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向暑はるの日常 2022年

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2022年の日常です。
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2022年3月の記事一覧

今年も胃が破裂する

今年も胃が破裂する

年度末。

お別れが名目の飲み会に参加した。

あくまで名目であって、お酒が入ってしまえば仕事の立場関係なく、私生活の話で盛り上がる。

適当に理由をつけて飲み会を都合良く解釈するのは、どんなに歳を取っても変わらないらしい。

悩みは日に日に老けていく一方、いつまでも子供心はピチピチでいたい。

この時間が一生続けばいいのになんて思ったりもする。

3杯目のハイボールからは、この楽しい時間をできる

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”休日”は明日のことを考えない

”休日”は明日のことを考えない

明日から仕事だよと愚痴をこぼしていた地元の友達。

あの時は、理解する気もなく適当に同情していたけど、今となれば毎週日曜日の流行語大賞となっている。

そんな愚痴をこぼしてしまう日は大抵休めるわけもなく、実質”休日”として機能しているのは1日に過ぎない。

せっかちな人間にとっては休日は2日間では足りないのかもしれない。

次の日のことを考えるだけで心が休まない。

例えば、小学生の頃の夏休みは大

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4/4

4/4

テレキャスターの飾られた店でハンバーガーを食べていた。

これが連休最後の晩餐になりそうだ。

外に出たいとあれだけ強く決意したものの、朝起きてから数時間は外に出る目的をずっと考えていた。

見つからない。

そうして午前中が終わっていく。

このまま午後もずるずる終わっていくのかと、既に連休に別れを告げようと思っていた。

なんかしない?

突然友人からLINEが送られてきた。

神かと思ったが

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3/4

3/4

来週には満開とキャスターは笑った。

でもその1週間後の今日は、外には出ずに終わりそうだ。

寝る前に充電していたカメラのバッテリーも、今日は休むと言わんばかりに充電中の光がまだ点滅している。

虚しい1日の始まりだ。

布団から出ることを後回しにして、頭上に転がるスマホを開いた。

目覚ましの音楽はまだ鳴っている。

確かこの曲は、向暑はるが高校生の時に一つ上の先輩たちがコピーしていた。

今日

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2/4

2/4

昨日のキャスターも雨が降ると言った。

でも今日は青色の空さえ見えている。

晴れたからといって特に予定はないので、毎週土曜日恒例の掃除から1日を始める。

大学生のときからずっと続けていることだけど、ゴミ箱に捨てる時の埃や塵の多さに毎度驚いている。

ほとんど家を空けているはずなのに、この埃や塵はどこからやってくるのだろうか。

向暑はるが家を空けている間にアリエッティたちが遊んでるに違いない。

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1/4

1/4

明日は雨だとキャスターは言っていた。

せっかくの連休初日が雨なのはちょっぴり悲しくなる。

休日の日数が割に合わなくなってきたので、向暑はるは有給を取った。

脳は平日だと勘違いしてたようで、いつも通りの時間に起きてしまった。

カーテンを開けると曇天が広がっている。

キャスターの予想通りにはいかなかったらしい。

身支度を整えて外に出た。

スーツ姿にせかせかと歩く社会人の集団に紛れ込んだ。

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一人は楽だと言うけれど

一人は楽だと言うけれど

気づけば終業30分前になっていた。

残りの業務もあと一つ。

どうやら定時で帰れそうだ。

いつものように人が出入りする会社の入り口付近で、いつものようにドアの閉まる音がした。

それと同じタイミングで誰かの叫び声が聞こえた。

痛々しい叫びだった。

指でも挟んでしまったのかと、恐る恐る入り口のドアに近づいた。

そんな軽い話ではなかったと、目の前の光景を見て知った。

さっきまで普通に仕事を

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美術館に訪れる自分が好きだ

美術館に訪れる自分が好きだ

美術館によく行く。

でも行ったところで作品に対して何も感じないことが多い。

トイレ行きたかったなーが感想になってしまう時もある。

休日を利用して3つの美術館をまわったけど、どれも何も感じなかった。

でもこれが時間の無駄だとか、お金の無駄だとかは思わない。

向暑はるは、展示品ももちろん見たいけど、どちらかといえばあの空間が好きで訪れているし、そこにいる自分のことが好きだったりする。

車の

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銃弾では届かない距離で繋がっている

銃弾では届かない距離で繋がっている

銃声が鳴り響く。

その近くで怒号が響く。

たった一つの引き金で誰かが泣いて、それに感化された別の誰かが引き金を引く。

それぞれが持つ正義が不幸の連鎖を呼んでいる。

そんな馬鹿ばっかの戦場が、向暑はるの生きている世界にあるらしい。

テレビから悲惨な光景が映し出されるが、未だにCGを使ったフェイク映像だと信じている。

それらの国同士の戦いに、向暑はるや周囲の人間に直接関わりがあるわけでもな

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性格悪く、頭良く

性格悪く、頭良く

女子高生四人が電車に乗ってきた。

電車が発車するや否や、三人が教科書を広げて勉強を始める。

一人はスマホを構いながら音楽を聴いていた。

教科書担当の一人がこう言う。

頭がいい人はいいよね。勉強しなくてもいいもん。

ずる賢い人を性格が悪いと表現するなら、たぶん向暑はるは性格が悪い。

学校では授業中以外、勉強する姿を見せてこなかった。

だって勉強熱心って思われちゃうでしょ。

でも授業中

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社会の実験台になってから

社会の実験台になってから

一年前くらいに、向暑はるは”東京”に降り立った。

何度も尋ねた地ではあるし、住んでもいたけど、それまでとは比べ物にならない威圧と窮屈さが漂っていた。

手には地元からの”片道切符”を汗とともに握りしめていた。

そして数週間後に向暑はるは社会の実験台になっていく。

これまでは自分自身の実験台の中で生きてきたから、指揮者はもちろん向暑はるだったし、

その”施設の中”にいるみんなは向暑はるの好き

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社会の中で話すのは向いてないんだろな

社会の中で話すのは向いてないんだろな

覚えた言葉だけでは自分のことを表現できない。

語彙力の乏しさに嫌になることがある。

友達と話す時は口が止まらないくらいに饒舌になるのに、

それ以外の場では、人が変わったように言葉が出ずに、気持ちの悪い間がその空間を支配する。

緊張とかそういうものではない。

単純に”大人としての”語彙力が足りないのだ。

向暑はるは今日も何度か言葉が詰まった。

言いたいことは頭の中では整理できているのに

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パン屋とカフェは朝が早い

パン屋とカフェは朝が早い

向暑はるは朝が弱い。

平日は社会の圧力に無理やり起こされてしまうけど、

何もなければ正直いつだって寝ていられる。

大学生の頃は、”朝に起こされる”ことなんてなかったから、目覚ましもかけなかったし、1限も取らなかった。

だからと言って寝るのが遅いわけでもなくて、日が回る前に寝たとしても結局朝は起きれないのである。

そんな人間も社会の圧力に慣れてしまったのか、休日の朝早くに目を覚ましてしまっ

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