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『恋せぬふたり』第1話で描かれた反面教師たち

アロマンティック・アセクシュアルが主人公の、NHKで放送中のドラマ『恋せぬふたり』。初回の放送は、アロマンティック・アセクシュアルの当事者が普段どのようなことで心を痛めているのかが分かりやすく示された反面教師的な内容で素晴らしかった。

もちろんドラマだから、デフォルメされている部分も多いのだけど、むしろそのくらい大袈裟に描かないと何が問題視されているのかスルーされてしまうから、それも含めて良かったと感じた。

アロマアセクが生き辛さを感じるのは、あらゆる角度から「恋愛をしないこと」の理由を探されるからだということが終始一貫して描かれていた。

例えば、主人公の咲子(岸井ゆきの)が結婚に前向きではないことについて、父親は「今は仕事が楽しいんだよ」とフォローを入れる。
女友達とルームシェアをする予定の咲子が、「どちらかに男ができるまでの期限付きだよ」と同僚に言われて怪訝そうな顔を見せると、「恋より仕事キャラ継続中?」と笑われる。
恋をしないことは、“仕事に夢中だから”という理由がなければ受け入れてもらえないのだ。

「恋愛しない おかしい」と検索すると、「最近の若者が恋愛をしなくなった理由」という記事やマッチングアプリの広告が表示される。恋愛しないことを若者の草食化と片づけられたり、出会いがないせいにもされたりする。

もう一人の主人公・高橋(高橋一生)も、お見合いを断れば「選り好みできる立場じゃない」と言われたり、「一人が好きなんですね」と決めつけられたり。

「付き合ってみればわかるよ。好きな人に出会えばわかるよ。大人になればわかるよ。みんなはそういうけど、やっぱりなんかうまくいかなくて。なんか欠けてるのかな人として。」
咲子は高橋にこう打ち明けた。

「恋愛してないだけで、なぜこれだけ舐められる。」

これは作中の高橋のブログに綴られた言葉なのだが、本当にその通りだ。

恋しない人間なんていない、恋をしていないと人として欠陥があると思われる。
アロマアセクの知識や、個々人のセクシュアリティに関係なく、恋人がいないことを弄ったり揶揄ったり見下したり、そういった態度をまずやめるべきだと思う。それがなくならなければ、たとえアロマアセクみたいな言葉が浸透したとしても、世間からの見られ方はなかなか変わらないから。

第2話は1/17(月)22:45〜NHK総合にて。

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恋愛しない人が浮かない世の中に変える活動をするために使います。エッセイ以外にも小説を書いたり、歌も作っています。