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近藤史恵『タルト・タタンの夢』読了
初読の作家さん。
店を訪れたお客に関する、血なまぐささのまったくなくミステリー。
ただ、フランス料理に詳しくない私のような者にとっては、どんな見た目でどんな味がするのかわからない料理だらけで、その説明が小説の流れを止めてしまっているのが残念。
4月の読書記録(22冊)
・西加奈子『漁港の肉子ちゃん』
・バイロン『バイロン詩集』
・ウイリアム・アイリッシュ『幻の女』
・奥田英朗『空中ブランコ』
・坂堅太『安部公房と「日本」』
・『モーパッサン短編集Ⅱ』
・山本文緒『プラナリア』
・田口ランディ『もう消費すら快楽じゃない彼女』
・重松清『ビタミンF』
・開高健『パニック・裸の王様』
・燃え殻『すべて忘れてしまうから』
・E・S・ガードナー『ビロードの爪』
・住野よる
スズメに涙は似合わない(詩)
歌えよスズメ
笑えよスズメ
踊れよスズメ
そして
戯れよスズメたち
君らの声に悲しみはなく
君らの表情に孤独はない
スズメの涙ほどなんて言葉もあるが
君らに涙は似合わない
だから
歌えよスズメ
笑えよスズメ
踊れよスズメ
そして
戯れよスズメたち
江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』読了
久しぶりの江國作品。題名に惹かれて購入。相変わらず五感の描写が素敵だ。
過去を引きずり、今を引きずりながらも、満たされた生活を送っている女性たち。切なくもあり儚くもありながら、それでも幸せを感じている女性たち。人生いろいろ。
どこでもドア(超短編小説)
うちの近くのゴミ捨て場にどこでもドアが捨ててあった。
持ち帰ろうとしたが、重くて持ち上げることができなかった。あきらめようと思ったとき、ドアの下部に車輪が付いているのに気づいた。これなら持ち運べると思い、押しながら家に持っていった。
自分の部屋まで運んで、ピンク色のドアを見た。
「さあ、どこに行こうかな」
僕は考えた末に、ディズニーランドに決めてドアを開いて、反対側に足を踏み出した。
しかし、ただ
『殊能将之未発表短編集』読了
「犬がこわい」
落語でいうまくら部分については同感である。
小学校低学年のとき、私よりも大きな犬を連れたおばさんが向こうからやってきた。
すれ違おうとしたとき、犬が私に覆いかぶさるようにじゃれついてきた。私はその前にも犬に追いかけられたことがあり、犬が恐かったので、大声で泣いた。それをおばさんはニコニコしながら見ていた。30分くらいと思える恐怖の時間は、実は5分ほどだったが、あのときの恐怖とおば