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【展覧会レポ】二子玉川ライズスタジオ&ホール「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」

【約3,400文字、写真約50枚】
二子玉川ライズスタジオ&ホールで開催されている「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」に行きました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶「展覧会とイベントの中間」のような楽しい企画展、❷作品から「気付き」のハードルが低いため、子供やアートに興味がない大人でも楽しめる、❸体験型のアートも充実していて面白い、❹ファミリー層の多い二子玉川にぴったりな展覧会でした。

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★★
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:鈴木康広展 ただ今、発見しています。
場所:二子玉川ライズ スタジオ&ホール
会期:2024/7/20(土)~9/1(日)
休館日:なし
開館時間: 10:00-19:00
住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ
アクセス:二子玉川駅から徒歩で約4分
入場料(一般):1,000円
事前予約:ー
展覧所要時間:30分〜1時間
撮影:全て可能
URL:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/24_suzuki/ 


▶︎訪問のきっかけ

二子玉川RISEにある案内板

1)展覧会の内容云々よりも、二子玉川で展覧会があること自体に興味があったこと、2)子供も楽しめる内容だと知って、行くことに決めました。

▶︎アクセス

二子玉川ライズ スタジオ&ホール
前のイベントスペースが非常に邪魔

会場は二子玉川駅から徒歩約4分。109シネマズなどが付近にあるイベントホールで実施しています。普段は、セミナーや物販などのイベントに使用されている印象です。

二子玉川ライズスタジオ&ホールの使用料金:1日約50万円〜約100万円(画像引用

仮に1日50万円で借りたとすると、入場料は大人1,000円なので、スペース代だけで1日500人(1時間で約56人)呼ばないとペイできません。私は週末ピークタイムに入場しましたが、そこまでの集客はありませんでした。

また、場内に派遣スタッフが20人はいました。スペース代に加え、さまざまな経費がかかっているため、入場料だけで収益化はほぼできないでしょう。今回の展覧会は、企画・制作:Bunkamura、協力:二子玉川ライズともに東急系列であるため、そのスキームなしには実現できない展覧会です。

会場の前面が大きなガラス張りで、外から中の展示がよく見えます。道行く人は「何だか面白そう」とついつい中を覗いてしまします。その後、あわよくば入場!という良い仕掛けだと思いました。

なお、9月29日までイベントホールの前で「プレミアム ビアテラス」が開催。そのテントなどが非常に邪魔なため、遠目から展覧会がやっていることが全く分からない点が残念。客数減にも影響していると思います。

いざ、展覧会へ

▶︎「鈴木康広展 ただ今、発見しています。」感想

ご本人(キャップ+ボーダーT)も在廊

身の周りに存在する何気ないものごとに注目し、小さな気付きを独自の視点で捉えなおし作品を制作するアーティスト・鈴木康広。(略)繊細な視点と斬新な発想にもとづく「見立て」(=あるものを見て他の何かを連想し、新たな視点で捉えなおすこと)から生まれた作品約50点を展示します。(略)ただ鑑賞するだけではない体験型の作品も! (略)Bunkamura ザ・ミュージアムが、文化と自然にあふれるヒラメキの場所・二子玉川の地にて開催する本展。

公式サイトより

要は、日常にある小さな発見や気付きを、独自の視点で鈴木康広が作品化したものが並ぶ展覧会。ワンフロアにさまざまな作品が設置されていました。結構わちゃわちゃしていました。仕切りなどはないため、車椅子の人もスペースに余裕をもって鑑賞できる点は良かったと思いました。

フロアマップ

私は今まで、鈴木康広の名前の作品を認識したことがありませんでした。帰宅後に調べると、今年4月に行った十和田市現代美術館で鈴木康広の作品を撮影していました。

鈴木康広《はじまりの果実》@十和田市現代美術館(2024年4月撮影)

今回の展覧会で設置されていた《ファスナーの船》もどこかの美術館で見たことがありました。船が海を進んだ後にできる波は、チャックのジッパー部分に似ていますよね。その発想を実際に作品化してしまうことがすごい。

《ファスナーの船》
《ファスナーの船》の構造図
キャプションが床に描かれている点も宝探しのようで面白い
《地球展開儀》
地球儀の上を「ファスナーの船」が通ったイメージ

