第202話 亜空間デート
一体いつからだろう。
確か初めて連れていってもらったのは、まだここに引っ越してきたばかりの頃だったと思う。その時既にけーこに出会っていたかどうかも、今となってははっきりしない。
あきらの幼稚園が半日でお迎えになると、帰宅するなり強い眠気に襲われて、どうしようもなくて昼寝をとった。
高い壁に沿ってミカエルと共に上昇していくと、彼は必ず一番最後、私の両腰の部分を持って優しく“そこ”に座らせてくれる。
亜空間の、やや環状になっている分厚い壁の天面の部分。……どう言ったらいいだろう。ダムの一番上のような、広大なコロッセオのような場所に、先に私を座らせてから彼は私の右手に座る。ちょうどプールサイドに腰掛けるように二人の両脚がプラプラとぶら下がっている。
そこでたくさんのことを話し込み、やがて昼寝から目覚めると、一人遊びをさせてしまったあきらに対して謝りに行った。
「ごめんねあきら、てんしさんがママに用があったみたいで、それでお昼寝させてもらったの。」
「あー、たぶんてんしさんかなって思ってたから大丈夫だよ。いっぱいお話できた?」
「うーん、それがね。
たくさんお話はできたけど、やっぱり何を喋ったか、思い出させてはもらえないみたい。」
「そっかー。それはざんねんだね。」
……
それからざっと十年ほど、そこには時々ミカエルと共に定期的に通っていた。それが最近になってから、話す相手が変わってきた。
二人で飛んで上がっていくと、私の両腰の部分を持ってスサナル先生がトンッと優しく座らせてくれる。
必ず私が左側で、彼が私の右手に座る。星が瞬く宇宙空間に浮かぶようなそのエネルギーフィールドは、いつ行っても穏やかだった。
思えば私がミカエルに恋をしていた理由とは、大天使とは高次元体であって、肉体を持っていないから。だから男性であっても、一緒にいる時潜在的な恐怖を感じない相手であったということだろう。
ミカエルにとっての私とは不真実の相手であるにもかかわらず、彼は時に辛抱強く、私のことを導いてくれた。私がミカエルを好きだというそのことを、彼は受け入れずとも、それでも受け入れていてくれたのだ。
それから私に内在する肉体愛への闇が軽くなるにつれ、徐々にそのポジションを、天使に代わってスサナル先生が担ってくれるようになった。
今日も並んでお喋りする。
一体ここがどこなのか、一体何を喋っていたのか結局その日も分からずじまい。
そうしてアラームで起こされるまで、共に二人で藍色の空間の中にいた。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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ワカタケルは小学生の頃から好きでしたが、初めてミカエルを男の人として意識したのは2006〜7年くらいだったでしょうか。
最初の感情は『嫉妬』です。他の方のブログを読んで、「私もミカエル隊にいたのに!」って、兵士、部下としての嫉妬笑
そこから徐々に、ミカエル英雄譚みたいな本とかブログとか、他の人がミカの奇跡に遭遇した話は読みたくないほど嫉妬していきました。
それがまさかの、私、重度の男性恐怖症だったとは!ミカエル愛を炸裂させて、それによって自分の闇を視なくて済むようにしてたとは!!
しかもこの場所で何を喋るって、色恋なんてものではなく、内容忘れさせられてはいても地球の運営に関わることだということ“だけ”は覚えてる笑
なんだろ、もし今ミカエルが肉体持って現れたら、私たぶん男同士みたいに酒でも酌み交わしそうな気がする……。(お酒飲めるけどほとんど飲まないけどね)
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←今までのお話はこちら
→第203話 三艘目の船員から始まる世には出ない(であろう)外伝の序章
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