かに分けて投稿する中でいただいたコメントに触発されて話が膨らんだり深まっていったため、一つの文章としてではなく「まとめ」的に読んでいただく方が良いかな、と思い「小見出し」をつけてオリジナル掲載時の各回の区切りとしています。 【序:なぜこんな話を?】 この1年ほど、長年の友人である日本の某国立大学の教授とライフサイエンス(生命科学)分野を中心に、大学発ベンチャーや技術移転、大

          米国の大学エンダウメント運用は「長い目で(金持ち)勝つ」〜スタンフォード大学の財政収支と寄付金運用

          「美術館方式」プレゼンテーションの思い出

          紅茶に浸したプティット・マドレーヌを齧って幼少期の思い出から世界文学史上に輝く物語を紡ぎ出したのはプルースト。 以下はそんな優雅な思い出ではなく、送られてきたパワーポイントファイルを開いてふと蘇ったものすごく散文的な記憶です。 アメリカでの経営コンサルティング会社時代、クライアントの会議室を一つ割り当てられて顧客先出張時の拠点とすることが良くありました。 そこでプレゼンテーションの準備をする際、ページを印刷して壁に貼り、ストーリーの流れを見ながら順番を入れ替えたり、ポス

          「美術館方式」プレゼンテーションの思い出