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ミス報告が迅速にあがる、失敗から学べる組織を創造したい

第1弾では、持論の〚組織作り〛について、言語化させていただきました。
「適材適所」という言葉もあるように、個性や長所にあった配置を行うことにより、エリート集団をも対峙できる強く・生産性の高い組織になりえることが、自分自身の経験の棚卸のなかでも非常に大きな自信になっています。
加えて、選りすぐりのエリートを集めた選抜チームは一見すると生産性が高まりパフォーマンスが最大化されそうですが、スーパー・チキンの実験からも言えるように結果としては個が利己的になりやすく、生産性が落ちるということが分かり、経験に裏打ちされた学びでした。

そして、第2弾では、「 ”グループ” ではなく ”チーム” を組織する 」をテーマに自身が開発に携わった組織がグループからチームに成長していく変遷を振り返りながら、サービスやプロダクトを世に広めたり、拡大していったりするためには、グループではなくチーム を組織することが大切であると書かせていただきました。

前回は、「 マネージャー以上にリーダーでありたい」をテーマに組織開発未経験の私がインターナショナルな<チームの牽引>に成功できた成功要因こそ、マネージャーである以上にリーダーであり続けたことであって、
実際の経験から組織の状況によってリーダーシップの発揮の仕方やマネジメントの在り方は変容してもよいと思うということを僭越ながら述べさせていただきました。


今回は、{理想の組織}について考えてみようと思います。

まず前提として、毎度の自己紹介で恐縮ですが、私は決して人事や組織開発の領域においてスペシャリストでもプロフェッショナルでもありません。
しかしながら、前職では、ありがたいことに外国人英会話講師チームの開発と牽引を経験させていただきましたので、僭越ながら自分自身の次のキャリアに活かすべく、こうして組織開発や事業開発等の携わった分野において、様々な角度で経験の棚卸をさせていただいております。

早速ですが、私の{理想の組織}は、
失敗や反省が共有され、今後にしっかりと活かされる 組織です。

今回、”失敗” や “反省” を語るうえで前々職の話題から触れて参りたいと思います。
(前々職は、国内大手航空会社で地上係員として旅客ハンドリング業務に従事しておりました。いわゆるグランドスタッフと呼ばれているお仕事です。)

もしかすると、私の拙い経験の棚卸文をご覧になっている方々からは「ミサキさんはいつも前職の話をされるな」と思われているかもしれません。
これには実は理由があります。
もちろん、前職での経験は記憶に新しいだけでなく、組織開発や事業開発など貴重な経験ばかりだから、でもあります。
しかし、本当の理由は、前々職の就業中に大きな失敗をおかしていたからです。
ただし、今回組織開発について色々な角度から考えるうえで、過去の失敗と向き合うことでより自身が理想とする組織が創造できると思ったので、久しぶりに記憶を当時に遡らせながら記事を書いていきたいと思っています。

前々職の大きな失敗

業務中の事故

私は、業務中にタラップ車の階段から転落し左足距骨を粉砕する大けがを負いました。幸いに、事故当時の担当便はAIRBUS A320型機であったためこの程度で済みましたが、大型機であったならばドラマ「GOODLUCK」のような神経などの大切な部分の損傷の心配があったことと思うので、不幸中の幸いです。そして、ドラマの木村拓哉さんは訓練中に仲間をかばっての転落でしたが、私はお恥ずかしながら完全な不注意による自損事故だったと認識しております。

事故当時、私は入社4年目に入ったばかりで、一連の業務を覚え、少し余裕が出てきた頃だったでしょうか。
その担当便はありがたいことにお客さまのご協力のおかげでいつもよりもかなり早くドアをクローズすることができ、明らかにどこか気持ちに緩みがありました。そうでなければ、タラップ車の階段から落ちるなんてあまり考えられません。
油断一秒、怪我一生」とはこういうことを言うのだとその時強く実感し、改めて慣れた作業、業務に従事する時や高い集中力を保てていないような時ほど油断しやすい状態にあるので注意すべきだと強く自分を戒めたことを昨日のことのように覚えています。


