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何度でも読みたい

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何度でも読みたいすてきなnoteたち。
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#写真

世界を見つけるということ

世界を見つけるということ

「木洩れ陽」が好きでよく撮ります。美しいですよね。木々の隙間から光が射して映し出されたそれ。風に揺れるとまるで小さな子供たちがダンスしているようにも見えます。この言葉を生み出した豊かな感性に憧れます。ところで英語では「木洩れ陽」を一言で表せられないそうです。

英語では ”sunlight filters through the trees” のようなセンテンスで表現されるそうです。同じように日本

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SNS時代における「表現のコモディティ化」

SNS時代における「表現のコモディティ化」

今回の文章は、この2年ほど色々書いてきた「SNS時代の表現」というテーマの、現状におけるまとめみたいな話になります。最初に要旨を書くと、たった一文でまとめられます。それはこういうことです。

SNSにおける情報伝達の超高速化によって引き起こされる「表現のコモディティ化」に、我々はどうやって抗うのか。

この場合のコモディティ化とは、「ある表現が瞬く間に代替可能品で溢れかえるようになること」を指しま

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2020年代に表現するということ(あるいはマイケル・スタイプの電話帳)

2020年代に表現するということ(あるいはマイケル・スタイプの電話帳)

1. マイケル・スタイプの電話帳昨日こんなツイートをふと書きつけました。

伝説として知っているだけで、本当にマイケル・スタイプが言ったのかどうかわかりません。インタビューだったか対談だったか、そんな中で言った言葉らしいのですが、googleで調べてみても出典を見つけることはできませんでした。まあでも、マイケル・スタイプなら確かに電話帳読んだだけでも人を泣かせることができるかもしれないと思わせる声

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コロナ時代のリモートフォトグラフィー、始めます!

コロナ時代のリモートフォトグラフィー、始めます!

コロナ時代のカメラのあり方の一つとして、「リモートフォトグラフィー」が話題にあがりつつあります。最初にまず伝えておかなくてはいけないのは、これは既存の写真や撮影方法を否定するものでも置換するものでもありません。そこはまずご了解ください。

一方、これは「仕方なくやっていること」でもありません。制限された状況の中でできることを考えるのは、すべてのクリエイティブの原初的なエネルギー源だと思うのですが、

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写真が好きではなかった。けれどわたしが女の子に映る、唯一の方法にも見えた。

写真が好きではなかった。けれどわたしが女の子に映る、唯一の方法にも見えた。

向けてほしくなかった。

その視線をへし折ってしまおうかと思った。透明人間にはなれないから、誰の視界にも入らずに生きてしまおうかと思った。それがわたしを守る唯一の方法な気がして、だからこそわたしは顔出しもせずにこうして言葉だけを書き続けている。

全てを言葉で解決させたかった。
自分という鏡を誰にも見せることはない。

写真。それにわたしを映すことが怖かったのだ。

" わたしは一生、写真に勝てな

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17の夏、君の背中に恋をした

17の夏、君の背中に恋をした

「手作りのものを持ちよって、パーティーしようよ」
「いいな、それ!」

そう言いだしたのは綾で、その提案に真っ先に賛同したのは、綾が片想い中の貴史だった。
それに同意するように、私と奏太が顔を見合わせると、綾と貴史も嬉しそうに顔を見合わせた。

私たちは、来月高校を卒業する。
バスケ部だった奏太と貴史。
私と綾は、マネージャーだった。
部員みんな仲がよかったけれど、特に私たち4人はいつも一緒だった

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この春の桜の撮影を経て、自分にかけていた「呪い」が解けた話

この春の桜の撮影を経て、自分にかけていた「呪い」が解けた話

随分noteを書けない日が続きましたが、それというのも良いことがあったからなんですね。そのことについて今日は書きます。めちゃくちゃ単純な話なんですが、写真がまた楽しくなりました。

いや、これでは語弊があります。まるで一定期間、楽しくなかったかのような印象を与えてしまう。できるだけニュアンスを正確に伝えるならば、「自分自身で無意識のうちにかけていた自己抑制が解けて、新しい気持ちでまた写真を撮れるよ

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「ボケる写真を撮る人は、ボケた人です」耳の痛いフレーズの裏側に

「ボケる写真を撮る人は、ボケた人です」耳の痛いフレーズの裏側に

タイトルは、note主催のスマホ写真ワークショップにて、講師の鈴木心さんが繰り出した言葉だった。

なにを隠そう、私はボケが大好きだ。

開放万歳、F値1.4ラブ。背景なんてみんな溶けてしまえばどこだって美しい写真が撮れるし、玉ボケはキラキラしててかわいくて正義。そう信じて疑わずに生きてきた。今日のボケボケなアイキャッチ画像も、私が撮った写真だ。

Twitter上で「開放でしか撮れないやつはクズ

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ただ「聴く」ことの妙技

ただ「聴く」ことの妙技

「聴く」という言葉がすきです。耳を澄ませるという姿勢を表している気がする。言葉を選ぶこともすきです。「伝える」ではなく「伝わる」言葉を用いたい。

コミュニケーションをしていく上では、聴くこと、知ることから始めて、ありのままの自分でありのままの言葉を語ることが大切なんだと思います。



一方通行なコミュニケーションの弊害相手を論破することは心地よい側面があることを知っている。競争や比較が重要視

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ある日受け取った一通の手紙についての話

ある日受け取った一通の手紙についての話

毎年この時期、一本の梅の木を撮ります。この木です。

三重県にある鈴鹿の森庭園というところの巨大なしだれ梅の木。といっても、園内で一番大きな木というわけではなく、むしろ庭園の一番端っこの方にある、巨木ばかりの園内ではむしろ少し小ぶりの一本かもしれません。でも、その堂々と広げた枝ぶりに強い印象を受けました。今ではひっきりなしに人が訪れる場所になった鈴鹿の森庭園ですが、当時はそれほど人が多いわけではな

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「何度でも読みたい」マガジンのすヽめ

「何度でも読みたい」マガジンのすヽめ

実は、ここ数か月、「何度でも読みたい」というマガジンにお気に入りのnoteを追加して、時々読み返すということをしている(そう、"読みたい"だけじゃなくて、本当に何度も読んでいるんです)。

いつも、好きな本の特に好きなページや心に響いた言葉のあるページに付箋をつけるような感覚で、noteをマガジンに追加している。

そして読み返すときは、付箋のついたページを開くような気持ちでnoteを開く。

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写真に心は写らないならば(あるいは「余白」の生まれる場所についての考察)

写真に心は写らないならば(あるいは「余白」の生まれる場所についての考察)

よく「写真には心が写る」って言うのですが、僕自身は写真には心は写らないと思っています。あ、誤解なきように最初に言っておきますが、最終的にこの記事は「写真には心が宿る」って話になります。でも、その前に確認したいことがあるので、まずこういう出だしでスタートします。ちなみに「写る」と「宿る」と言葉を変えているのは、単純に分けておいたほうが修辞的にわかりやすいだろうという想定なので、同じ言葉と思ってくださ

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