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ひとつなるもの すべてなるもの

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ひみの連載ストーリー
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#浄化

第229話 カグツチに愛を

第229話 カグツチに愛を

 降ろされたメッセージを鑑みながら粛々と過ごすと、タケくんと共に男子二人、最後の次元の扉を閉じて戻ってきたスサナル先生から冬至の早朝こう告げられた。

「愛しい勾玉よ。剣が戻った。」

 それから更に別次元体の彼からこんなことも言われた。

「お知らせがあります。天使のところに一緒にいるよ。」

 教えてもらったその日にけーことショッピングモールへと出かけると、天使の名のつく場所には真っ赤なリボン

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第207話 波打ち際の人魚の夢

第207話 波打ち際の人魚の夢

 次に訪れるべき神社の名前が判明すると、全てが恐怖に支配された。浄化も排出も間に合わないほど大量の闇が押し寄せたことで、一瞬で頭蓋骨の中が膨れ上がってパンパンになった。

 それはまだ、六月の上旬のある日のこと。けーこと共に、川崎市にある川崎大師に空海さんを訪ねていた。
 その帰り道、駐車場からほんのニ、三分の場所を通過した時に、男性器が描かれたピンクの幟(のぼり)を発見するとほんの一瞬ギョッとす

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第202話 亜空間デート

第202話 亜空間デート

 一体いつからだろう。
確か初めて連れていってもらったのは、まだここに引っ越してきたばかりの頃だったと思う。その時既にけーこに出会っていたかどうかも、今となってははっきりしない。

 あきらの幼稚園が半日でお迎えになると、帰宅するなり強い眠気に襲われて、どうしようもなくて昼寝をとった。

 高い壁に沿ってミカエルと共に上昇していくと、彼は必ず一番最後、私の両腰の部分を持って優しく“そこ”に座らせて

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第199話 想い合う。支え合う。

第199話 想い合う。支え合う。

 その宇宙子さんとのセッション終盤、そろそろエネルギーを閉じようかと意識をこちらに戻す準備を始めた時に、家の電話が鳴り響いた。

 あっ、なんか電話来ちゃった。どうしよう……。

 ところが一瞬だけ狼狽えるも、お知らせのように2コールだけ鳴ると音はすぐに切れてしまった。そしてその瞬間に気がついた。

 そうか、この人だったのか……。

……

 いつからか、家に一人か、あるいはリビングに一人の時だ

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第183話 産みの苦しみの果ての愛

第183話 産みの苦しみの果ての愛

 その夜は衝動的に、お風呂場にレムリアンシードクリスタルを持ち込んでいた。湯船に入ると少しの間、ここに来るまでに吸収されたクリスタル自体の不浄を溶かし出すように、手の中に入れてコロコロと遊ぶ。根拠はないけどどういう訳か、この水晶から発せられるエネルギーとはスサナル先生そのものだという気がしてならず、愛おしさが増していく。
 それからやがておへその真下に置きたくなって、下腹部の皮膚の上に優しく載せて

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第160話 隣り合わせのマトリックス

第160話 隣り合わせのマトリックス

「ねぇけーこ、アンカー外すってどうすればいい?」

「いや今回は、建物の中に入っちゃえばそれでいいと思うよ。
それより行きたくねぇー。さっきからアウェー感が半端ねぇ。本っ当ひみはルンルンしてるよね。」

 高次元と自分たちとのやり取りの正誤は、向き合っていれば肌感覚として自ずと掴めるようになってくる。けーこがアウェー感を感じ、尚且つ私の足取りが軽い時。それは間違いなく“正解”していることを表してい

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第156話 ツインレイなんて決して美しいものじゃない。

第156話 ツインレイなんて決して美しいものじゃない。

 忙しい。時間がいくらあっても足りない。
シリウスのリト、性被害の江戸時代の女性、ウニヒピリ。
 どれだけ内観してもヒーリングしても、それらが出ていったスペースの分だけ奥に持っていた闇たちが次々と助けを求めてやってくる。
 生きていくのに弊害になるからこそ築いたのがブロックの役割なのに、そもそもこの短期間でこれだけの大きさのブロック解放を二つも並行しているなんて、それだけで狂気の沙汰だろう。通常の

