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上野・アメ横とチカヒロさん――「麵屋どうげんぼうず」前史
東京・中野の人気ラーメン店「麵屋どうげんぼうず」の店主が語る仕事論、『どうげんぼうずという仕事』(※)。9月1日発売のこの本で、私は店主の「チカヒロさん」こと、近廣直也さんの話を聴き、その言葉を書き留めた。
〈 困っている人がいたら手を差し伸べ、理不尽なことには声を上げる。ラーメン屋であり、町のコミュニティであり、プロテスターでもある。そんなやさしくも、気骨あるラーメン店主が語る渾身のメッセージ
作為と自然と――長い時間をかけて紡がれるもの
作為のないものを書きたい。
そんな思いに、しばしば駆られる。
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先日、ある人物ルポを読んだ。
それは、志を持って、仕事を続けている人を取材したものだった。十分な下調べをして、インタビューしたものだということがうかがえた。相手の言葉を丹念に取り上げ、エピソードをうまく連ねている。取材時の景色が見え、ライブ感も伝わってくる。
私が考えるノンフィクションの大切
小さくても豊かな物語を、自分たちで紡ぐ――リクオ『ピアノマンつぶやく』を読んで
桜を見に、先日、国立へ出かけた。
駅前からまっすぐに伸びる大学通り。その両側に、約200本の桜の木々が佇んでいる。
訪ねた日は、三分咲きぐらいだったろうか。
でも、真っ青な空の下、日差しを浴びながら、桜を見て歩くのは、気持ちがよかった。
この界隈は高層ビルがなく、空が広い。
歩道の脇には、随所に花壇が設けられ、パンジーなどの花々も目を楽しませてくれる。
街にベンチが多いのも、うれしい。老若男
原爆ドームと鷺をながめた日
今日は、77回目の「広島・原爆の日」。
十数年前の秋、初めてその地を訪ねたときに出会った、ある光景を思い出す。
当時、書いた日記をもとに、覚え書きとして記しておく。
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広島に着くと、ホテルに荷物を置き、すぐに原爆ドームへ向かった。路面電車に乗って「原爆ドーム前駅」で降りる。小雨の中、目の前にそれは佇んでいた。
テレビや本などで、その姿は何度も見てきたが、直接向き合うと