五葉/itsuha(イツハ)

40代シングルマザー。毒親ライター。不妊治療を経て出産、その後離婚。毒親連鎖を断つため…

五葉/itsuha(イツハ)

40代シングルマザー。毒親ライター。不妊治療を経て出産、その後離婚。毒親連鎖を断つために、毒親育ちの経験と生きづらさを書き綴っています。座右の銘は「足るを知る」 https://stand.fm/channels/65d5604f53b400abe2741eda

マガジン

  • 毒親連鎖の断絶

    私は親のようにはならない。自戒を込めて。

  • 読書の感想

    読んだ本の感想をつらつらと。 ネタバレあるかもしれません。

  • 毒親育ちの弊害

    毒親に育てられた原体験、生きづらさの正体。自分にしか書けないことをありのまま。

記事一覧

タイムカプセルの埋め直し

私は、2024年の4月からこのnoteで過去と現在の自己開示をしている。 それは「自分の棚卸」をして、「他の人が言っていないこと」で「自分にしか書けない」ことが、毒親育ち…

わたしが一番毒親だったとき(後編)

※前編はこちら 保育園の入園が決まって、パートを始めたのは娘が3歳になる年だった。 前職は土日の出勤もあり、残業も多い会社だったので、産休などは使わず出産前に退職…

わたしが一番毒親だったとき(前編)

娘は、手のかからない赤ん坊だった。 母乳が出ない私に文句もいわず、ミルクをがぶがぶ飲んだ。 がぶがぶ飲んでも吐き戻すことはめったになかった。 私に似て少し肌が弱く…

【読書感想】生き地獄を語る女性たちの前で私はこの言葉を言えるのか~『私、毒親に育てられました』を読んで

出産後、自分が毒親育ちで、毒親は連鎖する傾向があると知ってから毒親本を読み漁ってきた。 実際に我が子に対し、憎き母親と似た言動を取っている自覚があった。血の繋が…

この家がいつも安心して帰ってこられる場所であるように

「ママは小学校好きだった?楽しかった?」と小学生になった娘に聞かれた。 「好きだったよ、楽しかったよ」と私は答えた。 「ママは家が嫌いだったから、学校がとにかく好…

親を捨てて、田舎を出て、自分の力で生きたい

私は東北地方の、人口6000人にも満たない田舎で生まれた。 公共交通機関はバスのみ。それも1時間に1本あるかないか。一車線の国道を通るバスは、雪が降ると平気で3時間は遅…

特技は四つ葉のクローバー探し

子どもの頃、時間を忘れて夢中になったことはたくさんあった。本を読むこと、ゲームをすること、友達とおしゃべりすること。 なかでも私がとくに夢中になったのは「四つ葉…

【読書感想】光の裏にある陰を見つめて真っ当に生きていく~『あの光』を読んで

とあるコミュニティで紹介され、話題になっていた本を読んだ。 香月夕花さんの『あの光』。 一部で問題視されているキラポエについて、キラポエがどうやって生まれ、どう…

承認欲求と自己肯定感のループから抜け出す方法は子どもと向き合うこと

究極の愛ってなんだと思いますか。 我が子に対する親の愛? 相手のためなら死さえも受け入れる自己犠牲の愛? マザー・テレサのような慈悲深い愛? 長年連れ添った夫婦…

出産体験記~癒着胎盤と母乳信仰

所属しているコミュニティで授乳に関する話があったので、今回はちょっと特殊な私の出産体験記を、昔の育児日記を読み返しながら書いた。 ※医療系の話が苦手な方は読むの…

初めてのインタビューで向き合うきっかけをたくさんもらった

とあるオンラインコミュニティに入ったことがきっかけで、noteに自分が毒親であること、そして毒親育ちであることを書いた。 そうしたら、そのコミュニティの方から、私の…

毒親の私に告ぐ

私は毒親です。 「自分自身で毒親と思っている人は毒親じゃない」と考える人もいますが、私はれっきとした毒親です。自覚があるのに毒親をやめられないのです。 子供を否定…