そして、事故原因はもう1つあったと自身では分析しております。
それは、業務中に履いていたパンプスのヒールの細さです。私は、身長が低く少しでも美しい立ち居振る舞いを憧れ求めるばかりに、社内ではNGであった高さと細さのヒールのパンプスを履いて業務に従事しておりました。
おそらく、ヒールが細かったためにバランスを崩し、自重を支えられず転倒したと考えられます。
ルールは状況に合わせて変わっていくべきで、すべてを遵守して行動することはむしろ杓子定規で困ってしまいますが、少なくともこの事故を通じ、自身にとってルールを軽視してはならないという教訓になりました。

また、同時にお客さまではなく、一係員であった私の事故であったことが本当に良かったと思ったのです。お客さまに航空機の搭乗時にピンヒールの着用をお断りまたは制限することはできませんので、もしかしたらお客さまが同様にタラップ車の昇降時において事故に遭う危険性もゼロとは言えません。
私の事故を通じ、お客さまのタラップ車の昇降時においても同様の事故の発生を危惧するきっかけを得ることができました。

以上より、私は、ヒヤリハット報告書にて、事故の原因は自身の不注意と業務中に履いていたパンプスのヒールの細さにあったと分析した報告を共有すると共に、社内全体に対しても油断は危険であること、ルールは軽視すべきではないということ、そしてお客さまのタラップ車の昇降時においても同様の事故の発生の危険性を念頭に入れ注意をすべきであるということを発信させていただきました。

事故発生の報告の遅れ

そして、私はこの事故を通じもうひとつ重大な失敗をしています。
それは、事故発生をすぐに報告せず、数日足を引きずりながら勤務を継続していたことです。今思えば既に足首の自重を支える骨である距骨を粉砕していた私が数日間勤務ができていたことすら奇跡だと思いますが、今は皆さんに私の自己満を聞いてほしいのではなく、なぜ当時の自分はすぐに上司に報告ができなかったのかを考えてみたいのです。

当時、入社から丸3年を終え4年目を迎えたばかりでしたので、さすがに迅速な報告の必要性はわかっていました。速やかな報告の必要性を分かっていながら、その報告を怠った理由は、自身の不注意による事故であったことから怒られるという恐怖よりも羞恥心が大きかったです。

加えて申し上げるならば、上記ほどの規模のケガであれば事故後本来であれば立ち上がることすらも決して容易ではなかったと思うので、「お客さまにご迷惑をおかけするわけにはいかない」という意地やプライドが大きかったと思っています。
それゆえに、気合いでその日を乗り越えてしまったわけですが、その日を何事もなく終えてしまえたがために「多忙な上司の時間を頂いてまで自損事故の報告をわざわざしなくてもいいか」「むしろ不注意だなんて恥ずかしいのでこのまま無かったことにしてしまおう」など身勝手な思い込みからその日中の報告を怠ってしまいました。

ただ当然ながらいつまでも気合だけで業務に従事することはできかねます。
足の痛みから足を引きずったり、反対側の足に重心をかけたりする不自然な状況に自分自身が耐え切れなくなってしまい、なんで直ぐに報告しなかったんだ!と上司から怒られる恐怖に足が重かったのですが、数日後にようやく上司へ事故の報告を行うことができました。

この時、すでに事故から数日が経っていました。
幸いに、他者や他社で同様の事故が起きることもなければ、私の中途半端な状態での業務従事による更なるミスの誘発はなかったのでありますが、
大小関わらずミスや事故の報告を速やかに行わないと、あとになってからでは原因の特定や対策の考案が難しくなってしまううえに、場合によっては更なるミスやトラブルを誘発することが考えられます。
したがって、大小関わらずミスやエラーは迅速に報告することが大切であるということが身に染みてわかるようになりました。

一方で、部下の立場となってみれば報告の重要性を分かっていても報告がしづらくなってしまうことがあるとよく分かりました。
だからこそ、自分自身の経験を踏まえて上司側、またチームや会社といった組織全体としてミスやエラーの報告がしやすい雰囲気や環境づくりに努める必要があると感じております。
なお、部下からミスやエラーの報告がしやすくなる上司側で改善できる振る舞いについては、柴田さまの記事が大変参考になりますのでシェアさせていただきます。

