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寺地はるな『大人は泣かないと思っていた』読了
連作短編集。
「ない」という言葉が7作品中6作品もある。
「ない」という思い込みが間違っていた表題作を始め、「ない」なら別の方法を探したり、自分の人生を見つめ直した結果としての「ない」。
否定的なはずの「ない」を肯定的に書ききる著者の腕は、『水を縫う』にも活かされていた。
人それぞれ長所もあれば短所もある。短所だけで相手を見ていたら親友など作れないが、短所を相手に伝えてあげられるのも親友だけだろう。主人公の時田翼は良い仲間に囲まれている。
自分の優しさを言い訳にしていた翼も、最後に親友の鉄腕に無理やり促されて、小柳レモンのことを好きだと白状する。「あの人は自分のことを好きじゃないと思っていた」だとか、「自分はあの人のことを愛していないと思っていた」だとかつべこべ言わずに、言葉にすることや行動することが大切なのだ。
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