全体的に「ほんわか楽しい、アートとイベントの中間のような展覧会」という印象でした。会場外から見ても「展覧会」とは見えず、子供達が楽しそうに動き回り、何か面白そうなイベントが実施している、と見えます。

中でも一番目立っており、実際に人気があった作品が《まばたきの葉》でした。私の子供は約9割の時間をこの作品で過ごしていました。

《まばたきの葉》

長い筒には2つ穴が空いています。その穴の中に葉っぱの形をした紙を入れると、上から噴き出てくる仕掛けです。

床に落ちている紙を集めて
筒の中に入れると上から噴き出てきます
大人も夢中

紙の葉っぱの表と裏には開いた目閉じた目が描かれています。それが上から回転しながら降ってくると「瞬き」をしているように見える仕掛けです。

開いた目、閉じた目が描かれています
上から降ってくると「瞬き」に見える
葉っぱの形が最も回りやすいらしい
紙の葉っぱにはイラストも描けます
これが子供にとっては一番嬉しかったポイントで、ずっと何か描いていました。経験上、展覧会で子供が満足するには「さわれる」「描ける」が重要
《まばたきの時計》
《足元の展望台》
地面から遠ざかりつつ、地球の上に立っている確かな感覚が芽生える
子供達はどう感じるだろう?

一部の作品は、ギャグのようにクスッと笑えるようなものもあるため、大人も子供もみんな笑顔になることができます。おひとり様でも良いですが、特に親子、デート、友人同士などでは盛り上がります。ファミリー層の厚い二子玉という場所にぴったりな展覧会だと思いました。

《ルーペの節穴》
ルーペで覗きたい部分に穴が空いているため覗けない(笑
《軽さを測る天秤》
底部分から空気が少しずつ出て天秤に積もる。発想に子供心があり新鮮
《自画像のパズル》
自分の顔を見るためにパズルを組まないと使えない
《裏表のコップ》
《地球線を描く鉛筆》
ひと描きすれば空と地面の両方が描ける
《日本列島の方位磁針》
「こちらが北海道、あちらに九州…」と方位と地理が同時に分かる
《りんごのけん玉》
《りんごのけん玉》《日本列島の方位磁針》のコラボ作品
《上/下》
頭上には同じ形のオブジェが浮かんでいます。見方を変えれば「上」「下」も変わる
《ここ/そこ》
「ここ」の判子を押したはずが「そこ」になる
(なんでやねん)
《水の切り株》

来場者は、難しい顔でキャプションを読んで「理解」する必要がなく、直感的に世界共通で楽しめる作品が多いです。そのため、この展覧会は、日本以外で実施しても人気が出るのでは?と思いました。

《空気の人》大
《空気の人》小
実際にいろんな場所に浮かべると、
シュールで面白い

中には、少しアホっぽい閃きのような作品もあります。しかし、その発想を一瞬の妄想で終わらせるのではなく、実際の行動に起こす人は少ないです。それをみんなで楽しめる形に具現化すると、妄想以上に面白く、たくさんの人に気付きを与えることができます。そういう意味で、鈴木康広はとても貴重なアーティストだと思いました。

子供はずっと楽しそうにしていました。特に《まばたきの葉》で絵を描き続けており、実際にそれが一番楽しかった、とのことでした。

《りんごの天体観測》
りんごのポツポツが星々や銀河に見えたことから着想を得た作品

▶︎まとめ

買ったポストカード《りんごの天体観測》

いかがだったでしょうか?「展覧会」というより「アートと遊びの中間のようなイベント」という印象でした。どんなアート作品でも「気付き」があります。この展覧会では、その「気付き」のハードルが低いため、子供でも、アートに興味が薄い大人でも楽しめると思いました。特に体験型の《まばたきの葉》!鈴木康広の今後の活動に注目です!

▶︎今日の美術館飯

★3.3/おねぎや 二子玉川店 (東京都/二子玉川駅) - 江戸千住ねぎと鶏つくねの豚肉巻き定食 (¥1,380)
★3.1/GOOD GREEN THINGS (東京都/二子玉川駅) - GELATO シングル (¥660)

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