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ジェンダー論の観点からドラマ・映画・楽曲レビュー

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気になったドラマや映画、楽曲をジェンダー・セクシュアリティの話題と絡めて考察します。
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記事一覧

ドラマ『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』で描かれるアセクシュアルの存在

ドラマ『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』で描かれるアセクシュアルの存在

今期のTBS火曜ドラマ『18/40〜ふたりなら夢も恋も〜』を毎週観ている。好きな芸人さんが出ているという理由で観始め、正直なんとなく観続けている感じだった。

主人公の18歳のシングルマザーと、40歳のキャリアウーマンが、夢と恋の狭間で葛藤する姿を描くこのドラマだが、例によってデミロマンティックの私は、感情移入少なめで距離を感じながら視聴していた。デミロマンティックは恋愛感情がゼロなわけではないの

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『恋せぬふたり』第3話|人と人との関係に名前をつける必要なんてない

『恋せぬふたり』第3話|人と人との関係に名前をつける必要なんてない

特定の誰かを他人に紹介するときに、友達、同僚、恋人、家族、いろいろな言葉があると思う。しかし、既存の言葉では言い表せられない関係もあって、カテゴライズできなければその関係は脆い、なんてことは決してない。

そもそも「付き合う」ということの定義だって難しい。咲子(岸井ゆきの)は「一緒にいて楽しい」という理由で過去には「お付き合い」をした人もいたが、キスやセックスを伴う関係には抵抗があった。【恋人】と

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『恋せぬふたり』第2話|理解を求めてるわけではなく干渉しないでほしいだけ

『恋せぬふたり』第2話|理解を求めてるわけではなく干渉しないでほしいだけ

『恋せぬふたり』第2話を観た。初回放送の何倍も苦しい気持ちになった。あらすじを少し振り返ってみる。(第1話はこちら↓)

咲子(岸井ゆきの)が男の人と一緒に暮らしていることを知り動揺する咲子の家族を安心させるために、恋人のふりをすることになった高橋(高橋一生)。
ところが、咲子の妹は、二人に対して手を繋いだりキスをしたりするよう促したり、馴れ初めや高橋の家族のことをズケズケと聞き出したりして、見る

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『恋せぬふたり』第1話で描かれた反面教師たち

『恋せぬふたり』第1話で描かれた反面教師たち

アロマンティック・アセクシュアルが主人公の、NHKで放送中のドラマ『恋せぬふたり』。初回の放送は、アロマンティック・アセクシュアルの当事者が普段どのようなことで心を痛めているのかが分かりやすく示された反面教師的な内容で素晴らしかった。

もちろんドラマだから、デフォルメされている部分も多いのだけど、むしろそのくらい大袈裟に描かないと何が問題視されているのかスルーされてしまうから、それも含めて良かっ

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デミロマンティックの気持ちを代弁する楽曲〜LiSA「HADASHi NO STEP」考察〜 |デミロマンティックの私に見える世界

デミロマンティックの気持ちを代弁する楽曲〜LiSA「HADASHi NO STEP」考察〜 |デミロマンティックの私に見える世界

今日は、デミロマンティックの私の気持ちを代弁してくれるようなドンピシャの楽曲に出会ったので紹介したいと思う。

※デミロマンティック:内面的な絆やつながりを感じた人にのみ稀に惹かれる恋愛指向(自分の場合、時間をかけて相手のことを深く知ってからでないと人を好きになることはありません)

こちらの記事も合わせてどうぞ(SUPER BEAVER「愛しい人」考察)↓

LiSA「HADASHi NO ST

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恋愛は自己肯定力を高める麻薬〜生きるとか死ぬとか父親とか 第8話レビュー〜

恋愛は自己肯定力を高める麻薬〜生きるとか死ぬとか父親とか 第8話レビュー〜

ラジオパーソナリティー・コラムニストのジェーン・スーさんの自伝的エッセイが原作、テレビ東京で毎週金曜24:12〜放送中『生きるとか死ぬとか父親とか』。5/28放送の第8話「恋人とか キャリアとか」は、どうか1人でも多くの方に届いてほしいと思う回だった(これまでの放送を観ていなくても十分楽しめる内容です)。

※以下ネタバレとなります。

「思ってた以上に、男が専業主夫をやることに社会が対応してなか

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恋愛ドラマを見ると登場人物が恋をした理由を徹底的に分析してしまう〜『恋はDeepに』第3話までを観て〜