私も「正直に話してくれてありがとう」と上司から仰っていただけたときには非常に救われた気持ちになったことを思い出しました。

事故からの学び

私は、ミスやエラーの大きさに関わらず迅速に報告を行うことの大切さを痛感しました。

一方、報告が遅れて上がってきたり、速やかに上がってこなかったりする際には上司側や組織全体に何らかの問題がある可能性があり、上司や先輩がたが率先して「自分自身の雰囲気づくりに問題があるのかもしれない」と仮説を立てて、メンバーへの振る舞いを工夫していただくことにより改善が見込まれます。

前職でのミス報告の文化

ポジティブにミス報告をする文化

前々職では、人命をお預かりするという会社の業態特徴からミスやエラーを起こすことに対する厳しさはあったのかもしれません。もちろん、それくらいに全員が常に気を引き締めて業務にあたらなければ安全を守ることはできませんので、言うまでもありません。
だからこそ、ミスやエラーを起こしてしまった人間としては、報告することが億劫になってしまったり周りの視線が怖くなってしまったり心や気持ちのダメージが少なからずあると考えられますし、実際に私は足が重くなって報告が遅れてしまいました。
ミスやエラーを起こした人は「悪」
決してそんなことは言われてもいませんが、そう言われているように感じてしまうような風潮や空気があったと思っており、確かにミスやエラーは起こさないほうが良いに越したことはないのですが、もう少しミスやエラーを報告しやすい環境であったら良いなと当時感じました。

一方で、転職した前職では、積極的にミスやエラーを報告する文化が根づいていました。
比較的若い組織でしたので、人生においてもビジネスにおいても経験が浅いメンバーが多く、だからこそとは言いませんが前々職に比べると小さいミスやエラーが頻発していたように思います。

ですが、上司や先輩がたが部下や同僚、チームメンバーがミス報告をしてくれたことを称えるような風土であったため、メンバーから積極的にミスやエラーの報告があがってきていたように思います。
とても良い文化だと思います。

報告して終わっている違和感

良い文化ではありましたが、他方で改善が必要だと感じていました。

ミス報告をしてくれた行動や行為を称えること自体は良いのですが、上司や先輩に対してミス報告をし、その後他メンバーへも共有をし終えたら終了では本来のミス報告の意味をなしていないと思いませんか?

なんとなくですが、前職では、エラーやミスを報告すると、「報告してくれてありがとう、報告した君は素敵だ!」などと上司から称えられてそれで終わってしまっていたように思え、違和感を覚えました。
また、個人差もあるかとは思いますが、ミスやエラーは上述したように出来れば起こさないほうが良いに越したことはないはずですが、このやり方ではミスやエラーを起こしてしまったことに対する反省が疎かになってしまいがちにも思えます。

できれば、ミス報告をしてくれたメンバーを称えて終わらずに、同様のミスの発生を未然に防ぐための対策についてメンバー間で話し合ったり、ヒヤリハット報告書より簡易的なもので良いと思うので、発生したエラーやミスの詳細と原因、そしてどう対応したかを記録したりができていたら尚可であったと思うのです。

私の{理想の組織}

失敗や反省が共有される組織

さて、以上の経験を踏まえて、私は、失敗や反省が共有され、今後にしっかりと活かされる 組織を開発したいと考えます。
前々職と前職の間を取るようなイメージでしょうか。

ミスやエラーは出来れば起こさないほうが良いに越したことはないのですが、だからといってミスやエラーを起こしてしまった人が「悪」ということはないはずです。人間誰しもが失敗をしますし、失敗から学ぶと思います。

だからこそ、大小関わらずミスやエラー、トラブルが発生したときに周りの視線に怖気づいて足がすくんでしまうことがないように、入社年次にかかわらず積極的にかつ迅速にエラーやトラブル発生の報告、共有ができる風土や仕組みづくりが必要だと感じております。

配属ガチャという言葉もありますが、一部の管理職のみが「正直に話してくれてありがとう」と言ってくれるようでは、この管理職の部下として配属された方たちのみがいわゆるアタリであり、この管理職が率いる組織は積極的にかつ迅速にミス報告が行き交う組織に成長していくと期待されますが、一部の方に依存している、一部の方が引っ張りあげてくれている状態は、良い組織とは言えないと考えます。

