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波(詩)

真夜中の浜辺に君は立っている。
波が君の足許を濡らしている。
君はそんなことも気にせず、寄せては返す波を一心に見つめている。
月の精が海の表面で揺らぎながら波に溶けてゆく。
波は地球の揺らぎであり、波は生命の揺らぎである。
君の心臓のリズムが波と重なり合ったとき、君は自分が波に生まれ変ったことに気がつく。
君は海に向かって歩き出す。
君の姿が少しずつ波に溶けてゆく。
そして君は海となって、揺らいだ月を波に映す。

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