恋愛ドラマを見ると登場人物が恋をした理由を徹底的に分析してしまう〜『恋はDeepに』第3話までを観て〜

デミロマンティックを自認する私は、基本的に恋愛ドラマがあまり得意ではないが、今クールは日本テレビ系水曜22時から放送中の『恋はDeepに』を観ている。ほどよく現実離れしていて、かつ少女漫画的すぎる胸キュンシーンとかがないのがいい。

4/28放送の第3話を観て、デミロマンティックの視点で思ったことを書きたいと思う。

このドラマは、メインビジュアルからもわかるように、渚海音(石原さとみ)と蓮田倫太

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「この人が好き」だと自覚するのはいつなのか?〜『その女、ジルバ』第6話レビュー〜

「この人が好き」だと自覚するのはいつなのか?〜『その女、ジルバ』第6話レビュー〜

フジテレビ系オトナの土ドラ枠で放送中『その女、ジルバ』第6話を通して、今日は恋に関する2つのテーマについて考えてみたいと思う。(ネタバレ有なのでご注意ください!)

※ドラマの魅力については第1話のレビューで紹介しています!

※ちなみに、今週末(2/20)まで第1〜6話がTVerで観れるようです!私は1円も儲かりませんが良いドラマなのでおすすめします!

「クリスマスに一緒に過ごす恋人がいない=

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若い女性がおじさんに恋をするのは本当に夢物語なのか?|デミロマンティックの私に見える世界

若い女性がおじさんに恋をするのは本当に夢物語なのか?|デミロマンティックの私に見える世界

若い女性が20歳くらい年上の男性に恋をする物語にたまに出会う。『恋は雨上がりのように』、『私の家政夫ナギサさん』、物語の本筋ではないけど『親バカ青春白書』にもそんなシーンがあった。私はこういう構図の作品が好きで、よく見てしまう。同年代の男女のリアルな恋愛よりも共感できるし、漫画みたいな狙った胸キュンストーリーよりもぐっとくる。

その理由を考えてみると、私が枯れ専というわけではなく、主人公が相手を

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『パラサイト 半地下の家族』にラブシーンが必要なのはなぜか?

『パラサイト 半地下の家族』にラブシーンが必要なのはなぜか?

恋愛小説・恋愛映画というわけではないのに、ラブシーンが描かれる作品はかなり多いように思う。以前から疑問に思っていたことだったが、少し前に地上波で放送された『パラサイト 半地下の家族』を観て、ついにその疑問が爆発した。例の「時計回りに」のシーンが始まったときは、これいる???と心の中で思わずつっこみを入れてしまった。

そこで『パラサイト』を題材に、映画や小説などでラブシーンが描かれる理由を自分なり

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女性はいくつになっても輝ける〜『その女、ジルバ』第1話レビュー〜

女性はいくつになっても輝ける〜『その女、ジルバ』第1話レビュー〜

若さに女性の価値を見い出す世の中を生きるのは不安だ。男性アイドルと違って女性アイドルは若い間しか活動できなかったり、アンチエイジングの化粧品がしきりに宣伝されたり、結婚には適齢期があると言われたり。女子大生が女子高校生を見て、「私たちもうオバサンだねー」と冗談を言って笑ったりもする。

そんな世の中に、「女性はいくつになっても輝ける」というメッセージを伝えようとしているのが、2021年1月9日(土

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一人で生きていてもいい〜逃げ恥新春SPを観て〜

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』が放送された。

無駄な台詞が一つもなく、どこをとっても語りがいのあるドラマだったが、私がこのnoteで注目したいのはゆりちゃんだ。

ドラマの冒頭で、連ドラの最終回で付き合うことになっていた風見さんとゆりちゃんが別れていたことが明かされる。このときの私は「えー別れちゃったのー!」と少しショックを受けた。

破局の理由はゆりちゃんと高校時

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『私の家政夫ナギサさん』相原メイはデミロマンティック説|デミロマンティックの私に見える世界

『私の家政夫ナギサさん』相原メイはデミロマンティック説|デミロマンティックの私に見える世界

今日、TBSドラマ『私の家政夫ナギサさん』が終了した。

このドラマ、共感できる部分がとても多かった。働く女子にありがちな悩みを描いたドラマとして受け止められているけれど、実はもっと深いメッセージが読み取れるのではないかと思った。最終回を迎えたこのタイミングで、デミロマンティック(感情的な繋がりを感じる人にしか恋愛感情を持たないこと)というキーワードと共に『わたナギ』について語りたい。

ご覧にな

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