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2021年10月の記事一覧
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~340
「全然そんなことないって。ただ私は、幸せを感じられるのも生きづらさを感じてしまうのも、自分の『考え方次第』ってところはある気がするんだよね」
『考え方次第』……確かに、陽子の言う通りなのかもしれない。だけど、その『考え方』にがんじがらめに縛られて、身動きがとれなくて、どうにもならなくて、行き詰ってしまっているのだけれど。
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勇気を出して連絡を取って、何年かぶりに陽子に会ったことが、確実に私
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~339
「私だったらそんな時に、こう考えるようにしてる。『人のことは思い通りにならない、って言うけど、自分のことも同じで、なかなか思い通りにはならない。なぜかって言うと、もし自分のことが思い通りになるのなら、素敵な彼がいて、好きな仕事して、お金持ちになって、仕事なんてしなくても一生好きなことだけして暮らしてるはずだから』って。ちょっと極端かもしれないけど、突き詰めて考えるとそういうことかな、って。だから思
もっとみる摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~338
「私だったら何年も連絡取ってない友達に会うのって、なかなか出来ることじゃないと思う。だけど紗希は『話を聞いてもらったりしたら、少しは気が紛れるかも』って思って私を誘ってくれたんだよね。それに、これは私の単なる想像だけど、きっと私とかの摂食障害じゃない人と話したりしたら、何か『ヒント』になることがあるかも、っていうのもあったと思うんだ。そうやって『普通に食べる』ために、何か出来ないかなって、紗希は意
もっとみる摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~337
「そんな、お礼を言われるようなことは全然してないと思うけど……確かに私は紗希と一緒にここに居て、一緒に食べて、一緒に話をした。だけど、紗希の言う『大切なこと』を思い出したり、何かに気付いたりしたのは紗希自身なんだよ。私は何もしてないよ。もっと自信を持ってもいいんじゃないかな」
『もっと自信を持ってもいいんじゃないかな』……私は、陽子の言うように自分自身で『大切なこと』を思い出したり、何かに気付い
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~336
いつの間にか、二人ともすっかりパフェを食べ終えてしまった。誰かと話をしながら食べると、食べることだけに集中しないからなのか、そんなに気にせずに食べることが出来るようだった。
「アイスは溶けちゃってたけど、おいしかったね」
確かに、ガトーショコラだけじゃなくて、アイスもクリームもチョコの味が濃厚でリッチな感じだったし、バニラアイスや生クリームは甘過ぎず、それでいて口に残るようなしつこさもなくて、
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~335
陽子が、だんだん霞んでいった。顔の輪郭が、周りの風景と同化して溶け出していくみたいに、ぼやけて曖昧になっていった。前を向いていられずに俯くと、雨粒で濡れていくように、スカートに徐々にシミが広がっていった。
「ごめん、取り乱しちゃって」
涙は溢れてきたけれど、声を上げて泣いた訳ではなかったから、そんなに周りのお客さんから注目されずに済んだようだった。
「ううん、全然。それより、今の紗希に私から
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~334
「そう。カロリーだけじゃなくて、糖質とか脂質が何グラム含まれてるとか、そういうことが書いてあるの。それで、毎日見ながら『こんなにカロリーも糖質も脂質もあるんじゃ、絶対食べられないし、食べられるものなんてないじゃん!』とか思ってたの。それなら見なきゃいいのに、って思うんだけど、摂食障害ってそういう矛盾だらけのところがあるの」
「そっか、そうだよね。お菓子とかスイーツって、改めてカロリーとか見ちゃう
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~333
『自分』なんて、頭で考えるように都合良くコロコロ変わることが出来れば、究極的には生きてて何の悩みもないのかもしれない。それがなかなか出来ないから、悩みが尽きないのかもしれない。だとしたら、陽子の言うように、考え方を変えてみたり、物事の『見方』を変えてみたりすることで『まあ仕方がないか』とか『そういうこともあるよね』って思えた方が、悩みの『ループ』にはまって抜け出せなくなるよりは、いいのかもしれない
もっとみる摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~332
「考え方を変えてみたり、物事の『見方』を変えてみたりすることで『まあ仕方がないか』とか『そういうこともあるよね』って思えたりすることも結構あると思うんだ。物事の『結果』とか『他人』を変えることって、すぐには出来ないし、すごくエネルギーを必要とするから、そうじゃなくて『捉え方』っていうか『解釈』みたいなものを変えることで、あんまりそのことに執着しないで、さぁ~と流しちゃう、みたいな?」
「そっか。
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~331
「紗希、私もね、自分の出来ないところとか、気にならない訳じゃないし、むしろ気になって仕方がないの。でもね、気にしたって出来ないものは出来ないし……そんな時は、こう考えることにしてるの。『どんだけ自分が出来る人間だと思ってるの!どんだけ自分に期待してるの!そんなに期待したって、私はどこにでもいる「普通の」「普通にもなれない」人間なんだから仕方がないよ。出来た時に「出来たじゃん!」って褒めてあげよう』
もっとみる摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~330
「ううん、そうじゃなくて……そっか。ってことは、お店で誰かと一緒ならパフェが食べられるんだね!良かったじゃん、全然『普通に』食べられるんだから」
「そう、そうだね。そうかもしれない……」
『普通に食べられる』……私にとっては、お店で誰かと一緒に、しかもパフェ限定じゃないと食べられないのだから『普通に』食べられることにはならないのだけれど、陽子にとっては、それだけでも『普通に』食べられることにな
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~329
「決めた!私、チョコレートパフェにしよう。紗希は決まった?」
「そうね、私もパフェにしようかと思ってた。陽子と同じでもいい?」
「もちろん!じゃあ決まり。すいませ~ん」
何と言うか、陽子のさっぱりとしていて優柔不断なところがない感じが昔から好きだったし、今の私にとっては救われる思いがした。
「そういえば、さっきはコーヒーとかはゼロカロリーだから気にならないって言ってたけど、チョコレートパフ
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~328
「陽子、何か頼もうか?私も全部飲んじゃったし、喋ってると喉が渇いちゃって」
「そうだね、何にしようか。私さぁ、ちょっとお腹減ってきちゃったんだけど、何か食べてもいい?」
「えっ、もちろん。それなら、私も何か食べようかな……」
陽子につられて咄嗟に言ってしまったけど、人前で何かを食べることにはまだまだ不安な気持ちがあった。だけど、もし陽子と一緒に何か食べることが出来たら、ほんの少しでも前へ進む
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~327
「お金?そうなんだ……そっか、もしかしてカウンセリング料とか、ってこと?」
「うん、まあそれもそうなんだけど。それよりも、買い物にすごくお金がかかるの」
「買い物かぁ……それって、食べ物を大量に買ったりするってこと?」
「うん、まあ……そういうこと」
立て続けに話していたからか、緊張していたのか、喉がカラカラになってしまった。アイスコーヒーを一気に飲み干して、一息ついた。
「そうなんだ…