【読書感想】ギフトすべきは生きているうちの愛〜『ギフテッド』を読んで

中村淳彦さんの発信を聴いていて、興味を持った作家。 芥川賞候補にも選ばれた『ギフテッド』を読んだので、忘れないうちに書き留めておく。 あらすじを端的に言うと、歓…

タイムカプセルの埋め直し

タイムカプセルの埋め直し

私は、2024年の4月からこのnoteで過去と現在の自己開示をしている。
それは「自分の棚卸」をして、「他の人が言っていないこと」で「自分にしか書けない」ことが、毒親育ちの子育てだと気づいたからだった。
私が受講しているライティング講座の講師が、そのことに気づかせてくれた。

そして、実話ナックルズnoteに私の書いた記事が掲載されることになった。

自分の幼少期の経験を、ありのままの記憶と感情で

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わたしが一番毒親だったとき(後編)

わたしが一番毒親だったとき(後編)

※前編はこちら

保育園の入園が決まって、パートを始めたのは娘が3歳になる年だった。
前職は土日の出勤もあり、残業も多い会社だったので、産休などは使わず出産前に退職をした。

保活のために就活をして、3社に内定をもらった。その中でも勤務時間が17時までと短く、自宅と保育園から一番近い、自転車で送迎できる距離の会社を選んだ。とある中小企業の、パート事務だ。

この会社が、かなりのブラック企業だった。

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わたしが一番毒親だったとき(前編)

わたしが一番毒親だったとき(前編)

娘は、手のかからない赤ん坊だった。
母乳が出ない私に文句もいわず、ミルクをがぶがぶ飲んだ。
がぶがぶ飲んでも吐き戻すことはめったになかった。
私に似て少し肌が弱く、生まれたのが夏だったのでいつも汗疹に悩まされたりはしたが、成長曲線はずっと平均値。生育は順調だった。

私には年子の弟と10歳年の離れた弟がいて、一番下の弟が生まれたのは私が小4の夏休みだった。未熟児で生まれた弟は手がかかる赤ん坊だった

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【読書感想】生き地獄を語る女性たちの前で私はこの言葉を言えるのか~『私、毒親に育てられました』を読んで

【読書感想】生き地獄を語る女性たちの前で私はこの言葉を言えるのか~『私、毒親に育てられました』を読んで

出産後、自分が毒親育ちで、毒親は連鎖する傾向があると知ってから毒親本を読み漁ってきた。
実際に我が子に対し、憎き母親と似た言動を取っている自覚があった。血の繋がりが恐ろしかった。

毒親育ちと毒親連鎖に沼りかけていた自分の経験を、noteで書き始めてから数か月経った。書き始めたきっかけは、ノンフィクションライターの中村淳彦さんのVoicyを聴き、著作を読んだからだ。

今回は、中村淳彦さんの著書『

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この家がいつも安心して帰ってこられる場所であるように

この家がいつも安心して帰ってこられる場所であるように

「ママは小学校好きだった?楽しかった?」と小学生になった娘に聞かれた。
「好きだったよ、楽しかったよ」と私は答えた。
「ママは家が嫌いだったから、学校がとにかく好きだったよ」と。

小学校から高校までの12年間、学校を休んだことがない。
義務教育期間は早退と遅刻もないから9年間皆勤賞だ。高校は皆勤賞とはいかなかったが、欠席は一度もない。人に話すと、結構驚かれる。

私が小学生の頃はまだ、土曜日は月

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親を捨てて、田舎を出て、自分の力で生きたい

親を捨てて、田舎を出て、自分の力で生きたい

私は東北地方の、人口6000人にも満たない田舎で生まれた。
公共交通機関はバスのみ。それも1時間に1本あるかないか。一車線の国道を通るバスは、雪が降ると平気で3時間は遅れる。
保育園、幼稚園、小学校、中学校はそれぞれ1つだけ。
いまだに、隣町まで行かないとスーパーはない。ドラッグストアも本屋もない。あるのは役場と簡易郵便局と農協と、寂れた飲食店だけ。初めてコンビニができたのは中学2年のときだ。1件

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特技は四つ葉のクローバー探し

特技は四つ葉のクローバー探し

子どもの頃、時間を忘れて夢中になったことはたくさんあった。本を読むこと、ゲームをすること、友達とおしゃべりすること。
なかでも私がとくに夢中になったのは「四つ葉のクローバー探し」だった。

