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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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#教育

「子育て本」なんて、書けない。

「子育て本」なんて、書けない。

よく「高井さん、『子育て本』を書いたら?」と言われる。
私の答えはいつも同じだ。
「わざわざ本に書くようなこと、何もないです」
これは本音だ。
子育てやら教育やらについて、高井家には特別なことは何もないと思う。
普遍的な秘訣やノウハウめいたものも、何もない。

三姉妹はそれぞれ愉快で「やるな、キミたち」という人たちだ。
それは「子育て成功」ではなくて、たまたま愉快でなかなかやりよる人たちが、私の娘

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バスケ部のT先生と肉まん

バスケ部のT先生と肉まん

小6の時、バスケ部の練習試合で庄内川の向こうの小学校までバスで行った。相手には175センチくらいの大型センターがいて、確か試合は負けてしまったはずだが、ゲーム内容はまったく覚えていない。
でも、試合の後で起きた出来事は、鮮明に記憶している。
顧問のT先生が帰りに肉まんを買ってくれたのだ。

試合が終わり、私を含む部員十数人とT先生はバス停にいた。次のバスまで20分ほど時間があった。みんな腹ぺこだっ

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たかがお金 されどお金 『おカネの教室』最終話

たかがお金 されどお金 『おカネの教室』最終話

漫画家ワタベヒツジ&高井浩章がお送りする、マンガ版『おカネの教室』第13話。今回で完結です!

第12話まで未読の方、まずはこちらから。

第13話「たかがお金 されどお金」

2021年4月の連載開始から11カ月。
マンガ化決定からは、なんと約3年。

マンガ『おカネの教室』、これにて完結です!

ワタベさん、本当に、ほんとうに、お疲れ様でした。
そしてもちろん読者の皆様、最後までご愛読いただき

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ウサギをめぐる冒険 「チマ絵」少女が東京藝大に入るまで

ウサギをめぐる冒険 「チマ絵」少女が東京藝大に入るまで

次女が東京藝大の美術学部に合格した。
めでたい。大変めでたい。
嬉しい。とても嬉しい。心も、財布も、喜んでいる。

高井三姉妹の長女が大学に受かった時、こんな文章を投稿した。

娘が東大、藝大と立て続けに現役合格。
なんだか、すごい。「東大・藝大に現役合格する子育てが10割」という本を出したら売れそうだ。

でも、そんな本は書けない。
実態はそんなにすごくない家庭だからだ。
娘たちのことは「すごい

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いつもそこに『ワードバスケット』があった

いつもそこに『ワードバスケット』があった

人類は2種類に分かれる。
『ワーバス』をやる人と、やらない人だ。
高井家の5人は前者に属する。
しりとりカードゲーム『ワードバスケット』、通称『ワーバス』のキャリアは8年強。
練度が高すぎて、一般人が加わると秒殺される。

「ワーバス愛」が高じて拙著『おカネの教室』のワンシーンにも登場させてしまった。

自宅だけでなく、『ワーバス』は家族旅行の必須アイテムだ。
北海道から沖縄まで、ロンドン駐在期間

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自分と世界を豊かにする3つの武器 高校生に贈る経済と投資の本当の話

自分と世界を豊かにする3つの武器 高校生に贈る経済と投資の本当の話

(最後にちょっとサプライズを追記しました)
8月22日、大阪国際大和田高等学校の「ココロの学校」という企画で、高校3年生の皆さんに1時間ほどお話をする機会があった。
諸事情に鑑み、残念ながらzoomを使ったリモート講演となった。
大和田高校は中高一貫のこんな学校です。

タイトルはzoomのキャプチャ。
ありがちな「蔵書背負いオジサン」だが、よく見ると並んでいるのはほとんどマンガだ。この角度は濃度

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教育の「悪平等」への偏見をほぐす 『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

教育の「悪平等」への偏見をほぐす 『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

PISAをご存知だろうか。
OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに行う国際的な学力調査で、Programme for International Student Assessmentの頭文字をつないだものだ。
「日本の子ども、学力順位が後退」といった形でニュースになるので、名前は聞いたことがなくても、結果だけご覧になったことはあるかもしれない。

本書は英国人教師が、PISAの成績上位から5つの

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大橋先輩に思いっきりバスケをやってほしかった 「奇跡の学年」の天才補欠物語