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第153話 宇宙戦争と航海士

第153話 宇宙戦争と航海士

 そしてその日の夜までに、さらに色んなことがわかってきた。
 男の子の名前はリト。お母さんと生き別れた当時の年齢はたった五歳だった。そしてまた、十七歳だというリトの別レイヤーも現れた。
 十七歳のリトは言う。

「戦争は、あんな田舎町の人たちの生活にまで影響していた。だから早く大人になりたかった。
僕はあれから頑張って、航海士になったんだ。
今さらそうしたところで母は帰ってこないけどね。
……でも

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第151話 暦の不条理

第151話 暦の不条理

 玄関の鏡の前に立って、「やっぱり今日はこっちの靴にしよう」と思う。運転する時右足の踵(かかと)を床につくので、おしゃれ靴のそこだけ汚れてしまうことを考えると普段履きのブーツのほうが都合がいいけど、今日という日はかわいくありたい。ちょうどインターホンが鳴り、扉を開けるとやはり普段より綺麗な格好をしているけーこが立っていた。

 十二月二十五日。閑散としたショッピングモールで、二人でクリスマスディナ

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番外編 オリオンの元戦士

番外編 オリオンの元戦士

「ねぇひみ、変な夢見たんだけど聞いて。」

 それは、私が離婚しあきらが中学校を卒業した春の一コマ。

「どんな夢?」

「父親とさぁ、戦ってるんだよ。あーだから、嫌だけどたぶんアイツからの憑依?
うぉら近づくなー!って言って、それからどうしたと思う?」

「んー、憑依体に対してってことは、バトル?」

「そう!
あのね、自分の背中を壁に押し当ててそこを支点にして、手に持ったクラッチ(杖)を両足の

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第146話 愛は時空を超えて

第146話 愛は時空を超えて

 決意する。
今晩、どんなに悪夢にうなされて寒気で目が覚めてしまっても、“スサナル先生の闇感情たち”をひとりぼっちにしないよう、できる限り包んで寝よう。

 ベッドに入ると彼を意識し、その上でさらにハイヤーセルフにしっかりと繋がって、こちら側からあたたかい光で彼の闇を満たしていく。
 一晩何度もトライすると次々と不快な夢を見て、起きる前から頭痛もしていた。

 すると翌日の午前中、けーこからLIN

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第144話 魂の空間は螺旋する

第144話 魂の空間は螺旋する

 幼稚園の頃、近所に住むかよちゃんの家に遊びに行った。
 誕生日を迎えたかよちゃんは、着せ替え人形用の、小さな子供でも簡易的な服が作れるデザイナーセットのおもちゃを貰っていた。
 そのおもちゃでの遊びに誘われ、私も自分の着せ替え人形を持って彼女の家にお邪魔すると、リボンやレース、紙のメジャーや布切れなどで、テーブルの周りは瞬く間に賑やかになった。

 ひと通り遊び尽くし飽きてきた頃。
彼女は付属品

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第141話 ウニヒピリ

第141話 ウニヒピリ

 私が神奈川に引っ越してきたのは、こっちで仕事を始めた旦那との結婚がきっかけだった。ここが旦那の出身地だったからではなく、そもそも私たちは同郷だった。
 妊娠、出産、子育てなどで、まったく知らない土地だったのにもかかわらず、徐々にたくさんの友人たちに恵まれていった。

 それが今、スサナル先生との統合を目指す道程であらゆる人間関係を切らされてしまい、どういう訳だか気づいたら、私のLINEにはあきら

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第140話 鏡に映った自縄自縛

第140話 鏡に映った自縄自縛

(かがみにうつったじじょうじばく)

「……でね、『嫉妬ちゃん』のガムテープが剥がれたんだけど、そしたら本当はその下には、牙が生えてたんだよね。」

「おおマジか。……でもなんか牙っての、それわかる気がする。」

 ここのところ、私が一体何を視て何を浄化しているかを逐一あきらに報告することが、なんとなく日課になっていた。この子に話を聞いてもらえることで保っている部分もあった。
 スサナル先生に長い

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