一部の方のみが頑張っている状態ではなく、組織全体で努力しなければ、風土はなかなか定着していかないのではないでしょうか。
だからこそ、まずはリーダーやマネジメント層として動かれる方から変わっていく必要があると思っています。
「人間はだれしも失敗をするものだ」という原点に立ち返ったうえでメンバーへの振る舞いを工夫していただく
ことで、他(多)メンバーがミスをしてしまったメンバーに対して送る視線が冷ややかなものではなくなっていくことが期待できます。

自分自身も今後また組織をマネジメントする立場になることがあれば、失敗を咎めるようなことはせず、まずはあの事故報告の時に自分自身が救われたように、「正直に話してくれてありがとう」と言ってあげられるように努めたいと思います。

重ねて、今後組織開発の助言をさせていただくような機会があるときには、積極的にかつ迅速にエラーやトラブル発生の報告、共有ができる風土や仕組みづくりの大切さを発信すると共に、一緒にその実現に向けて悩み考えられるようになりたいです。

共有した失敗や反省を今後に活かせる組織

ミスやエラー、トラブルを起こしてしまったら、報告と共有だけで終わってよいのでしょうか。
確かに、失敗すると落ち込みますしできれば目をそむけたくなりますが、少なからず失敗から何かしらの学びがあると私は思っており、その学びを今後に活かしてこそ、ミスやエラーの報告共有が意味をなすと考えます。

私は、ミスやエラー、トラブルを起こしてしまったら、皆で原因を特定し、皆で再発防止策を検討することが必要だと考えます。
なぜならば、人間はだれしも失敗をするものですし、ミスを起こした張本人のみが悪いのではないからです。
同じ組織に属しているメンバーとして、他のメンバーの失敗から学び、組織全体で同様のミスやエラーを起こさないように努力できる、そんな組織を作っていきたいと思っています。

また、前々職ではミスやエラーが発生したならば、ヒヤリハット報告書に内容を書き留め、組織に属するメンバーがいつでも振り返ることができる仕組みが整っていました。とても良い仕組みだと思っています。

報告書という形式では少し重い印象になるかもしれませんので、組織の状態にあわせてもう少しライトなものから始めていただくのでも良いかと思いますが、大切なのは過去に起きてしまったエラーやミスについて、詳細とどのように対応したのかがまとめられたものがデータで管理されていて、いつでも興味があれば確認閲覧ができる状態が理想的だと考えます。
上記の仕組みを組織として整えることで、組織全体で似通った事例が発生した際に参考にできるほか、失敗から学ぶ文化が根づいていくと考えます。

とはいえ、これではまだ私の理想からは少しかけ離れています。
過去のエラーやトラブル、ミスなどについて興味関心を持った時、または興味関心がある一部のメンバーのみが積極的に確認閲覧するだけではインプット量に差が出ます。

さらには、厄介なことに人間は忘れる生き物です。
幸いに皆がミスやエラーを起こさない状態が続いたならば、過去の失敗はもちろん、失敗に対する反省やその失敗から何をどう学び、組織としてどういう再発防止策を講じたのか、などを振り返ったり、活用したりする場面がなければどんどん忘れてしまうものです。
だからこそ、個々の興味関心に依存せず、はたまたしばらくの間ミスやエラーの発生がなかったとしても、組織として定期的に過去に発生したミスやエラー、トラブルについて振り返るインプットおよびアウトプットの機会を設けることが大切なのではないかと思うのです。

以上より、私はミスやエラー、トラブルを起こしてしまったら、報告共有のみで終わらせずに皆で原因を特定し、皆で再発防止策を検討することが必要だと考えます。また、過去に発生したミスやエラーをデータで管理をすることと定期的に組織全体でそれらを振り返る機会を持つことも重要だと考えます。

✎𓈒𓂂𓏸アファメーション
「私は、新規事業領域の採用担当として多様なチームを創造するうえで、
【積極的にかつ迅速にエラーやトラブル発生の報告、共有ができる風土や仕組みづくり】の大切さを発信すると共に、各チームリーダーと一緒にその実現に向けて努力を続けます。」

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