大橋先輩に思いっきりバスケをやってほしかった 「奇跡の学年」の天才補欠物語

noteを開いたら「部活の思い出」というお題が出ていたので、以前から書き残しておきたいと思っていたことを書いてみる。

このマンガコラムに書いたように、私は小学校からバスケ小僧だった。

一番熱心にバスケに取り組んだのは高校時代だ。
ほとんど毎日チャリンコで20分ほど爆走して早朝のシュート自主練に励み、授業が終わればがっつり部活。
夏休みと冬休みも、泊まりこそなかったが、合宿的な特訓で汗を流した。

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お年玉で子どもに「大人買い」を経験させよう!

お年玉で子どもに「大人買い」を経験させよう!

令和最初の年の暮れとなりました。
さて、お正月と言えば、子どもにとって最大のイベントはお年玉。子ども達が普段手にすることのない大金を手にするこの機会は、親子でお金について考える絶好のチャンスでもあります。

そこで提案です。

「お年玉はまとめて使わせて、子どもに『大人買い』を経験させよう」

ムチャなアイデアに聞こえるかもしれませんが、以下、ご説明します。

お年玉は普段のお小遣いの約10倍唐突

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「自己肯定の鬼」の育て方

「自己肯定の鬼」の育て方

こんにちは、「自己肯定の鬼」です。
こちらの称号は「自称」ではない。ウチの奥様に最近リアルにそう呼ばれた。
ちなみに、我が家には「鬼」が4匹棲んでいる。
私と三姉妹だ。奥様はそうでもない。呆れて「鬼」たちを見ている。
どうやってそんな自己肯定感を育むのか。

自己肯定感は「言霊7割 諦念3割」で成る

というのが私の見解である。
言霊は「ことだま」と読むのじゃよ、若いの…。

「お父さんはイケメン

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【永久保存版】テーブルゲームは教育インフラだ 総集編

【永久保存版】テーブルゲームは教育インフラだ 総集編

なかなか好評だった3投稿を1本にまとめてみました。あれこれ整理してサクサク感アップ。永久保存版ですわよ、奥様。

「ドイツゲーム」という言葉をご存知だろうか。
「知ってる人は知っている」みたいな典型で、飲み会などで話題にしても、10人中8人くらいは「は? なにそれ?」という反応が返ってくる。

「人間対人間」の面白さ詳しくはこちらのWikipediaに譲ります。要は、ドイツに限らず、ここ四半世紀

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テーブルゲームは教育インフラだ 「コミュ力」強化編

テーブルゲームは教育インフラだ 「コミュ力」強化編

お待たせしました。ご好評をいただいております「テーブルゲームを楽しく教育に活用してしまえ」シリーズ、今回はコミュ力が付く(かもしれない)ゲームをご紹介する。
「ドイツゲームとはなんぞや」という能書き付きの「入門編」と、「期待値とトレードオフ」という渡世の必須科目を学べるサイコロゲームをとりあげた続編、それぞれリンクを置いておく。未読でしたら、ぜひ。

なーんてリンク貼ったって、どうせ読まない人は読

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続・テーブルゲームは教育インフラだ

続・テーブルゲームは教育インフラだ

「家族で楽しみながらテーブルゲームを教育に活用してしまえ」という投稿が大変好評でしたので、続編をさっそく。
未読の方&能書き部分のおさらいは、こちらから。

まだあと数回書けるネタがあります。
私、お調子者なので、みなさん「スキ」とか拡散で高井さんを調子に乗せてください(笑)

メチャクチャ駆け足でまとめると、対人ボードゲームの効用は、

1 対人の駆け引き
2 トレードオフへの対処
3 「良き敗

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テーブルゲームは教育インフラだ 入門編

テーブルゲームは教育インフラだ 入門編

「ドイツゲーム」という言葉をご存知だろうか。
「知ってる人は知っている」みたいな典型で、飲み会などで話題にしても、10人中8人くらいは「は? なにそれ?」という反応が返ってくる。

手軽さ+「人間対人間」の面白さ例によってWikipediaより。

ドイツのボードゲームとは、広義にはドイツで作られるボードゲームを指すが、狭義には1990年代中盤から現在までに発売され、世界的な人気を獲得した独特のテ

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