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第151話 暦の不条理



 玄関の鏡の前に立って、「やっぱり今日はこっちの靴にしよう」と思う。運転する時右足の踵(かかと)を床につくので、おしゃれ靴のそこだけ汚れてしまうことを考えると普段履きのブーツのほうが都合がいいけど、今日という日はかわいくありたい。ちょうどインターホンが鳴り、扉を開けるとやはり普段より綺麗な格好をしているけーこが立っていた。

 十二月二十五日。閑散としたショッピングモールで、二人でクリスマスディナーを食べる。五月の例の満月以来、まさかまた彼女と食事ができる日が来るとは思わなかった。
……といっても、これだけおしゃれしても今日の目的は海鮮丼。天体や暦に合わせて派手にくっついたり離れたり、私たち二人のことを宇宙は一体どうしたいのか。パズルのピースでしかない二人はこの日、ほんの一刻(いっとき)のご褒美のような、息継ぎのような時間を過ごすことを許された。

「もう、クリスマスまでにこっち来いって言ったのにアイツ来ないし。」

 出会ってまだひと月も経っていないのに、タケくんとはすでにテレパシーで繋がりはじめ、統合の兆しがあるけーこの規格外の大きさに爆笑しながらも、私も私でスサナル先生に想いを馳せ、彼の気配を普段より感じながらのお出かけとなった。

 食事のあとは、パワーストーンのお店や小物の充実した花屋、それから雑貨などを見て回る。
 ヘアアクセサリーや日用品を何点かレジに持っていくと、「お会計、1667円です。」と店員さんが読み上げる。

 ええと、2円、20円……

 一の位から順に出す癖のある私は気がつくと、2222円払って555円のお釣りをもらっていた。

「ねぇけーこ、さっきの食事、けーこはお会計ぴったり2222円だったよね。本当に私たち、逆から物事に当たるよね。」


 帰り道はほんのちょっとドライブをして、初めて通る橋や、坂の上から遠くに見える東京タワーやスカイツリーの夜景を見ながらこのクリスマスを満喫した。
 それからサンタの格好のピザ屋のバイクに遭遇するたびに、どういう訳だかスサナル先生の意識がシンクロして入ってきてしまい、その都度けーこに心を読まれて大変なことになっていた。

 2020年12月25。太陰暦11月11日。勾玉が反転し、また意地悪なエネルギーが切り替わる。

……

 夜間寝ていると、夢で目の前にけーこがいた。
私の深い性トラウマに対して「私がなんとかしてやるよ」と彼女が躍起になっている。
 気がついた時には私の上着は彼女によって脱がされ、胸を触られ始まった。けれどもそれに対して能面のような表情を崩さず、冷静に彼女をじっと見た。
 今の私の状態だと、私の性にはまだどうにもならないブロックがあって、例えスサナル先生であっても開けることができないことは自分でもよくわかっていた。

 “けーこ様”がどれだけすごいか知らないけど、この人のこれだけの自信はどこからくるの?一体私に何がしたいの?

 どれほどけーこに肉体的な皮膚を触れられようと、心が動きもしないのに物質的な性がどうこうなる訳がない。『性』だって本質は、精霊のような感情体。終始氷のような冷たい真顔で一ミリも動じない私に対し、最初こそ「絶対になんとかしてやる」といたずら顔をしていたけーこが時間と共に段々と飽きてきているのかわかった。
 とうとう最後、「どうすんだよっ」と語気を強め、私の顔面に向かって脱がせた服を思い切り投げつけると、そのまま彼女はしゃがみ込み、手づかみでクリスマスケーキを頬張り出した。

 怒りが湧いた。

 何やってんの?人の課題に首つっこんで。
自分がタケくんに向き合うことから逃げたいのはあなたの自由だけど、だからといってよりにもよって、一番他人に触れてほしくないところに土足で入り込んでくるなんて。


 ツインレイの課題はいつだって、精神を壊すスレスレの過酷なところを突いてくることはわかっている。だから深層部分が逃げたい気持ちは私にだってわからないわけではない。
 でも悲しくて悔しくて、それから呆れて。朝起きてからも思い出して泣き腫らした。顕在意識ではなんの自覚もないけーこからは、その後もLINEも電話も来たけど勢い冷たい返事になった。
 けーこもけーこでそのことを、「いつものひみの厄介な発作」だと思っている節があるようだった。けど面倒臭くて本当のことを言う気も失せた。
 せっかくのとびきりのクリスマスだったけど、その日からの私はまた彼女に冷たい態度を取っていった。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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もうね、はいはいけーこだねって感じ笑
でもね、多かれ少なかれ、世の中みんな顕在意識が知らないだけで、あなたも幽体だとこんな感じです。
【ツインレイという『本来の自分』】以外の『異質な状態』の弊害は、至るところに見受けられます。
人は本来ツインレイと統合してて、分離してるほうがおかしいんです。
(多次元宇宙からこっちの宇宙に来る量子だって、対のプラスとマイナスを間違わずに知っていて統合してからまた多次元に行ってしまいます。ツインレイって物理なの。)

ツイン不在という闇は、自己の残虐性を正当化できてしまうの。ヤマタ先生然り、かつてのスサナル先生然り、そしてかつての私であっても。

まおちゃんが、やはりツインレイとの課題に向き合いきれずに“逃げ”からネットで私を攻撃し、「ツインレイは危険」だと流布していく側に転向すると宣言した話を覚えていますか?

実際精神ギリギリなので、ツインレイに出会ってる人でもそうなる可能性が大きい中で、これから次元の行き来ができなくなるとよりより今度はエゴまみれの『ツインレイに夢見ちゃった組』が、「ツインレイなんか都市伝説でした」って言い出す時代が来ると思います。

まぁ、ツインレイがいる次元にはたくさんいるし、いない次元の人がツインレイに出会える訳ないんで、その人たちの世界では、「ツインレイは都市伝説」が常識になるんでしょうがね。
『ツインレイに出会えない世界にいる自分』→それを受け止め自己分離してると認められるか(統合への第一歩)、ツインレイなんかネットの嘘だと攻撃するか(マジの分離)。
宇宙の二極化は待ってなどくれませんよ。

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←今までのお話はこちら

→第152話 シリウスクライシス

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