水木三甫

『「本当の自分」殺人事件』(電子書籍もあり)に続き、第2短編集『あなたの子供が生みたか…

水木三甫

『「本当の自分」殺人事件』(電子書籍もあり)に続き、第2短編集『あなたの子供が生みたかった』を6月13日刊行予定。さらに長編小説にも挑戦しています。60歳からでもプロになれることを証明するべく奮闘中です。 応援よろしくお願いいたします。

マガジン

  • 水木三甫の心葉♡♧詩集

    心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを書いていただけると、モチベーションも高くなりますので、なにとぞよろしくお願いします。 なお、「心葉」を辞書で引くと、別の説明が載っていますが、僕は「心葉」を「自分の思いを、自分以外の人に、伝えるために形にして表した言葉」という意味を勝手につけて使用しています。 もともと詩は小説を書くための表現力を磨くために作り始めました。小説と比べてストレートに自分の思いを伝えることができる点、詩を書くという行為自体が楽しくなりました。 蛇足ですが、♡♧=心葉と読んでください。 では、みなさん、よろしくお願いします。

  • 水木三甫の短編小説よりも短い作り話

    自著の超短編小説(ショート・ショート)をまとめました。 ユーモアあり、ブラックあり、ほのぼのあり、ホラーらしきものあり、童話らしきものあり、皮肉めいたものあり、オチのあるものありなどなど、タイプの異なった小説を揃えました。これからもいろいろなタイプのショート・ショートを書いていきますので、ぜひ読んでみてください。

  • 日曜美術館を見て

    『日曜美術館』を見た感想を綴ります。美術に興味を持ち始めたのは、ほんの最近ですが、素人ならではの新しい切り口で語れればいいかなと思っています。

  • 『7つの習慣』を読んで

    『7つの習慣』を読んで、気になった文章を自分の人生と照らし合わせてみました。

  • 時間にまつわる物語 番外編

    時間にまつわる不思議な物語。ひとつひとつがショート・ショートになっていますので、どこから読んでも大丈夫です。 「『本当の自分』殺人事件」の中の「時間にまつわる物語」の番外編です。

記事一覧

固定された記事

「本当の自分」殺人事件 発売中

水木三甫
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拙著『あなたの子供が生みたかった』が売上5位に

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詩人になるために故郷を捨て、母への思いと望郷の念を抱き続けた詩人。心の彷徨い人。 好きな作品は 『白い雲』・・・風来坊への憧れ 『幸福』・・・幸福とは魂の拠り所 …

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鳥羽耕史『運動体・安部公房』読了

主に共産党員だった時代を取り上げ、それがどのように作品に影響を与えたかを論じている。 著者は安部を「日和見主義ではない」と述べているが、安部は自分で「私は日和見…

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山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。 一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。 風になりたいと願うが、…

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虚栄心と歪んだプライドが引き起こす馬鹿騒ぎ。その中で純粋無垢な主人公が苦しんでいく物語。これが第一印象だ。 しかし、ドストエフスキーがただの馬鹿騒ぎをこれほど長…

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今回は短編集。 それぞれ独立した作品であるが、一部で登場人物が錯綜するところは伊坂幸太郎らしい。 表題作『フィッシュストーリー』では、人間の繋がりの不思議(『ポ…

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シャーリー・ジャクスン『くじ』読了

初読み作家さん。 最初、ブラックユーモアだと思って読んだが、ドキッとしたりハッとしたりする切れ味がない。正直何が面白いのかわからない作品もあった。 しかし、読ん…

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真夜中の浜辺に君は立っている。 波が君の足許を濡らしている。 君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。 月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶…

水木三甫
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塚本はつ歌『塩の樹と森の人魚』読了

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精霊と人間が共存していた世界でリニアモーターカーの計画が進んでいく。

子供にとってディズニーランドは現実だ。しかし、大人たちはそこを夢の国と呼ぶ。
精霊のいる世界などただの妄想だと大人は思う。小さな子供のときにはいつでも出会えた精霊が、大人になるうちに夢の世界へと移っていく。私利私欲が精霊を見る力を失わせていることに気づかない。そして、子供の心を失わない者が犠牲者となって、精霊の世界を守るために

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エラリー・クイーン『Xの悲劇』読了。

エラリー・クイーン『Xの悲劇』読了。

再読。

犯人もトリックも完全に忘れていたので、純粋に推理小説を楽しめた。

国名シリーズとはまったく違う重苦しい雰囲気は、老俳優ドルリー・レーンという探偵役に負うところが大きい。しかし、論理的な解決方法はさすがはエラリー・クイーンだ。

日本の本格推理小説の元ともなっているエラリー・クイーン、アガサ・クリスティ、ディクスン・カーは、ミステリーファン必読の書と言っていいだろう。

登場人物の名前を

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6月の読書(25冊)

6月の読書(25冊)

・スウィフト『ガリバー旅行記』
・安部公房『東欧を行く―ハンガリア問題の背景―』
・森沢明夫『水曜日の手紙』
・香月夕花『あの光』
・東野圭吾『毒笑小説』
・宮野入羅針『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』
・貴戸湊太『そして、ユリコは一人になった』
・間埜心響『ザ・レイン・ストーリーズ』
・ドストエフスキー『白痴(上)・(下)』
・川上未映子『春のこわいもの』
・小川洋子『夜明けの縁をさ迷う人々』

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モンシロチョウ(詩)

モンシロチョウ(詩)

