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プログレは曲の長さでゲームチェンジ(プログレッシヴ・エッセイ 第18回)
去る2024年4月27日。
主宰するプログレバンド「金属恵比須」のワンマンライヴを吉祥寺シルバーエレファントにて催した。
ゲストでお呼びしたのがキーボードの塚田円さん。1990年メジャーデビューのプログレバンド「プロビデンス」のリーダーで、現在は「那由他計画」で活動中。10年前に金属恵比須『ハリガネムシ』発表直後から気に入っていただいていたのが縁で今回の出演に至る。
ライヴのMCでこう語る。
新曲づくりと武満徹 (プログレッシヴ・エッセイ 第15回)
金属恵比須は、来るワンマンライヴに向けて新曲を作っている。
コンセプトは「火曜サスペンス劇場の主題歌」。
プログレバンドが火サスとは頭でにわかには結びつかないかもしれない。が、プログレ的手法が使い尽くされている現在、どうすればプログレッシヴ(進歩的)になるかと考えた結果だ。
「もしも金属恵比須に火サスの主題歌の依頼がきたら?」
というコンセプト。
企画がプログレ。
そのために、わざわざ火サス
同じCDを買う優越感と恐怖 (プログレッシヴ・エッセイ 第14回)
同じアルバムCDをあえて何枚も買うのがプログレリスナーの習性だ。
私もピーター・ガブリエル『II』『プレイズ・ライヴ』『So』はそれぞれ5枚以上持っている。“違いのわかる男”という承認欲求だけのための購買心理。
(そして大抵違いがわからない)
だが、それが無意識の購買行動だと途端に恐怖となる。
「もしかしてアルツハイマー?」
と疑い、自分を責め出す。40歳手前で多くなってきた。
それだけで
『シン・仮面ライダー』とプログレ〈庵野監督と金属恵比須〉【後編】(プログレッシヴ・エッセイ 第13回)
『シン・仮面ライダー』公開1周年だが、公開1ヶ月にして興行収入20億円を突破。歴代「仮面ライダー」シリーズでトップに躍り出た。
50年前のコンテンツを再構成し新たな世界を作り出し、なぜこんなにヒットしたのだろうか。
エグゼクティブプロデューサーの白倉伸一郎氏はこう語る。
前号で取り上げたオリジナルのリスペクト作業は、目的ではなく手段にすぎない。企画プロデュースの紀伊家之氏はこういう。
造形
『シン・仮面ライダー』とプログレ〈庵野監督と金属恵比須〉【中編】(プログレッシヴ・エッセイ 第12回)
さて『シン・仮面ライダー』の話。
一視聴者がバンドを運営するにあたりどのような影響を受けたか。50年前の題材を現代でどう表現するかというのが、プログレという50年前の音楽を再現している金属恵比須にとっての共通点である。
この映画には50年前の素材が散りばめている。クモオーグとの戦いは、オリジナルの蜘蛛男と戦った奥多摩の小河内ダムがロケ地だ。マニアが唸るギミックも随所に。
庵野監督はこういう
『シン・仮面ライダー』とプログレ〈庵野監督と金属恵比須〉【前編】(プログレッシヴ・エッセイ 第11回)
2023年3月18日公開の『シン・仮面ライダー』。あれから1年。
金属恵比須のバンド運営に多大な影響を与えた映画だったのでその点を書いていきたい。なお、プログレ・バンドの視点からの意見であって、映画評ではないことを留意いただければと思う。また、私自身が仮面ライダー世代ではなく、マニアックに語ることはできないので、あくまで「ライダー初心者」の視点であることをご容赦いただければと思う。
『シン・仮面
“日本のアネクドテン”の暗鬱〈オマージュ作品について〉(プログレッシヴ・エッセイ 第9回)
金属恵比須はよく、70年代のプログレやハード・ロックの曲のオマージュをする。断っておくが、パクリではない、オマージュである。
キング・クリムゾンの名曲「エピタフ」「ポセイドンのめざめ」のような抒情的な曲をパクりたくて……否、オマージュしたくて「紅葉狩」という曲をつくった。20年前の今頃、2004年のことである。
そしてインディーズ・レーベルから発表される。
帯のキャッチコピーが、
“日本のア
スティーヴ・ハウ・ライヴの海洋地形学おねえさん (プログレッシヴ・エッセイ 第7回)
1995年の冬、渋谷クラブクアトロ、イエスのギタリストであるスティーヴ・ハウのコンサートを見に行った。
当時、中学2年生の私にとってはイエスのメンバーなんてヒーローそのもの。
否、「イエス」だけに神と崇めていたものだ。
クラブクアトロは狭い会場で立ち見。会場に入るや否や、こんな間近で見られるなんてと心が躍った記憶がある。
ハウ1人だけの正真正銘のソロ公演で、バンド演奏の曲にはバックにテープが流
アラン・ホールズワースのサイン (プログレッシヴ・エッセイ第5回)
高校1年の夏だったか、楽器メーカー・ローランドのイベントが渋谷で行なわれた。
プログレバンド「UK」の元ギタリストであるアラン・ホールズワースが来日するということで見に行った。
ホールズワースといえば“速弾きの鬼”として知られ、唯一無二の誰も真似できないテクニックが売りだったギタリストだ。
とにかく何を弾いているか皆目聞き分けがつかない。
そしてどうやって弾いているのかも見当がつかない。
その時
二つの「書」がなくなった日(プログレッシヴ・エッセイ第4回)
2024年1月14日、東京のつつじヶ丘にある書店「書原」が閉店した。
そして同年1月31日、同じく阿佐ヶ谷にある書店「書楽」が閉店した。
書原は2017年まで阿佐ヶ谷に本店があったがそのビルの建て替えで閉店、つつじヶ丘が本店となっていた。
阿佐ヶ谷出身なので書原と書楽に星の数ほど通いつめた。
書原は音楽に強かった。
YMO写真集『ピリオド』、作詞の勉強をした『ピンク・フロイド詩集』、シンセサ
タイトルの長いものが売れる? (プログレッシヴエッセイ第3回)
タイトルの長いものが売れているらしい。
日経の記事に挙げられていたものを。
「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」
ラノベのタイトルだそうだ。
また、埼玉に本社があるスーパー「ベルク」のアントニオ猪木コラボ商品の名前もすごい。
「延髄切りの如く!まぜまぜビビンバサラダ」
「ブタにキムチがアリキック!キンパ風太巻き」
何の商品名か全く想像できなかったが、どうやらスーパーの惣菜だそ