春から夏にかけて、シロツメクサが群生しているのを見つけると、ついしゃがんで目を凝らしてしまう。4、5歳の頃から40歳になった今まで、その行為はずっと変わらない。好きとか楽しいという感覚はもはやなく、習慣化された

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【読書感想】光の裏にある陰を見つめて真っ当に生きていく~『あの光』を読んで

【読書感想】光の裏にある陰を見つめて真っ当に生きていく~『あの光』を読んで

とあるコミュニティで紹介され、話題になっていた本を読んだ。
香月夕花さんの『あの光』。

一部で問題視されているキラポエについて、キラポエがどうやって生まれ、どう廃滅していくかを綴った小説だ。

※キラポエというのはキラキラポエマーの略。キラキラした姿を見せ、耳障りのいい言葉をポエムのように吐くインフルエンサーのこと(個人的解釈ですので悪しからず)

ここでは詳細なあらすじは割愛し、私の読んだ感想

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承認欲求と自己肯定感のループから抜け出す方法は子どもと向き合うこと

承認欲求と自己肯定感のループから抜け出す方法は子どもと向き合うこと

究極の愛ってなんだと思いますか。
我が子に対する親の愛? 相手のためなら死さえも受け入れる自己犠牲の愛? マザー・テレサのような慈悲深い愛? 長年連れ添った夫婦の愛?
様々な愛のかたちがありますが、私は子どもが親を想う愛が究極なのではないかと感じます。

だってね、子どもって、小さい頃はどんな親であっても自分の親が大好きでしょう。私だってそうでした。お母さんもお父さんも大好きだった。太ってても、不

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出産体験記~癒着胎盤と母乳信仰

出産体験記~癒着胎盤と母乳信仰

所属しているコミュニティで授乳に関する話があったので、今回はちょっと特殊な私の出産体験記を、昔の育児日記を読み返しながら書いた。
※医療系の話が苦手な方は読むのをお控えください

私は不妊治療で子どもを授かった。
夫が乏精子症・精子無力症だったので、不妊治療の最終手段となる顕微授精をした。
男性側に問題があっても、不妊治療は女性に大きく負担がかかる。会社に相談して仕事の合間にクリニックに通い、お腹

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初めてのインタビューで向き合うきっかけをたくさんもらった

初めてのインタビューで向き合うきっかけをたくさんもらった

とあるオンラインコミュニティに入ったことがきっかけで、noteに自分が毒親であること、そして毒親育ちであることを書いた。
そうしたら、そのコミュニティの方から、私の話を聞きたいと依頼があった。

依頼者のうさぎさんのことは、知ってから日が浅い。彼女のnoteを読み、スタエフをすべて聴いた。知性と教養が高く、幅広く知見があり、チャーミングな声が魅力的。どの発信内容にも思考や好奇心を刺激された。そして

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毒親の私に告ぐ

毒親の私に告ぐ

私は毒親です。
「自分自身で毒親と思っている人は毒親じゃない」と考える人もいますが、私はれっきとした毒親です。自覚があるのに毒親をやめられないのです。
子供を否定し、干渉し、かと思えば突き放し、ときに暴言を吐き、追い詰める。
絶対に、自分の親のようにはならないと誓っていたのに。

望まない妊娠なんかじゃなく、不妊治療で子供を授かりました。

両親の影響で、結婚にも出産にもまるで興味がなかったはずな

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【読書感想】ギフトすべきは生きているうちの愛〜『ギフテッド』を読んで

【読書感想】ギフトすべきは生きているうちの愛〜『ギフテッド』を読んで

中村淳彦さんの発信を聴いていて、興味を持った作家。
芥川賞候補にも選ばれた『ギフテッド』を読んだので、忘れないうちに書き留めておく。

あらすじを端的に言うと、歓楽街で働く主人公(女)が、母の死を看取るまでの物語。

読んでいる途中、私の関心は「母に傷をつけられた主人公が、母が死にゆくことでどう変化するのか」だった。

「母が死んだとき自分はどうなるのだろう」という考えても仕方のない長年の疑問に、

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