君とつないだ手の温もりは春の風に消え去り、
輝かしい季節には僕一人しかいない。
孤独は嫌いではないけれど、
君と出会い、君と別れて、
孤独の意味はすっかり変わり果てた。
真夏の太陽の光を集めて生まれた一羽のモンシロチョウが、
波のように揺れながら、
季節外れの僕を置いてきぼりにして、
目の前を通り過ぎた。

寺地はるな『大人は泣かないと思っていた』読了

寺地はるな『大人は泣かないと思っていた』読了

連作短編集。

「ない」という言葉が7作品中6作品もある。

「ない」という思い込みが間違っていた表題作を始め、「ない」なら別の方法を探したり、自分の人生を見つめ直した結果としての「ない」。

否定的なはずの「ない」を肯定的に書ききる著者の腕は、『水を縫う』にも活かされていた。

人それぞれ長所もあれば短所もある。短所だけで相手を見ていたら親友など作れないが、短所を相手に伝えてあげられるのも親友だ

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『ヘッセ詩集』読了

『ヘッセ詩集』読了

詩人になるために故郷を捨て、母への思いと望郷の念を抱き続けた詩人。心の彷徨い人。

好きな作品は
『白い雲』・・・風来坊への憧れ
『幸福』・・・幸福とは魂の拠り所
『チョウチョウ』・・・天国からの使者
『八月の終わり』・・・悟りの季節
『春の言葉』・・・日本の政治家に向けて
『シャボン玉』・・・人生は幻、シャボン玉は幻

好きな言葉は
「魂は曲がりくねった小道を行く。/魂のことばを読むことを学びた

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鳥羽耕史『運動体・安部公房』読了

鳥羽耕史『運動体・安部公房』読了

主に共産党員だった時代を取り上げ、それがどのように作品に影響を与えたかを論じている。

著者は安部を「日和見主義ではない」と述べているが、安部は自分で「私は日和見主義者」だと言っている。確かに共産主義の理想を叶えようと芸術面で闘った安部が、共産党員を辞めてからは芸術の内面、自分の内面について書くことを決めた。それからの作品からは対政治を直接訴える作品はなくなったようだ。安部は自分の思想の間違いに気

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透明人間にご用心(詩)

透明人間にご用心(詩)

透明人間が殺された。
透明人間が車に轢き殺された。
そう新聞に書いてあった。
加害者は被害者にまったく気づかなかった。
当たり前だろう。だって透明人間なのだから。
透明人間は死んだ途端に姿を現したそうだ。
透明になる意志が消えたからだろうと専門家は言った。
人ごとではない。
透明人間は一人だけではないのだから。
それどころか、都会は透明人間で溢れかえっている。
あなたが人殺しにならないために、ご忠

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原田マハ『生きるぼくら』読了

原田マハ『生きるぼくら』読了

久しぶりのマハ作品。

引きこもりの青年が米作りを通して成長する物語。

自然は人間にいろいろなことを教えてくれる。それを受け止めるかどうか決めるのは人間だ。そして、人間のほとんどは受け止めないことに決めてしまったらしい。

今や小学校教育では英語やプログラム、さらに株の教育まで始めようとしている。それらを学んで大人になったとき、どんな人間に育っているかを考えると恐くなる。人間を経済の奴隷にするよ

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風(詩)

風(詩)

山を切り開いて作られた道は、たわみながら山の稜線の中に消えていく。

一歩一歩確実に歩む僕に、いくつもの風がこれ見よがしにぶつかってくる。

風になりたいと願うが、知識を詰め込みすぎた重い脳みそを持った僕が、風になれないことは最初からわかっていた。

すべてが機械化された現代において、山道を登るのは人力に頼らざるを得ないなんて。

僕はぶつかろうとした一筋の風を吸い込んで、地面に向かって吐き出した

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ドストエフスキー『白痴』読了

ドストエフスキー『白痴』読了

虚栄心と歪んだプライドが引き起こす馬鹿騒ぎ。その中で純粋無垢な主人公が苦しんでいく物語。これが第一印象だ。

しかし、ドストエフスキーがただの馬鹿騒ぎをこれほど長編として書くわけがない。

時代が大きく変貌するとき、若者はその変貌を主導したくなる。問題なのは、主導したがる若者は自分を頭が良いと思っているし、その実あまりにも主観的なモノの見方しかできないことだ。しかし、答のない答を間違えるのも若者の

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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』読了

伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』読了

今回は短編集。

それぞれ独立した作品であるが、一部で登場人物が錯綜するところは伊坂幸太郎らしい。

表題作『フィッシュストーリー』では、人間の繋がりの不思議(『ポテチ』にも繋がっているが)がひとつのテーマになっている。偶然知り合った、それも一度だけの出会いがそれぞれの人生を変え、世界を救うことになる。まるで「ほら話」のように。出会いがすべて誰にでもわかる正義の方向へ向かっているのも楽しい。

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シャーリー・ジャクスン『くじ』読了

シャーリー・ジャクスン『くじ』読了

初読み作家さん。

最初、ブラックユーモアだと思って読んだが、ドキッとしたりハッとしたりする切れ味がない。正直何が面白いのかわからない作品もあった。

しかし、読んだ後にゾクゾクするような、辛いものを食べて後から辛味が来るような、そんななんとも言えない悪意が感じられた。

お気に入りは、『もちろん』と『歯』と『くじ』。

波(詩)

波(詩)

真夜中の浜辺に君は立っている。
波が君の足許を濡らしている。
君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。
月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶けてゆく。
波は地球の揺らぎであり、波は生命の揺らぎである。
君の心臓のリズムが波と重なり合ったとき、君は自分が波に生まれ変ったことに気がつく。
君は海に向かって歩き出す。
君の姿が少しずつ波に溶けてゆく。
そして君は海となって、揺らいだ

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